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Q&Aのまとめ1-2

Q&Aのまとめ1-1」の続きです。

記載量が多くなって,編集しづらくなってきたので,N氏の記事掲載以降の分について,分割して掲載することにしました。
Q&Aのまとめ1―1」,「同2」と合わせて,参照してみてください
なお,私の回答とN氏によるの回答の双方があるところについては,その旨を明示してあります。それ以外は,私による回答です。




【特別連載・第5回新司法試験を振り返る・振り返って】byN氏」の記事について

Q.今年(2010年)の司法試験では民事系の成績がふるわなかったが,N氏はLIVE本などで旧司法試験の問題を検討していたか。他に、民事系の対策として有用な教材はあるか。 また,憲法の対策として有用な教材はあるか。

【N氏による回答】

ご質問ありがとうございます♪そのようにいっていただけると、一生懸命文章化した甲斐があります!

さて、ご質問の件ですが、具体的にお応えする前に一般論として、私は「教材は何を使うかではなく、どう使うか」がポイントであると思います。この世に問題演習教材は数が限られているので、どうしても同じ教材を司法試験生全員が使用することになるため、「何を使うか」の部分ではあまり差が出ません。そこで、「どう使うか」すなわち使い方で差が出てくると思います。使い方といっても難しいものではなく、ただ「こなす」のではなく、反復してその問題演習教材をきちんとマスターする、ということに尽きます。よく「潰す」という表現を使う場合がありますが、「踏み潰してぐちゃぐちゃにする」ぐらいまでやりこむ必要があると思います笑

そこで具体的にお応えさせていただくと、民事系に関しては、刑事系に比して確かに良い問題集が少ないといわざるをえません。
私は、いろいろつまみ食いをしましたが、しっかりやった教材としては、masoと同じように、旧司法試験の過去問(平成分)です。確かに解説は少ないですが、私は、以下のものを使っていました。
①(手に入るのでしたら)ライブ本の解説。これは民訴が秀逸です。
②辰巳の旧司法試験用のハイローヤーに掲載される超上位合格者の再現答案
③民事訴訟法に関しては、『解析民事訴訟』(東京大学出版、藤田広美)。ここにも素敵な解説があり、基本概念から論点まで、そして論点の処理の仕方の理解を深めることが可能です。

なお、この勉強方法では、新司法試験と問題の質が全然違うじゃん!という批判を免れません。笑 しかし、訴訟物、当事者、時系列等の事実を分析し、法を解釈し適用するという作業は同じであり、特に後者の部分の練習には非常に役に立ちます。そして私は事実の分析に関してはどちらかといえば自信があったので、旧司法試験の過去問を潰すという勉強方法をとりました。

少し長めの、周りがよく使っていた問題集は
ア 『民事法Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』(日本評論社)
イ 『民事法1・2 民法・民事訴訟法 (ロースクール演習講座)』(民事法研究会)
等ですが、アは今から始めるのはおそらく難しいでしょう。
そして、旧司の問題とイもどちらかしかできないと思います。あと7カ月後に迫った試験に向けては、「教材の選択と集中」を行わなくてはならないので、自分に合った教材を1つ選んで、味わいつくしてみてください。

また、憲法に関しては、
①宍戸先生の法学セミナーの連載
②小山先生の『「憲法上の権利」の作法』(尚学社)
を読んで、直前期に
③事例研究憲法(日本評論社)
を確認しました。そしてわからないところは、①、②あるいは基本書に立ち戻って考えていました。やちんさんが理解不足とおっしゃっている個所も、①や②に確か記述があったと思います(手元に資料がなくて、確認できないので、なかったらすみません)。
それ以外のいい教材は私の知る限りありません。(今年から始まった蟻川先生の法セの連載も気になっていますが、読めていません。)

なお、参考に、私が愛用していた、基本書サイトのURLを載せます。最近更新されていませんが、だいたいの本はフォローされているので、ぜひ参考にしてみてください。

http://www.lawyer-s.jp/



Q.要件事実に関して何か使用した教材はあるか。

【N氏による回答】

私は要件事実の本としては、ローの要件事実に関する授業と並行して
①要件事実30講
を解きました。しかし、①は情報量が多いと感じていたため、試験前には
②類型別
③問題研究
の2つを回していました。

今回、民事系が低い評価であったということですので、民事系に恐怖心を抱くのも無理はないと思います。しかし、複数の問題集に飛びつくのではなく、1つの標準的な教材・基本書をじっくり理解することがもっとも実力の向上につながると考えます。
③は、代理が書かれていないので確かに情報量は少ないですが、条文の記載から主張立証責任を読みとる要件事実的思考は充分鍛えられます。情報量的に安心という意味では、①と②だと思います。いずれにしても、①をしっかりやったら②は参照程度にとどめる、などといった工夫が必要だと思います。

私は今年の問題については、(1)109条の表見代理は、そもそも代理権を与えていないにもかかわらず、代理権を与えたかのような外観を作出した本人の帰責性を根拠として成立するものですから、今年の問題では109条の問題にはなりえないと考えたこと、(2)代理人としては何よりもまず有権代理を主張することを聞いたことがあること、から109条の問題であるとは理解せず、単に要件事実の基礎的な理解を問うものであると判断しました。109条と110条の区別はかなり難しい点がありますし。
このように判断できたのは、これは要件事実に関する理解があった(要件事実30講を1度だけ解いたことがある)というものではないと思います。それよりも基本書や(要件事実でない)問題集を解いていく中で、各々の条文が適用される典型例を考えていたことがよかったのだと思っています。ですから、慌てず、基本書の基本的な部分をしっかりと身につけることがいいのではないか、と客観的には思います。



Q.今年(2010年)の民法の設問1について,問題文の「主張を選択的にした」という部分の、「選択的に」という箇所は特に気にならなかったか。私は,有権代理+110条なら「予備的に」のはずだから、109条と110条の選択的併合だと考えた記憶がある。

【masoの回答】

有権代理の主張と110条の越権代理の主張は,選択的に主張されるものであって,110条の主張が予備的になされるものではありません。
なぜなら,110条の主張は,要件事実的には無権代理であることを前提としないからです。
すなわち,本問では債務不存在確認の訴えが提起されているところ,Aの側から無権代理をいうときは,抗弁として主張される貸金債権の存在にかかるCの代理による契約成立を単に否認することになり,再抗弁とはなりません((再)抗弁の意義を参照のこと。)。
そうすると,110条の表見代理は,無権代理を前提とする主張(再々抗弁や予備的抗弁)とはならず,110条の主張単体で有権代理の主張とは独立した1つの抗弁が立ちます。
したがって,110条の主張は,貸金債権の存在を基礎づける選択的な主張(抗弁)であると考えることができます。
この点について,実体法的観点から考えると,表見代理の主張は無権代理を前提として出てくる主張のように見えるため注意が必要です。

上記理解を前提として,設問を見ると,①「授与表示をした」ではなく,「AがCに借入れの代理権でその金額に限度のないものを授与したとする主張」,及び「AがCに借入れの代理権でその金額の限度を1500万円とするものを授与したとする主張」というように「代理権で・・・を授与した」とされていること,②AがFとの間で,当初1500万円の融資について話し合いをしている事実,FとCとの間ではAの明示的了解を取らずに融資額が2000万円とされている事実を前提として,設問の主張が金額の限度により分けられていることを考えると,前段の主張は有権代理,後段の主張は越権代理(110条)と捉えるべきだと思われます。

【N氏による回答】

私も有権代理と表見代理の関係は疑問に思ったことがあります。

私の調べたところの理解では、
①有権代理と110条表見代理では、本人が代理人に与える代理権の授与の範囲に違いがある以上、両立しない事実が主張されている。
②しかも、双方の主張のどちらかを優先する必要はない。
ここから、予備的~(あるいは再再抗弁)になるというのはおかしな話になるはずです。

そうすると、代理権の授与の範囲に違いがない112条はどうなのか、と疑問が出てきますね。このあたりの議論は、やちんさんがやろうと考えられている『要件事実論30講』(代理(2)表見代理の講)に書かれています。参照してみてください。


民事系、masoのいう通り、合格には超重要科目ですから、頑張ってください!

なお、老婆心ながら、一言だけ書かせていただければ、私も民訴と刑法に苦手意識がありましたが、何が足りないのかを分析し、力を入れて勉強したことでだんだんと苦手意識がなくなってきました。もっとも、私は、苦手科目の改善だけをやると得意科目が苦手になると思っていたので、ある科目を得意であることを理由にまったく勉強しない、ということはできるだけ避けていました。バランス良く得点できるようにするためです。
新司法試験は問題との相性があり、得意なはずの科目で失敗したり、苦手なはずの科目で成功したりすることがままある気がします。ですから、(民事はもちろんだとして)しっかりと公法・刑事も分析して、維持・向上を図ってくださいね。



Q.憲法(苦手科目)について,宍戸連載と作法を来年(2011年)の本試験に向けて今から読み始めるのは非効率だと思うか。 また,芦部先生の教科書を読んできたが,何か不都合は生じるか。

私は『「憲法上の権利」の作法』という本に目を通したことがないので,その点の回答はN氏に任せるとして,憲法のつかみどころのない感じが苦手意識に結びついている場合には,宍戸連載は大変役立つと思います。内容が濃いので読み込むのは大変ですが,是非読まれることをおすすめします。

高橋先生は芦部先生の弟子であり,宍戸先生は高橋先生の門下生ですので,親和性は高いと思います。現に,宍戸連載の中でも,高橋先生や芦部先生の文献は度々引用されています。

Q.憲法判例は他の科目と比べ、使い方が特殊なように思う。判例は明確に基準を示しているものは少ないところ,どのようにして判例を答案に活かせばよいのか。 判例の用い方,その他判例学習でのポイントについて。

【masoの回答】

憲法判例については,憲法上の権利(・利益・自由)の設定のあり方,利益衡量の仕方といった,判例の判断枠組みに重点を置いて読んでみるといいと思います。
どのような権利(・利益・自由)のぶつかり合いの場面で,どういう論理を経て規範が導かれているのか,どういう要素で成り立っているのか,それはなぜなのかを考えていくということです。憲法判断は,つまるところ憲法上の権利・利益と対立利益との比較衡量ですから,規範をそのまま使う(書く)場面というのはあまり想定できません。しかし,判例の考え方や判断枠組みは答案作成上も大いに参考にすべきです。

例えば,今年(2010年)の問題であれば,問題文を読めば,判例(最大判平成17年9月14日民集59巻7号2087頁)が関係してきそうだということは分かるはずです。そこで,構成をする際には,同判例が選挙権の「行使」の制限のあり方についてどう考えていたかを想起して,それを意識しつつ主張を組み立てていくことが考えられます。
原告としては,選挙権の「行使」が制限されることの意味を選挙権の意義等の原理原則から論証して,「選挙の公正の確保」以外の理由では制限できないと主張し,被告としては,判例の事案とは異なる事実を積極的に主張して,それゆえ判例のとおりにはならない旨を主張したり,制限は選挙の公正を確保するためにやむを得ないものであって,原告の選挙権行使とは両立が著しく困難である旨を主張したりすることが考えられます。
このとき,判例の要件を書かなくても,問題の検討枠組みを上記のように設定して論述されていれば,読んでいる方には判例の理解が伝わります。

他科目では,判例の規範は条文の解釈として導かれることがほとんどですので,そのまま個々の論点の解決につながることが多いため,規範そのものの理解に重点が置かれますが,憲法ではそれよりも大きい視点での判断枠組みを理解する方が大切です。

なお,他の科目についても,「判例によれば~」,「判例は~」と書かなくても,判例を理解していることが伝わる答案になるのが理想です。
その辺りのことを含めて,より具体的に,判例をどのように読んでいくか(学習していくか)は,法学セミナーの宍戸先生や蟻川先生の連載が大いに役立つと思いますので参照してみてください。

なお,単に判例があることを知っているのでは不十分であることは,以下の各年度の出題の趣旨からも読みとれると思います。

大変だとは思いますが,根気よく取り組んでみてくださいね。

・・・引用・・・

(平成18年度新司法試験・公法系第1問・出題の趣旨)
「憲法理論について,判例と学説の対立の中でそれぞれを正確に理解した上で,自らの眼で事例を分析し,問題点を発見し,それを多面的・複眼的に検討し,説得力のある理由を付した一つの結論を導き出すことを求めている。」

(平成19年度新司法試験・公法系第1問・出題の趣旨)
「…条例自体の合憲性に関する主要な問題は,「法律と条例の関係」である。徳島市公安事件上告審判決がポイントとなるが,まず,当該判決を正確に理解していることが求められる。その上で,法律と条例の目的・趣旨・効果をどのように比較するのか,どのような点で法律の範囲内である/ない,という結論を導くのかについて論じることが,必要である。」

(平成20年度新司法試験・公法系第1問・出題の趣旨)
「…したがって,他者の権利の制約が違憲であることを理由に法律や処分の違憲性を主張できるか否かを,検討する必要がある。
その場合,まずは,第三者所有物没収事件判決を参照することになる。
新しい素材に関して,全く新たに考えることを求めているのではない。法科大学院の授業で学んでいるはずである,表現の自由や憲法訴訟論に関する基礎知識を正確に理解した上で,具体的問題に即して思考する力,応用する力を試す問題である。」

(平成21年度新司法試験・公法系第1問・出題の趣旨)
「すなわち,判例及び学説に関する正確な理解と検討に基づいて問題を解くための精緻な判断枠組みを構築し,そして事案の内容に即した個別的・具体的な検討を求めている。」

(平成22年度新司法試験・公法系第1問・出題の趣旨)
「・・・三つの立場それぞれが,判例の動向及び主要な学説を正確に理解していることを前提としている。その上で,判断枠組みに関する検討,そして事案の内容に即した個別的・具体的検討を行うことが求められる。」

・・・・・・・・

【N氏による回答】

『「憲法上の権利」の作法』(以下「作法」と略します)は私は第1部(A-基礎編)のみじっくり読みました(本試験でB-応用編まで読んでよかった!と若干の後悔はしました笑)。その限りでは、芦部先生の基本書とのかみ合わせは問題ないと思います。

作法と宍戸連載との大きな違いは、重要判例の判旨が三段階審査の思考枠組のなかで引用されているところでしょう。それが非常にわかりやすく、ああ判例はこうやって読んでいくんだ、と感銘を受けました。
そんなに厚い教科書でもないですし、作法の判旨の引用箇所は択一でも聞かれるポイントが多いですので、読む価値は十分にあると思います。もっとも私は、宍戸連載と作法は似て非なるものであるような感覚を持ちましたので、宍戸連載を中心に勉強していました。


判例の使い方についてはmasoのコメントは私が考えていたお答えよりも精緻でわかりやすいので割愛します。

ただ、1つだけ述べるならば、判例一般に言えることですが、判例はある問題について論理的に成り立ついくつかの結論のうち、裁判所の立場・価値観をあきらかにしたモノです。ですから、論述をしていく上で裁判所の立場・価値観を前提として、いやその価値観はおかしいんだ、とかその価値観は判例の事実には適用されるけど今回の事実は違うんだ、とか主張しなければ裁判所に対する(ひいては試験委員に対する)説得力という点において欠けることになると思います。たしかに憲法判例には一般化が可能な規範めいたことがかかれることはありませんが、上記のことは憲法判例も同じなのではないでしょうか。






【特別連載・勉強ゼミのやり方について】byN氏」について

Q.判例六法を使用していたとのことであるが,条文判例本や択一六法を使用しなかった理由は何か。

ご質問ありがとうございます。

有斐閣の判例六法を使用したのは,掲載判例が最新の百選・重判とリンクしているため,判例に関して主に百選・重判をやりこむという私の勉強方針と合っていたからです。
判例六法は条文ごとに厳選された判例が整理されているのも大変使い勝手が良かったです。
百選や重判で判例をひととおり学んだ後に判例六法を読むと,その判例の法体系上の位置づけも良く分かり,理解が深まったように思います。
最新の百選・重判掲載判例,それ以前の百選・重判掲載判例,最高裁判例,下級審判例と色分けすることで,効率的にメリハリをつけて読むことができました。また,百選・重判を用いての判例学習と判例六法の読み込みは相乗効果も期待できます。

他方で,条文判例本や択一六法を使用しなかった理由として大きいのは,掲載されている情報が多すぎ,あるいは中途半端であると感じたことです。
それに加えて,
①判例六法は,条文と重要判例というシンプルで使いやすい体裁であり,余分な情報が一切ないこと
②判例六法は,参照条文,掲載判例及び判旨の抜粋箇所を選別した人々に信頼がおけること
③条文の解釈論について,それらの本では結論のみが記載されていたり,理由づけが不明瞭・不十分であったりして,まとめノートの代わりにするのには適切でないと感じたこと (解釈論等を確認するならば,より詳しく載っている別の本を参照する方がよいと思いました)
④過去問における出題箇所の情報が初めから載っているものを参照するより,過去問を解きつつ,その都度条文を逐一チェックしていく方が身につくと感じたこと
⑤判例六法は,それらの本と異なり全科目が1冊にまとまっていること
なども理由として挙げることができます。

問題を解いていく中で,「自分にとって必要な情報のみ」を集約させるという意味でも判例六法は役立ちます。

もっとも好みの問題もあると思いますし,それらの本についても使いようだと思います。
ご自身の勉強方針に照らして,どういった目的のために使うのかという観点から教材を選択し,使い方を考えていくというプロセスも大切だと思います。そこがぶれてしまうと,自分が選択した教材やその使い方に自信が持てず,中途半端な学習になってしまいかねないからです。
それゆえ,短答の勉強を本格的に開始される前に,新司法試験の短答式の問題で自分の設定した目標点数を取るためには,各科目どのように勉強し,どのように比重を掛けていけばよいのかということを突き詰めて考えていけば,どの教材を使うか,それをどのように使うかということは,自ずと決まってくる(決めることができる)のではないでしょうか。




Q&Aのまとめ2」の記事について

Q.ライブ本の「民法(貞友)」とは、「貞友民法LIVE過去問解説講義 決定版」と「LIVE民法 司法試験論文民法過去問」のどちらか。

私が使っていたのは,「貞友民法LIVE過去問解説講義 決定版」の方ですね。




【特別連載・科目別に気をつけるポイント・民法】byN氏」の記事について

Q.新司法試験の民法に占める要件事実の割合というのはどういう傾向だと考えているか。

【N氏による回答】

難しい質問ですね。笑 完全に私見ですが、思うところを述べることにします。

私は、「割合」というのは考えたことはありませんが、どのような形であれ、毎年必ずと言ってよいほど出題されている分野(こういっていいかはわからないですけど)ですので、「超重要」だと思っています。
科目特性のところで「要件事実を間違えたら合格は遠のく」と考えたのは、超重要だからゆえにみんなが勉強してくるだろうから、相対評価として沈んでしまうのではないか、と危惧したのが理由です。

来年度も出るかはわかりませんが、超重要であることは変わらないんじゃないでしょうか。要件事実は、民法が分かってないと正確に対応できない上に、何が主要事実かどちらに立証責任があるかなど、民事訴訟法の分析でも当然重要になるわけですから。


また、民法と要件事実をどちらを基礎においたらよいか、ということを迷っていらっしゃったようですが、私もゆっきーさんと同じく民法を基礎においていました。その理解を基に、自分で要件事実を「考える」のが基本だと思います。(その意味で要件事実の「暗記」には抵抗があります。)

そのように考えるようになったきっかけは、2年生の時に読んだ『要件事実論30講』(初版)の第4講の「要件事実論と民法」というタイトルの記述にあります。そこには「要件事実論の中味は、民法実体法の分析から得られる原理より指導されて初めて確定されることが求められるものであり、けっして、その逆ではないというべきであろう」と書かれており、なるほどと思いました。何が主要事実かを決めるのが民法(条文+解釈から導かれる要件)であって、それがわからないと訴訟上の立証責任も何もありませんからね。

という感じです。
以上でお答えになるでしょうか。。。






司法修習について(概略)」の記事について

Q.修習中の住居について,裁判所の方から不動産屋を斡旋してくれるのか。それともネットや不動産屋に飛び込んで、完全に自分で探すことになるのか。

裁判所の方からの斡旋等は一切ないので,自分で探すことになります。

去年の例でいうと,10月19日前後に修習地が決まったので,
その週にネットで家さがしをして不動産屋に電話をした上で,
①翌週の10月26日に修習地までいって,物件を押さえました(1回目)。
②その後,11月14日に当該修習地で裁判所ガイダンスがあり, それが午後からだったので,早めに修習地に行き,不動産屋で重要事項説明を受けて(2回目),
③実際の引っ越しの時に不動産屋で鍵等を受け取った(3回目),
という感じです。

※各実務庁における裁判所・検察庁(・場合によっては弁護士会も)の各ガイダンスについては,10月中旬~下旬に届く研修所からの書類群の中に案内が入っているはずです。

修習地が決まると,その地方に実家がない修習生の家探しが一斉に始まるので,条件のいい物件を押さえるには,決まり次第,一度修習地に出向いて家探しをした方がよいと思われます。
ガイダンスの時に始めて家さがしに着手した人の中には,あまり条件の良いところが見つからなかったというケースもありました。
ガイダンスの開催日と修習開始が近いときは(去年は11月27日開始),引っ越し等で色々と大変になるので,その点でも早めに決めた方がよいと思います。

なお,蛇足ですが,地方修習の場合,駅近よりも裁判所に近い物件がおすすめです。




【特別連載・科目別に気をつけるポイント・民事訴訟法】byN氏」の記事について

Q.N氏は,解析民訴のまとめノートを作成したとのことだが、どうしてまとめノートを作成しようと考えたのか。よく合格者で○○(既存の本や論証等)をまとめたという人がいるが,やはり時間がかかることなので、確たる理由がないと踏み出せない。N氏がなぜそれをまとめようと思ったか,それによって得られることは何か教えて欲しい。 また、他にもまとめたものがあるならそれについても教えて欲しい。加えて,どのように要件事実の勉強をしたかについても教えて欲しい。

【N氏による回答】

さて、ご質問の「なぜまとめたか」についてですが、単純にその勉強法が「私にとって理解が深まる勉強法であるから」です。「直前期にも見返せる資料をつくる」ということもまとめる動機の1つですが、あくまでも副次的です。また、「楽しい」というのもありました。

まとめる際には特に深く考えていませんでしたが、まとめる勉強は
ア 基本書をしっかり読みこむことになる
イ 一種のアウトプットも一緒にできることで、理解が甘いところが浮き彫りになり、そこを詰めて学修することができる
ウ 出来るだけ少ないまとめをつくろうとすればエッセンスのみの抜き出しになる。その結果、定義・原理原則などの基本部分が中心となり基本が身につく
エ レイアウトとか考えてまとめたので、ただ読むよりもはるかに楽しい勉強時間を過ごすことになる
オ 作ったものに書き込んでいくことで、試験前に頼りになる資料となる
などというメリットがあったと思います。

そして解析民訴をまとめたのは、
①民事訴訟法が苦手科目であること
②『解析民事訴訟』は1冊じっくり味わう価値のある本であると考えたこと
が理由です。
①苦手科目は、たいてい理解が浅いから苦手なわけで、まとめることで理解が深まることになり、苦手克服ができます。そして苦手科目を減らしバランスよく得点することが新司法試験の必勝方法ですから、時間をかける価値があるわけです。
②のように考えたのは、旧試の問題演習も兼ねている上、定義や原理原則論に忠実である気がしたこと、問題の所在・学説の思考の分岐点等新司法試験対策として有益な情報が書かれていること、masoを含む多数の合格者の推薦書であることが理由です。


その他にまとめたものは、
・要件事実
これは条文から要件事実を導けるかを確認するときに、いちいち文献を開くのはめんどくさいのでまとめたもの。これはUPしました。(これをまとめというかは不明ですが...。)
・会社法の論証やポイント 
これは全部ではなく、問題演習で書けなかったモノや超重要なモノ(たとえば経営判断原則の規範)でだけ
・刑法総論の論証 
これは刑法が苦手だったのと、直前にそれまでの結果無価値ではなく通説で書くことに変更したので(このあたりに苦手なところが現れてますが笑)、確認する必要があったからです。
・宍戸先生の法セ連載のまとめ
これは、単に私にとって宍戸連載が難し過ぎて単に読んで理解できる代物ではなかったので、まとめることによって理解しようとしたからです。
・人権各論の保障根拠や典型例に関する『立憲主義と日本国憲法』に書かれている記述をまとめたもの
これは、憲法の論述をするにあたり、この辺の理解が足りないと感じたからです。
・刑訴の捜査、公訴、証拠、裁判の論証 
これは、3年後期に関連する授業を履修しており、その際にまとめたもの。一字一句覚えるのではなく、外すべきでないキーワードや思考の順番を確認するため
・知的財産 
選択科目は苦手であるし論点が少ないので一応全部カバーしました。著作権・特許両方作りましたが、特許は、字の練習も兼ねて手書きでまとめました。

やはり、理解するため、というのが私のまとめる理由みたいですね笑
民法のまとめがないのは、単に量が多いこともありますが、苦手意識があまりないためそこまで必要性を感じなかったからです。


さて、要件事実ですが、最近ある方の質問にお答えしましたが、
私は要件事実の本としては、ローの要件事実に関する授業と並行して
①要件事実30講
を解きました。しかし、①は情報量が多いと感じていたため、試験前には
②類型別
③問題研究
の2つを回していました。

②や③は確かに情報量が少ないですよね。というかそもそも旧司法試験時代の司法修習生向けに作られた本ですから、民事実体法の知識が備わっている前提で書かれた本ですので、非常に行間がありまくりです。その本を民法を(本格的に)学んで2年目の人が理解するのは難しいかもしれませんね。

私は①の30講を使ったからといって直ちに要件事実が得意になるわけではないと思います。もしそんな本があれば、②、③を使っている人はいなくなります。どの本を使っても、味わい尽くせば理解は可能で要件事実が得意になると思います。しかし、③は問題形式ですが情報量としては物足りなさを感じますし、②は問題形式でないところに好き嫌いがでそうです(その分直前期の見直しには役立ちます)。
①は問題形式ですが、やや情報量が多い気がいたします。
どれを使ってもかまわないと思いますが、要件事実の理解には、民事実体法もふくめてしっかりと腰を据えて考えることが必要だと思います。
問題演習があった方が考えやすいので、その点では①はいいかもしれませんね。

いずれにしても、要件事実は超重要だと考えられますので、ローの定期試験の反省等を踏まえながら、ぜひとも頑張ってください!!!



Q.宍戸先生の法セ連載は自分も読んでいるが,内容が難しく上手く試験対策に生かせない。
「~ということはご存じでしょう」などと書かれている部分(いわゆる基礎的部分)については分かるが,発展的内容になるとすぐに理解できない→何度も読み直す→時間がかかるという悪循環に陥ってしまう。
N氏は宍戸先生の法セ連載をまとめたということだが,1.どのような視点・目的意識を持って読み,まとめたのか。2.試験を振り返ってみて,同連載はどのように試験に役だったと考えているか。


【N氏による回答】

(質問1に関して)
私も(当然ですが)いくら時間かけても理解できない箇所はありました。しかし、この連載は憲法の力を向上させるには有益な教材であることは明らかで、時間を書けて何度も読むことはよいことだと思います。決して悪循環ではないのではないでしょうか。

宍戸連載をまとめた(というか理解しようと努めた)目的は、「憲法の力」を向上させるためでした。

旧試験の勉強もしておらず、判例もあまり憲法問題について正面から論じない印象がありますから、憲法答案のイメージが全くといっていいほどつかめていませんでした(今自分のローの憲法の試験答案を見ると無残です笑)。そこで、説例があり、典型学生Aとちょっと利口な学生Bの思考過程があり、それを批判した上での一応の解答の方向性を導いてくれる宍戸連載でその憲法答案のイメージをつかむことが第一でした。(私は、学生Aの思考すらできず、自分よりも優秀な学生Aが小馬鹿にされているのをみて歯がゆい思いをしていました笑)
また、憲法は思考過程が他の科目と特殊な印象を持っていました。そこで、その思考方法を身につけようとしたのが第二です。
さらに、基本部分がきちんと芦部先生の本や高橋先生の本が引用されて紹介されているので、そこは必ず押さえるようにしたのが第三です。

読み進めていくうちに、典型的な(かつ痛恨の)勘違いに気付いたり、答案のイメージが浮かんだりするのでそれを自分なりの言葉でまとめるようにしていました。
また、たまに学習上の注意のようなことが書かれているので(たとえば政教分離の回)、それを実践していました。

(質問2に関して)
私は、本試験の公法の点数はド平均でしたが、間違えなく同連載によって自分の憲法力は向上したと考えています。
試験の中心論点は、ご存知の通り生存権と選挙権でした。この点は「でるでる」といわれながらも、なぜか出ないだろうと高をくくってたところがありまして、大した準備をしていませんでした。そんな中で、学生Aの思考回路すらなかった私が相対評価として大沈みしなかったのは、宍戸連載で力が付いたことや同連載の生存権や選挙権の回をまとめたことが大きな要因であると思っています。(しかし見直す頻度も少なく、理解度が浅かったのは事実です。。。)
「どのように役立ったと考えているか」とのご質問に直接お答えしようとすれば、論点という枠を超えて憲法的な力・考え方を養うことができ、それが未知の問題に一定の解答を与えることに役立ったと考えている、ということになるのだと思います。

「総合演習(1)~(4)」を自分が受験する前に読みたかったです。






【特別連載・科目別に気をつけるポイント・刑法】byN氏」の記事について

Q.(判例六法の素読をしているが),①このまま判例六法素読を続けた方が良いか,それとも問題演習に時間を割くべきか,②もし続けた方が良いなら、どういう読み方が良いか(どのように読んでいたか、オススメの読み方など)。

【N氏による回答】

ご質問ありがとうございます。
両すくみになって返信が滞ると困ると思いますので、取り急ぎ、私が回答をして、masoが補足・修正をする形にしようと思います。

①このまま判例六法素読を続けた方が良いか、それとも問題演習に時間を割くべきか

私は、苦痛で仕方がない状態でなければ、このまま素読を続けた方がよいと思います。というのは、手ごたえを感じていらっしゃるように、条文を素読するということは、条文の構造や法体系を全体として把握することになり、択一のみならず論文に対しても有用だと考えられるからです。
民法はパンデクテン体系でわかりやすいですし、会社法・民事訴訟法等近年改正された法律は非常に論理的に条文が配置されています。そこから制度間の関係や法律がいかなる利益を重視しているのか等、何となく感じ取れれば、それで十分だと思います。

②もし続けた方が良いなら、どういう読み方が良いか(どのように読んでいたか、オススメの読み方など)をお聞かせください。

私は、何回か条文を読みましたが、1回目は条文を頭から「すべて」読んでいました。その中でも、過去問で問われた条文はより丁寧に読みました。(2回目は判例も含めて、3回目は過去問に出た条文だけ)
今思い出せる限りでは、たとえば
憲法は暗記するつもりで1字1句に注意して、
民法は要件効果に注意して、
刑法は文言と論点の関係に注意して、
会社法はどの点で民法の特則になっているかに注意して、
読んでいました。
(他科目や他の注意点もありましたが、思い出せません。。。)

私は、1日100条ぐらい読むようにしていました。1日のうち午前中(9時から1時)は短答対策にあてていて、問題演習や百選読みと並行してやっていたので、1時間から1時間半くらいで読んでいたと思います。
私は、特に読むのが早いわけではありません。。

そう考えると、やや時間がかかっているように感じます。
ここからは完全に私見ですが、まず、メモを引き写すのは最新の判例六法が販売されるまで待ってもよいのではないかと思います。憲法、民法、刑法は変わらないにせよ、行政法規は頻繁に変わりますから、最新の判例六法を使うべきだと思います。
次に、趣旨が分からないときにわざわざコンメンタールや基本書を引く必要はないと思います。物理的に頁を探している時間が無駄だと思うからです(これ結構時間かかります)。もし、趣旨が分からないと気持ち悪いのでしたら、趣旨が条文の下に書いてある択一六法を使うべきでしょう。しかしながら、趣旨が分からないといけないのは、超重要条文だけで十分であると思います。大部分の受験生が知らないことは知る必要がないからです。
仮に趣旨が分からない条文が超重要条文である場合でも、そこに付箋を貼るなりしてズンズン進んでいっていいと思います。調べるのは後でもできます。それよりも、条文の構造や法体系が理解しやすい方を選ぶとよいと思います。
また、そのようにくるくる回して出来るだけ多く反復する方が記憶に定着します。忘れちゃいますからね。

ですので、私の考えとしては、
ア 素読はやったほうがいいのではないか。
イ その方法は、条文をひたすら読めばよく、その他の作業は出来るだけ省いたほうがよいのではないか、というものです。


蛇足ですが、問題演習をする際には、「これは条文がある」とか「ここが違う。正しくはこう」等と、肢を正確な理由をつけて全て切れるかどうかがポイントになります。masoブロの過去の記事を読んでらっしゃるとのことなので実践されていると思いますが、念のため強調しておきます。それができれば、足きりはありえません!!

また、論文・択一が私も去年の段階でボロボロでした。
しかし、今から(特に現役生は)集中的に勉強することで力が飛躍的に伸びます(そしてそれを実感します)。なので、あせらず、自分に合った「王道」と呼ばれる勉強方法を突き進んでいってください!!(学問に王道なし、といわれますが、司法試験受験の王道はあると思います。)



【masoの回答】

私もN氏と同様,効果を感じていらっしゃるなら,判例六法の読み込みを継続した方がよいのではないかと思います。

私にとっては,判例六法の読み込みが非常に効果的であったと思うため,お勧めさせていただいておりますが,当然唯一の正解ではありません。判例六法の読み込みを日々の学習に取り入れるかどうかは,今後の学習スケジュールや勉強スタイルにもよると思いますので,私のやり方については1つの参考意見程度に聞いてください。

まず,私は,紫の判例六法(当時の最新版)は,それが発売されたときに,それまで使っていたコンパクトサイズの六法(判例付きでないもの)から買い換えました。
それまでは,六法へはほとんど書き込みをしていませんでしたし,判例六法も使っていなかったので,読み込みを開始したのは,紫の判例六法を買い,司法試験対策を開始するようになってからということになります。判例等を色分けしたり,付箋等を張り付けたのもそれ以降の話です。

私が試験対策として判例六法の読み込みをしたのは,どのような問題に対しても条文を出発点として考え,判例の知識・理解を元にして,事案の解決を探る姿勢を身につけることが,短答にも論文にも役立つだろうと考えたからです。
短答対策にはもちろん,論文対策という面でも,問題を考えるときに,①関連しそうな条文がパッと頭の中に浮かび,解決の糸口となる条文があるとすればこの辺にありそうだというあたりを付けることができ,②その条文に関連する重要判例としてはこれらがある,と思いつけるかどうかというのは,正しい問題意識の把握に関連して,問題に解答する上で非常に重要な意味を持ちます。
そのためには,まず条文・判例の存在(法体系上の位置づけ)とその内容を知ることが必要になりますから,そこに判例六法を読み込むことの意味があるわけです。

判例六法の読み込みを開始する前に,まずは新司法試験の過去問を解いて解説を参照する際に,出題された条文,判例をその都度チェックしていくことが必要かと思います。このとき,条文のどこが出題ポイントであったのかまでチェックしておくと後々役立ちます。何項が聞かれたのか,どの文言について聞かれたのか分かるようにしておくとよいでしょう。それ自体を書き込んでもよいと思いますが,スペースの都合もあるので,色分けのルールを決めて,色に意味を持たせて使い分けるというのがいいのではないかと思います。
何度も出題されているものは,試験委員が重要だと考えているわけですから,今後も関連問題が出題される可能性が高いと考えられますし,その条文が属する分野の他の条文についての問題がまだ出題されていないとすれば,そこが出題される可能性もあると判断することができます。読み込む際のメリハリをつけるという意味でも,判例六法の読み込みを学習に取り入れる際には,過去問に出題された箇所を丁寧にチェックしていくことは必須だと思います。

また,判例の判旨については,それ自体を毎回読むというのが原則ですが,択一の前には,一気に確認する必要がありますから,結論が肯定なのか否定なのかが分かるように,これもまた自分でルールを決めて記号なり,色なりで分かるようにしておくと役立ちます。
判例が多く,結論の肯否が分かれているところ(ex.処分性等)については,択一前に上記の方法で判別したものを確認しておくことで万全になると思います。

私は,有斐閣の判例六法の掲載判例が最新の百選・重判とリンクしている点を非常に重視していました(Q&Aのまとめ1-2のご質問「判例六法を使用していたとのことであるが,条文判例本や択一六法を使用しなかった理由は何か。」の回答参照。)。
百選・重判を読み込み,判例六法を読む際に条文ごとに掲載されたそれらの判例の判旨を読むということを繰り返すことで,判例の法体系上の位置づけや理解が定着したように思います。

判例六法の読み込みは,他の学習とバランス良くやることで効果が上がるものだと思いますので,問題演習や判例学習を併行してやる中に,判例六法の読み込みを組み込んでいくということが大切だと思います。

私は,その日に短答の学習をする科目について,判例六法を読んでいました。
スケジュール表の画像を見ていただければわかると思いますが,午前中に読むことが多かったです。読むときは,その法律のほぼすべての条文について読みました。民法や会社法については,分野を分けて読むこともありましたが,細かく分けすぎるとそれだけで1週間が過ぎてしまいますから,分けるとしても3回程度(ex.①総則・物権,②債権,③親族・相続)でした。
慣れてくれば,誰でもかなりの速さで読むことが可能になると思いますが,限られた時間内で網羅的に条文・判例を追っていくには,判例六法に様々な書き込みがなされていることが必須です(過去問出題箇所・出題回数・判例の色分け・要件・効果のチェック・重要文言のチェック・付箋はりつけ等)。
読む際のメリハリのつけ方については,N氏の解答や私の(「Q.判例六法の回し方について,択一前はピンクと赤だけ、論文前は黄色まで読むという意味か。科目によって重点のかけ方に違いはあるか。」との質問に対する)下記の回答を参考にしてみてください。

・・・・・・・・・・
第1 回し方
択一の試験前は、気になる箇所について、赤から黄色までほぼすべて目を通していました。
短答のまとめファイルの表と判例六法に貼り付けた付箋などを確認した後に、もう一度見ておきたい条文と関連判例をざっと確認する感じです。
論文の試験前には、論文のまとめファイルを主に読んでいて、判例六法では、条文操作や重要判例の要件を確認していました。
普段の学習の中で判例六法を通読することも多かったのですが、そのときは、条文だけを読む、判例だけを読む、なんども出題されている条文+赤&ピンク判例だけ読む、・・・など、択一の勉強として読むか、論文の勉強として読むかによって変えていました。

第2 科目による重点のかけ方
短答では各科目それぞれ出題傾向があるので、それらに合わせて読み方を若干変えていました。
ただ、私は、別の機会に勉強した判例知識を短時間で確認するためのツールとして使っていたので、科目ごとに明確な差をつけて読むということはなかったように思います。
これについては、何か決まったやり方があるわけではないので、これまでの勉強の中で得た、科目ごとの出題感覚を活かして、臨機応変に読み方を変えてみればいいのではないかと思います。
・・・・・・・・・・

そして,N氏の回答にあるように,条文の趣旨等を調べるのは後に回して,どんどん読み進めるのがよいと思います。そのような学習は論文の学習の際にやるべきことだと割り切ることが肝要です。

なお,問題演習について,N氏が述べているところと重なりますが,過去問については,出題された問題のすべての選択肢の正誤につき,正確な理由をつけて全て判断できるかどうかは,非常に大切なポイントです。何となく判断するのではだめです。本番では,過程はどうあれ,正解にたどり着ければそれでよいかもしれませんが,練習の段階ではこれを重視してください。

受験勉強を継続する上で大切なのは,学習の目的と手段を選択した理由を自分の中にしっかりと持つことです。
ご自身の勉強スタイルを確立して,無事試験を突破されることを願っています。




【特別連載・科目別に気をつけるポイント・刑法】byN氏」の記事について

Q1.N氏は,未知の問題に出会ったときの対処法として「①基本的な事項を正確に書いた上で,②どこが難しいか・わからないかを明らかにして,③論理的に演繹する」と書いていたが,私は,民事系(特に民事訴訟法、次に民法)においてこのような場面に遭遇したとき,題意が把握できずパニックになってしまい,インプットした知識でお茶を濁してしまい①すら満足に書けない。N氏は、今年の大問において(去年の過去問でもありがたいですが),この点を特に強く意識されたのはどの問題だったのか。そして、この点を克服するには日々の演習等においてどのような意識をもって取り組めばいいのか。 ③についても,より具体的に論理的思考を示して欲しい。 
Q.2 2010年度新司法試験民事系第2問の設問1について,設問の事実がなぜ有権代理の「間接事実」になるのかよく理解できない。


【N氏による回答】

ご質問ありがとうございます。

【Q.1について】

今年の大問は、私は考えたことのない問題が多かった印象で、特に設問2、4についてこの点を意識しました。
具体的には、簡単に「第5回新司法試験を振り返る」の「民事大大問」「振り返って」の記事で述べましたが、

設問2は、抵当権の損害論で見た瞬間驚きました。考えたことないよ、と。でも難しいことはわかってる、ということを書きたかったのです。そこで、基本部分として、抵当権は目的物の交換価値を把握する価値権であること、抵当権は実行をして初めて価値が実現することなど、知っていることを論文の中にいれ込もうとしました。

設問4は、(1)は聞いたこともない問題だったので、混乱せず知らないことは書かないように、当たり前のことを書こうとしました。訴訟物の範囲=既判力という大原則、既判力の根拠は手続保障を尽くした先にある自己責任にある、放棄の定義や拘束力の有無や根拠の議論など、本件に関係のある基礎知識から構成するようにしました。
(2)についても「?」となりましたが、一部認容判決の許容性の話だから246条を出して原告の合理的意思解釈を根拠に許されるとの基本部分だけは書こうと思いました。

以上のように、問題に関係のある基本的知識を正確に論じようと意識しました。

論理的に演繹するという点では、設問3で強く意識しました。結論として無効はおかしいだろう、というのは書く前からちらつきます。
しかし、当事者の定義を書いた後、「当事者でない者の訴訟行為は無効で、訴訟代理も任意的訴訟担当もありえない。だからやっぱり(論理的には)無効です。」とまず書きました。
結論が不当だから、とか、かわいそうだから、というのは非論理的な要素ですので、論理的に演繹する際には出すべきではありません。結論がおかしい場合にはどうしても非論理的な要素が入りがちですので、そこに当日気をつけていました。(もっとも、その後一般原則を用いて結論の妥当性を図りました。)

また、設問4(2)も、自己の見解は否定説に立つ、と決めて一貫した立場での論述をしました。途中で肯定説の方が書きやすかったかな、と思いましたが、一旦否定説で書き始めた以上、一貫して書きました。

「論理的に演繹する」というのは表現としては崇高なものに思えますが、要は一貫性を持ってわかりやすい文章を書く、ということだと思います。


【Q.2について】

具体的には、設問1の①の事実との理解でよろしいでしょうか。
主要事実とは、法規の構成要件に該当する事実をいい、間接事実は、主要事実の存否の推認に役立つ事実を言います。
本件での主要事実は、本人Aが代理人Cに(金額の範囲はともかく)代理権を授与したこと、です。設問1①の事実は、Aが相手方Fに「Cとの間でよろしく進めてほしい」といったにとどまり、別に代理権を与えたことを明らかにしているわけではありません。そうではなく、AがFに「Cとの間でよろしく進めてほしい」といってるんだから当然AはCに代理権を授与したんだろうな、と推認できる事実になると思います。なので間接事実だと考えます。

以上、回答となっているでしょうか。
完璧な準備ができないのが普通ですから、そこまで焦ることなく、自分を信じて1日1日を大切に頑張ってください!!


Q.頭の中で『 「Cとの間でよろしく進めてほしい」=「Cに代理権を授与したのでCとの間でよろしく進めてほしい」 だから当該事実には代理権の授与という事実が含まれているので主要事実だ 』と考えてしまう。 どこが誤っているか。

【masoの回答】

私の方から補足的に回答させてください。

「AがFに電話をして,3月15日に赴かせるCには交渉の経過を話してあり,それをCが理解しているから,後はCとの間でよろしく進めてほしい,と述べたこと。」は,有権代理の主張についてみると,間接事実になると思います。
本件に即していえば,主要事実は「AがCに対して,本件消費貸借契約の締結に先立ち,代理権を授与したこと」になります。代理権の授与行為は,AからCに対してなされるものですから,AがFに対して,電話で上記のように述べたとしても,前記主要事実の存在を推認させるにとどまります。

>『「Cとの間でよろしく進めてほしい」=「Cに代理権を授与したのでCとの間でよろしく進めてほしい」 だから当該事実には代理権の授与という事実が含まれているので主要事実だ』

との考えのうち,『=』という部分が違います。
なぜなら,主要事実は具体的な事実であり,「AがCに対して,本件消費貸借契約の締結に先立ち,代理権を授与したこと」それ自体である必要があるからです。
AのFに対する「Cとの間でよろしく進めてほしい」との発言を,「Cに対して代理権を授与したので」という趣旨であると解釈することは,まさに,AのFに対する発言から,AのCに対する先立つ代理権授与を推認をしていることに他なりません。
事実とそれに対する評価(推認)を分けて考えてみれば,分かりやすのではないでしょうか。

Q.2010年度新司法試験民事系第2問設問2(1)について,私は,この問題を検討したとき,損害の点について法定地上権を検討し、「土地の価値を把握できているのだから、損害はないのではないか。」ということを考えた。出題の趣旨にはこの点については触れられていなかったが, このような考えは題意に答えていないのか。

民事系の問題を一通り読みました。
成立が予想されていた法定地上権について検討するのはありだと思います。
問題文について,私の方が何か勘違いをしていたらすみません。

具体的に考えてみると,丙建物以外にも甲・乙土地に抵当権が設定されているから,そこから回収できる場合にはFに損害はない,という主張に絡めて,
「丙建物については法定地上権の成立が予想されていたところ,乙土地と丙建物の共同抵当権者Fとしては,乙土地の交換価値のうち,丙建物のために成立が予想される法定地上権の負担に相当する価格については,丙建物に対する抵当権の実行により回収し,法定地上権の負担を控除した底値価格については,乙土地に対する抵当権の実行により回収することによって,乙土地の交換価値全体を把握していたものであって,Fの把握していた担保価値は,乙土地及び丙建物全体の担保価値であり,Fは,丙建物が取り壊されたときは,乙土地につき法定地上権の制約のない更地としての担保価値を把握しようとするものであることを前提として,丙建物の存在によって法定地上権の価格相当の価値だけ減少した乙土地の価値は,丙建物が取り壊されたことによって,乙土地の価値として把握されることになること,したがって,Fには,丙建物自体の担保価値が毀損されたことによる損害しか発生していない」
と主張することが考えられます。

加えて,
「築年数等によっては丙建物自体の担保価値がほとんどない場合もあり,丙建物がAの事務所を兼ねた商品の一時保管の場所として用いられてきたことを考えると,その可能性は高い。そうすると,丙建物の担保価値を含めて甲土地の担保価値によってカバーされうることは十分に想定でき,Fに損害はない」
という主張をすることができそうですね。

甲・乙・丙各不動産の価格等が明示されていないため,「損害はない」との主張をするまでに,仮定的な話を含めて,かなり長々と論じることになりそうですが,問題文は,「…Fの損害をどのようにとらえるべきかを検討するに当たり,留意すべき事項を挙げ,それらの事項についてどのように考えるべきか,想定される反論も考慮しつつ論じなさい。」とされているので,上記主張を挙げて検討するのもありだと思います。

なお,出題の趣旨の前段,「小問(1)の考察においては,Eによる丙建物の取壊し後におけるFの被担保債権額と甲乙土地の価額との関係を考慮しつつ,抵当権侵害における損害の発生について,抵当権の担保権的性質の基本的理解との関連を意識しつつ論ずることが望まれる。ここでは,【事実】及び〔設問〕のいずれにおいても,甲乙土地及び丙建物の価額は示されていないので,解答は抽象的な理論操作に基づく記述で足りる。」からすると,このような主張も想定されうるのではないでしょうか。

この問題で主張を組み立てる際に一番大切なのは,出題の趣旨にもあるように,「抵当権の担保権的性質の基本的理解との関連を意識しつつ論ずる」ことだと思います。



Q.2010年度民事系科目第1問設問2①の「発行された株式の効力」の部分について,以下のように検討してしまったが,誤っている部分があれば指摘してほしい。
・・・・・・・・
問題文3の第1段落において、Bは株式の一部を譲渡している。
そして問題文においてその新たな株主に対して通知(会社法201条3項)している事情はない。
そして本件発行は、「不公正な方法」に該当し、その株主が不利益を受けるおそれがある(210条2号)
よって、差し止め事由があるのに通知してないから無効である。

・・・・・・・・

【N氏による回答】

たしかに、問題文には通知がなされたという事実は明らかになっていません。しかし、差止め事由にも通知がなされていないだけでは当たりません。210条1号2号に該当する必要があります。
(※コメント欄はタイプミスです。修正。)
まず、無効事由は明文の規定がありませんから、差止め事由+通知なしの場合は無効、という判例理論を踏まえた論証が必要です。
次に、果たして本件事情が「著しく不公正」といえるでしょうか。甲社には資金調達の必要があり、しかも支配権争いも行われていない状態で、取締役以外の丙社にする募集株式の発行が不公正発行というのは極めて難しいと思います。
通知したということが書いていない、ということをもって不公正発行を書くというのは完全に出題の趣旨に反します。問題文に正面からぶつかる、というのは基本的には書いてあることを前提に論ずれば足りると思っています。今回不公正発行あるいは有利発行に該当するのであれば、その仮定の下、場合わけをして論ずべきですが本件ではその必要は皆無です。
読んでいる方としては、「自分の知っている論点を書くために問題文を誤読した。そしてその論点の理解も誤っている」と感じてしまいます。

やや厳しい言い方になってしまいましたが、江頭先生の教科書等を参考に、概念の理解のみならず、典型例の理解をして事案に適用できるようにがんばってくださいね!


なお、私がまとめた「不公正発行」についてのメモを以下に添付します。(信用性は保障しないのであくまでも参考にして、自分で論証等を考えて下さい。)


************************
不公正発行
「著しく不公正な方法」による新株発行とは、不当な目的を達成する手段として募集株式の発行が利用される場合をいうところ、資金調達目的ではなく、現経営者の支配権を維持することを主要な目的としてされたものであるときは、不当な目的を達成する手段として新株発行が利益される場合に当たるというべきである。
*資金調達目的(正当な目的)
→資金調達は会社の業務執行であるから、取締役会に委任されている(201条)
 資金調達は取締役が会社法上できることをすることの例示
*支配権維持
→株主が取締役を選ぶのが原則であるところ、取締役が株主を選ぶことになる。
権限分配論
視点
・資金調達目的はあったのか、切迫していたのか、その方法で妥当なのか
・新株発行の数(多ければ多いほど、支配権に影響を与える。株主の順位変動が起こることだけで、支配権維持目的UP)
・決議の方法が適切か(きちんとできるのにやらなかった、支配維持目的UP)
*株主の何の利益が害されているのか、その保護がどれだけ必要なのかを書く。

支配権維持目的でも許される場合
ア グリーンメーラ―
イ 焦土化経営
ウ 担保や弁済のための資産流用
エ 高値売り抜け目的
など、会社を食い物にしようとするような濫用目的を持って株式買収を行っている株主に対して、「必要かつ相当」の防衛策をとることができる。






【特別連載・科目別に気をつけるポイント・行政法】byN氏」の記事について

Q1.(masoに対し)ダットサン民法は民法の実体法の理解を深めるのに役立つか。 例えば、平成21年度民事系第2問設問1では,意思主義に基づく解答が求められていたと思うが,自分は問題を解く際、意思主義や表示主義といった言葉さえ頭に浮かばなかった。
Q2.(N氏に対し)民法の実体法の理解をどのようにして深めたか。おすすめの教材等があれば教えてほしい。


第1 Q1.について

【masoの回答】

ダットサンは,論点や判例を確認するのには向いていませんが,制度の趣旨等,基本的なところがしっかりと書かれているので,「我妻・有泉コンメンタール民法―総則・物権・債権」と併用して使っていました。 問題演習をする過程で折に触れて参照するという形です。

平成21年度新司法試験民事系科目第2問設問1は,
「本件売買契約は,何を目的物として成立したものであると考えられるか,理由を付して結論を述べなさい。その際,【事実】5記載の注文書及び【事実】6記載の注文請書にあった型番誤記が本件売買契約の効力に影響を与えるか,錯誤の成否にも言及しつつ述べなさい。」
という問題でした。

この問題を見たとき,売買契約の成立要件を掲げることはもちろん,契約一般の成立要件,意思表示,意思主義と遡って考えていく必要があります(必ずしもそれらを答案に書くという意味ではない。)。錯誤の意義,なぜ契約が無効となるのか,なぜ無効とする必要があるのかについても,意思主義を前提としてはじめて理解されうるものだと思います。
そういった問題検討のプロセスや頭の使い方については,日々の問題演習とその検討の過程における検証の中で,次第に身についていくものだと思います。ダットサン民法やコンメンタールは,基本的部分の理解を深めるのに役立つと思いますが,それはあくまで,問題演習・検討の過程等で疑問を抱き,問題意識を持って注意深く参照するからでしょう。したがって,「単に頭から通読する=実体法の理解が深まる」というように簡単にはいかないと思います。

問題演習の過程で生じた疑問は,そのままにしないで,メモを取るなりして,後で時間を取ってまとめて調べて理解する習慣をつけるとよいと思います。これを習慣化すれば,目的意識を持って基本書等を読む機会を設けることができますし,逆に,これをしておかないと,次回の検討の際に,同じ疑問の解決に時間を取られることになり,非効率です。

このあたりのことは,「ゼミとか」の記事でも書いたところです(下記参照)。

・・・・・・・・・・
勉強していて、よくわからなかったところは付箋にメモっておいて、時間のあいたとき(休憩時間とか)に
1 図書館の詳しい本で調べる
2 オフィスアワーや授業後に専門の先生に聞いてみる
3 優秀な勉強仲間に聞いてみる(含む上記mixi)
で解決していました。これらの手段で解決できない問題は、試験のレベルを超えていると(勝手に)判断して、一切気にしないようにしていました。
・・・・・・・・・・

また,ミスをしてしまった場合,次に気をつければよいと考えるのではなくて,すぐにその場で,二度と同じミスをしないようにするにはどうすればよいのか,ミスの原因を丁寧に分析していくという姿勢を大切にしてください。一度間違えたところを放っておくと,同じところで何度も間違えることになります。

試験の日程から逆算すれば分かるとおり(是非一度,実際に計算してみてください),各科目にかけられる時間は限られています。何をやるかを考えることも大切ですが,何をやらないかという視点も大切です。試験突破に必要な知識・理解を身につけるにはどうすればよいか徹底的に考えた上で,日々の学習に取り組まれるとよいと思います。

第2 Q2.について

【N氏による回答】

私が主に使用していた民法の教材は、
1 Sシリーズ(契約のところは潮見先生の黄色い本)
2 百選1、2
3 民法に関する旧司法試験の問題平成分
です。

私は、従前からも述べておりますが、どの教材を使ってもよく、教材自体の善し悪しではなく、どう使うか、どれだけ繰り返せるかの方が重要だと思っています。その点で、やちんさんと同じように内田民法は厚すぎる気がしていたため、遠慮していました。そうではなく、比較的薄く、要件効果が書いてあると思ったSシリーズを使う事にしていました。問題演習などで理解の不足している部分を認識し、Sシリーズをまずみました。それでわからないところは、内田民法なり佐久間先生の教科書なり潮見先生の教科書なりで確認していました。

私は、分析でも述べた通り、新司法試験の民法の問題は、類似する制度をきちんと区別できるかという制度間の理解を聞いてきていると思っていました。したがいまして、似た制度についてはその適用の区別ができるようになるまで理解しようとつとめました。(これに関しては、調査官解説なども参照しました。)
たとえば、代理の有権代理、無権代理、109条、110条、112条、109条と110条の重畳適用、110条と112条の重畳適用、110条と94条2項の類推適用(趣旨の類推適用)の区別でした。
その他にも、錯誤、詐欺取り消し、停止条件付意思表示、瑕疵担保解除、履行遅滞解除、履行不能解除などです。
(もう少しあったと思いますが思い出せません)


今の段階で、過去問を解き、その基本部分が押さえられていない、と認識する事が大事だと思います。私も去年の9月に21年度を受けて、意味不明で泣きそうになりながら落第答案を4時間かけて書いたのを覚えています。。。笑
焦る必要はないので、ぜひとも頑張ってください!!






択一」の記事について

Q.過去の重判は何色でマーカーしていたのか。

各科目について,百選でカバーできていない年度以降のものを「現在の重判」として,ピンクで色分け,それ以外の重判掲載最高裁判例=「過去の重判」は,オレンジで色分けしていました。

Q.では,例えば,民訴の百選が今年の10月に発売されたが、百選でカバーできていない年度以降のものを「現在の重判」とするという定義に従うと,現在では最新の重判である平成21年度重判掲載判例も「過去の重判」という扱いになるのか。

私だったら,最新版の民訴百選に平成21年度重判掲載判例の一部が掲載されているかどうかで分けて,掲載されていなければ,「現在の重判」としてピンク,掲載されていれば,「過去の重判」としてオレンジということにすると思います。




公法系論述(憲法)」の記事について

Q.短答で320点以上を狙っている。入学時から毎日択一の問題を20問程度といては復習、解いては復習という勉強をしているが,これで大丈夫なのであろうか?という不安をいつも抱いていまう。300点以上採るにはどのような勉強が必要と考えるか。

まずは現状把握かと思います。bun太郎さんは,入学時から継続して問題演習に取り組んでおられるとのことですから,既に解いていると思いますが,各年度の新司短答過去問を時間を計って解いた上で,各科目の分野別正答率から理解度を把握して,その穴を埋めていくことが必要でしょう。特に,300点を超える点数を狙うとなると,全科目全分野にわたってまんべんなく得点する必要がありますから,徹底した自己分析(現状把握)が必須と思われます。TKCの模試が利用できるようなら,そこでも分野別正答率が分かるので活用されるとよいと思います。

短答式試験では,①【公法系科目】憲法は,判例理解と条文知識,行政法は判例知識と条文知識,②【民事系科目】民法,民事訴訟法,会社法,商法総則・商行為・手形小切手のいずれも,条文と判例の知識,③【刑事系科目】刑法総論は,刑法理論と択一プロパー分野の条文知識,刑法各論は,構成要件の解釈論と判例の知識,刑事訴訟法は,判例知識と条文知識,というように各科目とも,重点的に条文と判例の知識が問われます。ですから,穴を埋める際は条文と判例を最重視して学習されるとよいのではないでしょうか。
私が300点程度の点数を取ったのは,辰己総択1(3月),辰己総択2(4月),辰己全国模試(4月)の3回のみですが(「模試について」(http://hayamaso.blog91.fc2.com/blog-entry-17.html)の記事参照),私の勉強法は,新司法試験の過去問(民法は,加えて旧司法試験の過去問),TKCの問題,辰己の短答オープンの問題をつぶすとともに,書き込みのある判例六法を読み込むというものでした。

短答と論文の勉強時間の比率については,受験期の①2008年9月~12月は,短答:論文=9:1,②2009年2月~3月は,短答:論文=5:5,③同年4月は,択一:論文=3:7というように変えていき,4月は,判例六法と短答まとめを読むのみで,新たな知識を入れたり,問題演習をしたりすることはありませんでした。300点以上を狙う場合には,直前期のスケジュールにも問題演習を組み入れていくことが必要かと思います。

ログヨミさんのブログ(planetes)の
具体的な択一対策

イチローさんのブログ(司法試験の思い出)の
択一試験の勉強法その1
択一試験の勉強法その2

の各記事は,短答式試験で高得点を取るための勉強法として,大変参考になるのではないかと思います。

Q1.判例読みについて,判例を読むことがどの程度、問題を解くにあたって活きてくるのか。判例の事実評価の仕方を盗むことを主眼に読んでいるが,いざ問題を解いてみると,判例読みの成果を活かすことができない。
Q2.問題演習について,一冊の演習書(学者が書いたもの)をひたすら繰り返すのか,それとも,大量の問題を解くために,たくさんの問題集に手を出す方がよいのか。また,問題を解くことなく直ちに解説を読む方法についてはどう思うか。


【Q1.について】
短答であれば,判例の知識が問われますし,論文であれば,基本判例の理解(判例の見解とそれを踏まえた論述,判例の射程など)が問われるため,問題を解くにあたって,事前に判例を読みこんでおくことは必須だと思います。
実務の現場や研修所では,基本的に判例実務に反する見解は相手にされませんので(事実(認定)レベルでの争いになる),実務家登用試験である新司法試験でも同様に,判例を理解し,それを前提に議論する(使いこなす)能力が求められることになります。
判例の事実評価の仕方を学ぶということでしたら,判文を読んで気づいたことを抽象化・一般化した上で,自分なりにルール化して,論述の際には,具体的にそれを落とし込んでいくといった方法を試してみるのはどうでしょうか。また,重要判例については,事案と判旨を追うだけでなく,調査官解説その他の評釈に目を通すなどして,判例実務の考え方,問題意識を理解するように努めることも必要かと思います。

【Q2.について】
短答式試験対策としては,多くの問題にあたることを重視していました。
論文式試験対策としては,問題演習を通じて,解答に至る思考方法,問題へのアプローチの方法を身につけることに主眼をおいていました。各科目の問題を前にしたとき,どのように考えて,どのように書いていくか(どのように思考過程を示すか)という点を鍛えるということです。
私はそのための教材として,新・旧司法試験の過去問が最適だと思ったので,それらをメインに据えて繰り返しやりました。それらをメインに据えたのは,過去問が試験委員が要求する水準を示すものであるため,過去問に対する適切なアプローチ手法は,本試験に対する適切なアプローチ方法でもあるはずだと考えたからです。実際,民法や民訴は過去問しかやりませんでしたが,十分であったと思います。
問題を解くことなく直ちに解説を読む方法は,(もちろんその方法が合っている人もいるかも知れませんので,一概には言えませんが,)論文式試験についての上記勉強法に反するので採用していませんでした。

Q.採用した演習書は、旧司過去問とのことだが,他の科目,例えば、刑法や刑事訴訟法は何を使用していたのか。できれば全科目教えてほしい。 また、その演習書に掲載されている問題をすべて起案したのか。それとも、答案構成にとどめていたのか。週に何回程度答案練習をしたのか。

トップページ左,カテゴリの「目次」→「4 私の科目別使用教材と試験対策の視点」以下に,各科目ごとにリンクが張ってあり,リンク先でアウトプット使用教材を記載していますのでご覧ください。

旧司については答案構成が多かったです。
答案構成後に,特定の部分を書いてみるということはありました。
大体ですが,2009年2月~3月に,手形小切手を除く全科目について,事例問題中心に,憲法:2周,民法&刑法:2周+平成の問題はさらに数回,商法:1周+平成後期について2周,民訴&刑訴:2周+平成後期について2周解きました。
答案練習という形では,2008年9月末(TKC後)~12月に友人2人と自主答練(週1回程度,4時間で2問)をやっていました。そこである程度感触がつかめたため,年明けからは皆で集まって書くという形での論文答練はしていません。




【特別連載・科目別に気をつけるポイント・特許法】byN氏」の記事について

Q.いわゆる「厳格な合理性」の基準(立法目的が重要で、目的と手段との間に実質的な関連性が存するか、を検討する基準。)における手段審査について,先日、憲法答案検討ゼミをしたところ「代替手段があることを理由の1つとして、実質関連性がない」という趣旨の論述をする受験生が大多数であることが分かった。
個人的には、代替手段があってもなくても、立法目的と当該手段との間の実質的関連性に影響はでないと思っていたが,代替手段を挙げると論述の説得力が増すと感じた。 また,実質的関連性という規範自体があいまいだから,代替手段があることを理由にしても理論的に間違いとは言い切れない,とも思った。
① maso,N氏は、受験生が答案上で,「代替手段があることを理由の1つとして,実質関連性がない」という論述をしてもよいと思うか。
② また,maso,N氏が受験生だとしたら,実質的関連についてどのような論述をするのか。


【masoの回答】

ひとまず,masoからお答えします。
憲法からは1年以上離れているので,まともなお答えができるか分かりませんが,現段階で考えてみたことをお伝えします。

いわゆる「厳格な合理性の基準」についての伝統的理解からすれば,代替手段の検討がなされると思います。

この点について,
>代替手段があってもなくても、立法目的と当該手段との間の実質的関連性に影響はでないのではないか
というYAZUさんの疑問については,以下のように答えることができるかと思います。
※引用文献は,「憲法Ⅱ[第4版]・有斐閣・野中・中村・高橋・高見」です。

①まず,伝統的な学説の理解からすると,「(エ)次に経済的自由の規制であるが,これを積極目的と消極目的の規制に分ける。これはどちらの場合も合憲性の推定が働いている。(cf.「一般に法律については、「合憲性の推定の原則」が働くといわれている。すべての法律は立法権をもつ国会によって合憲と判断された上で制定されたものであり、一般に合憲との推定をうけるというのである。」(p294),「…また合憲性の推定とは、正確には、法律を支える立法事実の存在の推定であるから、」(p295))…(中略)…消極目的の規制の場合には、「厳格な合理性の基準」によるべきである。すなわち立法目的の正当性の審査のほか、立法目的と手段との間に単なる合理的関連性にとどまらない事実上の実質的な関連性があるかどうかが審査されるべきで、もしそのような関連性がなければ違憲とされるべきである。」(p297)とあるように,経済的自由権への規制については,合憲性の推定が働いていることを前提として違憲審査が行われることになります。
②次に,違憲審査の内容については,「しかし法令自体あるいはその適用の意見が争われる憲法訴訟においては、そのような個別・具体的な事実(maso注:司法事実)のほかに、その立法事実、すなわち立法の基礎を形成し、かつその合理性を支える社会的・経済的等一般的事実の存否を確かめることが必要な場合が多い。立法者が立法をするにあたっては、それを必要とさせる社会的・経済的等の事実が当然認識されているはずであるが、立法者による立法事実の認識に誤りはないか、立法事実は裁判の時点でも存在しているか等の審査が必要とされるのである。そして法令の違憲審査は、通常は、立法者が設定した立法目的とその立法目的を達成するために選択した手段の両面にわたって行われるが、検証された立法事実に照らしてそれらの立法目的と手段選択は正当かつ相当といえるかどうかの判定がなされることによって、裁判官の憶断によらない、科学的な根拠に立った憲法判断が可能になり、判決に説得力がもたらされることになる。」(同p292)とあるように,立法事実に照らして,立法目的と手段選択について判断されることになります。
③これら①及び②を前提にすると,立法事実の存在が推定される場合には,立法目的と立法目的達成手段には合理的な関連性があることを前提として,それが立証によって覆されない限り,合憲と判断すべきと考えられます。経済的自由権の消極目的規制のように,審査密度が高まり,立法目的と手段との間に単なる合理的関連性にとどまらない事実上の実質的な関連性があるかどうかを審査する場面でも,立法事実の存在が推定される以上,目的と手段との間には事実上の実質的な関連性があると判断される方に傾きがちです。
そうすると,実質的関連性が「ない」という判断をする場面においては,手段の必要性,合理性の判断に加えて,(あるいはその判断の中で)他の代替手段がある(=その目的を達成するためにより緩やかな規制手段がある)ことが積極的に主張(あるいは認定)される必要があるということになると思います。
(なお,合憲性の推定が働かない場面―ex.表現の時・所・方法の規制―における「LRAの基準」においては,他の代替手段がないこと,すなわち規制の必要最小限度性が主張・立証(あるいは認定)される必要があるため,厳格な基準になります(p297参照)。)
反対に,実質的関連性を肯定する場面でも,手段の必要性,合理性を主張(あるいは認定)する際には,代替手段によっては目的達成に至らないことをいうことで,論旨の説得力が増すと思います。

したがって,ご質問①については,そのような論述をしてもよいと思うというお答えになり,ご質問②については,実質的関連性の論述の中で,代替手段について検討できるような事情が問題文に挙がっている場合には,それを使って論述するというお答えになります。
加えて,実質的関連性のあてはめの部分の論述では,具体的事実を拾って,目的との関係で丁寧に評価していくことが大切だと思います。

補足として,最高裁昭和50年4月30日大法廷判決(民集29巻4号572頁)は,「一般に許可制は、単なる職業活動の内容及び態様に対する規制を超えて、狭義における職業の選択の自由そのものに制約を課するもので、職業の自由に対する強力な制限であるから、その合憲性を肯定しうるためには、原則として、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し、また、それが社会政策ないしは経済政策上の積極的な目的のための措置ではなく、自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的、警察的措置である場合には、許可制に比べて職業の自由に対するよりゆるやかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によつては右の目的を十分に達成することができないと認められることを要するもの、というべきである。」,「(一)薬局の開設等の許可条件として地域的な配置基準を定めた目的が前記三の(一)に述べたところにあるとすれば、それらの目的は、いずれも公共の福祉に合致するものであり、かつ、それ自体としては重要な公共の利益ということができるから、右の配置規制がこれらの目的のために必要かつ合理的であり、薬局等の業務執行に対する規制によるだけでは右の目的を達することができないとすれば、許可条件の一つとして地域的な適正配置基準を定めることは、憲法二二条一項に違反するものとはいえない。問題は、果たして、右のような必要性と合理性の存在を認めることができるかどうか、である。」として,立法目的達成手段として,薬局開設の距離制限をすることの必要性,合理性を判断し,その中で,「四(2)(ハ)仮に右に述べたような危険発生の可能性を肯定するとしても、更にこれに対する行政上の監督体制の強化等の手段によつて有効にこれを防止することが不可能かどうかという問題がある。…」というように,代替手段(=事後規制によること)の検討をしているものと考えられます。

【N氏による回答】

>① お二人は、受験生が答案上で、「代替手段があることを理由の1つとして、実質関連性がない」という論述をしてもよいと思いますか?

結論からいえば、私もしてよいと思います。
「実質的関連性」は目的達成のために採用する当該手段の必要性と合理性を実質的に審査するものです。この「実質的関連性」と「代替手段の存在」は確かに一見関係がないようにも思えます。しかし、maso指摘の薬事法判決がそれをいうように、「合理性」を判断する際の要素の1つとなるはずです。

すなわち、Aという方法とBという方法があって、Aを採用した。でもBの方が優れた手段である、またはBの不採用の理由がまったく的を射ていない場合には、Aの方法の採用は「実質的にみれば合理的でない」との判断を下せると思います。


>② また、お二人が受験生だとしたら、実質的関連についてどのような論述をするのでしょうか?
これは、特別連載の憲法の欄でも少し書きましたが、違憲との結論を導くためには、まず国側が措定する合理性の論理過程を示した後、その不合理性を指摘することが理想だと思います。

2006年を例にとれば(使いまわしで申し訳ありません泣)
たとえば、国側は
「(あ)煙草の箱への一定の表現の義務付けによって、(い)国民に対して煙草の健康への害悪性が周知され、(う)それによって国民は煙草を吸わなくなり(あるいは量を減らすことになり)、(え)国民の健康被害の予防という目的が達成できる。」
と考えるわけです。

でも、本当にそうだろうか、と考えます。
(あ)と(い)のつながりに関しては、もうすでに8割の人が煙草と肺がんの関係については知っているんだから表示を義務付けても害悪性が周知されることはない、
とか、
(い)と(う)のつながりに関しては、煙草の害悪性は従来バージョンの箱ですでにみんな知っていてそれでも吸う人が今吸っているんだから表示を義務付けても国民は煙草を吸わなくならない、
とかを考え、それを基に
「実質的にみて合理的とはいえず、実質的関連性をかくといわざるを得ない」
等と結論付ける書き方をします。

なお、代替手段を書く場合には

「本件ではより緩やかなBという代替手段が存在する。したがって実質的関連性を欠く」
と書いてしまっては、厳格審査と混同している印象もあるので避けるべきではないでしょうか。

「本件ではBという手段がある。国側はBという手段をXという理由で不採用としたが、Xという理由は***であるから合理的でない。したがって、Aという目的達成のための手段は実質的にみて合理性を欠く。」
等と書いた方が分かりやすいように思えます。






択一」の記事について

Q.現在スタンダード短答オープンを受講していて,赤・黄・緑ファイルで色わけして繰り返し復習するというスタイルをとろうと思っている。なかなかに大量になりそうなので,それに見合ういいファイルが見当たらない(ほとんどが幅が狭くあまりファイルできないものや、幅の大きめのものでも色がない)。
使っていたもの、又はおすすめのものを教えてほしい。


合格後に,問題及びファイルをN氏にあげてしまったので,手元になく確認できないのですが,
おそらく,「マルマン B5・26穴ダブロック 30mm 」を使っていたと思います。

私の記事が分かりにくいことから,誤解を生じさせたようですみません。
赤・黄・緑ファイルというのは,ファイル自体の色ではなくて,解説冊子表面の問題右上のチェック欄に赤マーカーを引いた問題,同黄マーカーを引いた問題,同緑マーカーを引いた問題のそれぞれを綴じたファイルという趣旨です。
もちろん,色を合わせられればよかったのですが,私も,あっちさんと同じく,色がないことで断念したような記憶があります。なお,TKCの方は,キングジムの大きいファイルに綴じていたと思います。




【特別連載・科目別に気をつけるポイント・著作権法】byN氏」の記事について

Q.「答案において判例の射程をどのように表現すればよいのか」ということについて,私は,判例の射程が及ばないという結論を書く場合「判例は・・・という事情から結論を導いている。しかし,判例の事案と本件の事案は・・・という点で異なる。よって,本件は判例の事案の射程にはなく・・・という結論になる。」というように書く。 masoやN氏はどのようなことを意識して書けば採点者の印象がいいと考えるか。どのように問題提起するかも非常に迷っている

【masoの回答】
判例の立場で書くとしても,「判例は・・・」というように書くことは原則としてありません。判例の立場であっても,答案には,自分の見解として書くからです。
もっとも,平成19年度の刑事系科目第1問(刑法)小問2 にあったように,
後記最高裁判所決定を踏まえ,本事例において甲乙間の共犯関係の解消が認められるか否かを,具体的事実を示して論じなさい。
というような出題であれば,共犯関係からの離脱について,共犯の処罰根拠等の法律論(自説)を展開した上で,判例がピックアップした事実と本件の事実関係との異同を分析して,判例の射程を論ずることはありえます。
平成22年度の公法系科目第2問(行政法)設問3
Bらの請求を認容する一審判決が出されて,A村議会が請求権を放棄する議決を行う場合を想定して,以下の小問に答えなさい。
(1)【資料3】に挙げた二つの判決の間で,地方議会による請求権放棄の議決の適法性に関して考え方が分かれた点を説明しなさい。
(2)その上で,これらの判決の考え方をそれぞれ当てはめた場合,本件で村議会議員が検討している請求権放棄の議決の適法性についてはどのように判断されることになるか検討して,自らの意見を述べなさい。

といった問題でも同様です。
この問題の論述例については,当ブログでご紹介させていただいた「新司法試験再チャレンジ日記」(眠れる豚さん)の再現答案が参考になると思います。

判例の射程を論ずることが必要な問題では,判例が拾い上げた事実を,法律論との関係でどのように位置づけて理解するのか(評価・意味づけ)という点が大切だと思います。分析の視点をしっかりと呈示することが評価につながるのではないでしょうか。

>どのように問題提起するかも非常に迷っていて
上記判例の射程の問題を離れて,答案作成上,一般的に,どのように問題提起するか迷っているという趣旨のご質問でしょうか?それについては,過去の記事「理由づけ」で書かせていただいたので,一度目を通してみて下さい。

【N氏による回答】

私は、判例比較問題や射程を聴く問題に関しては、「判例は~」と書きました。今年の問題もそうでした。
剣が峯さんの書き方に加えるならば、判例と本件で事実は異なるのは当然ですから、その異なる事実がなぜ判例の射程内外の議論にとって重要なのかを書いてあげるとわかりやすいとおもいます。


一方、判例問題以外の場合には仮に判例の理解を示す場合でも「判例は~」とは書きませんでした。
理由は、
①自分の意見が聞かれているから
②「判例は」と書いてあるとどの判例か、果たして同じなのか、などの疑問がわいてくるし、実際にそう書かれた論文を読んだ時に読みにくかったから
です。
その代わりに、「判例は~」とは書かず、判例の見解は示すようにしていました。「たしかに~とも考えられる」とか「~とも解すべきである」という形で示していました。

あと、答案構成の件ですが、字や図が汚いために(他人には)判読不能だと思いますので、ご勘弁いただきたく思います。






【特別連載・論文式試験の書き方全般について】byN氏」の記事について

Q1.「某連載」の記事に「なお、問題文をオウム返しに繰り返した上で、何の説明もなく、「憲法〇条に違反するかが問題となる」と書け、という答案指導がこの世のどこかであるようですが、これは噴飯ものです。いわゆる「問題提起」を答案の冒頭に書くのは、上のようにある論点がなぜ・どのように事案の結論を左右するのかを示すためですから、考えて書いてください。」(※太字筆者) とあるが, これを参考にしたとき,津地鎮祭事件,剣道受講拒否事件について原告の請求が認められるかという問題において,どのように問題提起すべきか。

Q2.また、「論述の大枠」の記事のコメントの回答に「民法の危険負担を論じる際は、「双務契約の存続上のケンレン性の原則を示した上で書く」とあるが,双務契約の存続上の牽連性の原則をどのように示せばいいのか。


【Q1について】
前段のご質問について,新司の憲法の論述では,「憲法〇条に違反するか問題となる」というような第三者的な問題提起をする場面には遭遇しないと思いますので,心配する必要はないでしょう。
原告の主張とそれに対する被告の反論を論述すれば,おのずと論点が明らかになるので(権利・利益の対立をはっきりと明示して論点を浮き彫りにする答案を書かなければならないということです。),私見を書く場面であらためて上記のような問題提起する必要はありません。
そこが問題となるからこそ,原告が違憲の主張しているといえるからです。そうすると,憲法の問題提起は,原告の主張の論述で決まる(原告が論点を設定する)というになると思います。憲法の問題を考える際には,どのような権利・利益がぶつかっているかを答案上に示すこと,憲法上の問題を論ずるフレームワークを導くことに力をかけるべきです。これついては繰り返しになりますが,宍戸先生や蟻川先生の連載が大変参考になります。

憲法の問題提起は原告の主張の論述で決まるということを念頭において,両判例をみてみると,まず,最高裁昭和52年7月13日大法廷判決(民集31巻4号533頁)(津地鎮祭事件)について,ここでは主に憲法20条3項により禁止される「宗教的活動」とは何かというのがメイン論点ですよね。その前提として,政教分離原則(憲法の諸規定から導かれるもの(判例は,20条1項前段,2項,1項後段,3項,89条を政教分離規定として挙げる))をどのように理解するのかが問題となります。具体的には,原告としては,政教分離は,信教の自由をより完全に保障するための不可欠の手段であるからこそ,厳格な分離とすべきと主張した上で,「宗教的活動」の解釈の基準として厳格な基準により判断すべきこと,それゆえ違憲であることを主張し(公法系(論述)の記事参照),被告としては,政教分離は、信教の自由をよりよく保障するための手段にすぎないから、信教の自由が保障されている限り、政教分離は柔軟に解するべきであると主張した上で「宗教的活動」の解釈の基準として,判例の目的・効果基準を挙げて,これを緩やかに適用し,それゆえ違憲ではないことを主張する(前同)ことになります。
このような当事者の主張が出れば,論点がどこに設定されたか(問題提起)が明らかになるので,私見で「憲法20条3項に違反するか問題となる。」と書く必要はありませんよね。

次に,最高裁平成8年3月8日第二小法廷判決(民集50巻3号469頁)(剣道受講拒否事件)も同様に,「信教の自由」と「政教分離」との関係をどのように把握するかが一大問題になりますが,これについても先ほどと同様に,原告と被告とで理解の違いを示すことで,論点が設定されることになります。
信教の自由と政教分離の問題については,
平成10年度旧司法試験憲法第1問
「公立A高校で文化祭を開催するにあたり、生徒から研究発表を募ったところ、キリスト教のある宗派を信仰している生徒Xらが、その宗派の成立と発展に関する研究発表を行いたいと応募した。これに対して、校長Yは、学校行事で特定の宗教に関する宗教活動を支援することは、公立学校における宗教的中立性の原則に違反することになるという理由で、Xらの研究発表を認めなかった。右の事例におけるYの措置について、憲法上の問題点を指摘して論ぜよ。」
が大変勉強になります。
LIVE本(憲法,棟居快行教授)を参照することができる場合には,是非その解説を読まれることをおすすめします。

また,平成4年度旧司法試験憲法第1問
「A市は、市営汚水処理場建設について地元住民の理解を得るために、建設予定地区にあって、四季の祭を通じて鎮守様として親しまれ、地元住民多数が氏子となっている神社(宗教法人)境内の社殿に通じる未舗装の参道を、2倍に拡幅して舗装し、工事費用として100万円を支出した。なお、この神社の社殿に隣接する社務所は、平素から地区住民の集会場としても使用されていた。A市の右の措置について、憲法上の問題点を挙げて論ぜよ。」
については,宍戸先生の連載で取り上げられて解説されていたと思いますので,こちらも読まれることをおすすめします。

なお,「いわゆる「問題提起」を答案の冒頭に書くのは、上のようにある論点がなぜ・どのように事案の結論を左右するのかを示すためですから、考えて書いてください。」という某先生の指摘部分は,他の科目ではとても大切な視点です。この点については,当ブログの各記事や回答で触れており,すでにお読みかと思いますので割愛させていただきます。

【Q2について】
「我妻・有泉コンメンタール民法―総則・物権・債権(旧版の方です)」の記述を例にとると,
まず,①当該契約が双務契約であることを示し,
②「双務契約とは、契約の双方の当事者が対価的意義を有する債務を負担する契約である…。この双方の当事者の負担する債務は、互いに一方がその債務を負担すればこそ、他方もまたその債務を負担するという関係…に立つものである。したがって、」(p950)と書き,
③「一方の債務が債務者の責めに帰することのできない事由によって履行不能となり消滅するときは…、他方の債務もまた原則として消滅する」関係がある(p951の(3))と繋げて,
④その上で,例外としての危険負担制度(条文の適用があるか)を論ずればいいと思います。
上の例に沿って書くと,多少論述が冗長になるので,もっとコンパクトに書いていく必要があるとは思いますが,典型的な論点が問われたときには,すぐに④の論述を始めたくなる気持ちを抑えて,一度原則に立ち返って書いていく(考えていく)ことが大切だと思います。適宜コンパクトにしていくことは,後からでもできると思いますので,日々の問題演習等では,書き方(考え方)を身につけることを意識して,基本から丁寧に考える練習をするといいと思います。

Q.共謀共同正犯の成立要件にも相互利用補充関係というワードを使って書くにはどうしたらよいか。masoは共謀共同正犯の論証をどのようにしていたか。

Q:「謀議に参加したXについても,Yとともに「二人以上共同して犯罪を実行した」(刑法60条)ものとして,正犯としての罪責を負わないか。」という問題として,

相互利用・補充関係説からは,
A1:「検討するに,同条が共同正犯の一部実行全部責任を定めたのは,共同正犯者の間に相互・利用補充関係が認められるからである。そうだとすれば,①二人以上の者が犯意を相互に認識した上,②相手の行為を相互に利用・補充しあう意思を持って犯罪を遂行する旨の合意をし,③その合意に基づいて実行行為が行われた場合には,実行行為を行っていない者についても,「二人以上共同して犯罪を実行した」ものとして,共同正犯としての罪責を負うと解すべきである。」
というように書けると思います。

私は,共犯関係の論点を因果的共犯論から統一的に処理したかったので,
A2:「検討するに,共犯の処罰根拠が犯罪の結果に対する物理的・心理的な因果的寄与にあることからすれば,共同正犯における一部実行全部責任の法理の根拠は,犯罪の結果に対する重大な因果的寄与に求められる。そうだとすれば,行為者が実質的に正犯者として処罰するに足りるだけの重要な役割を果たし,犯罪の結果に対する重大な因果的寄与が認められる場合には,(実行行為の一部を行っていなくとも,)共同正犯としての罪責を負うと解すべきである。具体的には,①謀議への関与の程度,②役割分担,③実行者との関係,④結果への寄与の程度,⑤正犯意思の有無,⑥犯罪実現による利益分配の各観点から検討する。」
というような論証をしていました。




Q&Aのまとめ1-1」の記事について

Q.法学教室の事例で考える会社法を読んでいる。No.345(2009 6月号)の第9回設問2(持分会社の社員が他の社員の同意を得ずに取引をした場合)について, P.84の設問2の解説では、本問の会社は業務執行社員を定めていないことが前提とされているように思うが,問題(P.80)の(2)一行目を見ると、「定款上、Bが代表社員」となったとある。私は、代表社員は業務執行社員の中から選ぶので、Bは業務執行社員であると考えたが,この理解は誤りか。Aについては問題文中に業務執行社員である旨は書かれていません。そうすると,本問は業務執行社員たるBが会社を代表して取引した場合であると思うが,違うか。

第1 制度の仕組み
条文から素直に考えると,次のようにいえると思います。
①業務執行権について
【原則】
 持分会社においては,原則として,社員は持分会社の業務を執行することとされている(590条1項)。
【例外】
「業務を執行する社員を定款で定め」ると,業務執行権を持つ社員が限定される(591条1項)。
②代表権について
【原則】
 業務を執行する社員は代表権を有する(599条1項)。
【例外】
「業務執行社員の中から持分会社を代表する社員を定めた場合」には,代表社員のみが会社の代表権を有する(599条3項,4項及び5項)。

第2 A及びBの権限・地位
 1 Bについて
 (1)①【原則】から,Bは業務執行社員である。
 (2)「定款上、Bが代表社員」とされている(=②【例外】)から,Bは代表社員でありBのみが代表権を有する。
 2 Aについて
 (1)①【原則】から,Aは業務執行社員である。なお,本問では,①【例外】の定めはない。
 (2)②【例外】から,Aは代表権を有しない。

第3 問題状況の把握
 1 suzuiさんが「Bは業務執行社員であると考えた」のは正しい(第2の1(1))。
 2 Aについては,問題文中に業務執行社員である旨が書かれていなくとも,当然にその会社の業務執行社員である(第2の2(1))。
 3 以上を前提として,本問(設問2)の問題状況を考えると次のようになる。
当該持分会社の代表権はBのみが有するところ(②【例外】),Bの代理権は包括的・非制限的代理権であるから,相手方との取引は原則として有効に成立するはずである(599条4項,5項)。
しかし,Bは,本来,当該持分会社の業務の決定にはAとB双方の同意が必要であるにもかかわらず(本件では,AとBに業務執行権があり,590条2項の適用がある),Aに無断で,2号店を出店するための用地を甲会社名義で購入している。
そうすると,代表権のある者が内部的な意思決定を欠いた状態で取引を行っているということができ,これは「取締役会の決議を経ずにした代表取締役の行為の効力」についての問題状況と近似する状況である。




集合修習最終日」の記事について

Q.表現の自由に関する法令違憲を主張する際,『表現の自由というのは、自己実現、自己統治の価値を有しているので…』と論証して、違憲審査基準を定立している。違憲審査基準を定立する際には,なぜ,このような論証が必要なのか。このような論証をする意義が分からない。

当該論証の意義は,権利の性質・価値から論証することで,権利の重要性の主張を基礎づけることにあると思います。
ただし,表現の自由の問題であるからといって,条件反射的に当該論証を書くのではダメです。自己統治の価値,自己実現の価値とはそれぞれ何をいうのか,なぜそれらの価値を有する権利の制約に対して裁判所が厳格な審査をする必要があるのかといったところを踏まえた上で,事案に応じて,表現の自由のどういった側面がどのように制約されているのかを具体的に考えていく必要があります。
その思考の過程で,やはり自己統治・自己実現の価値が問題になることが確認されれば,当該論証をそのまま書くこともあるでしょう(もっとも,その場合でも,「自己統治」,「自己実現」といったマジックワードを書くのではなく,それらの意味するところを事案に引き付けて書くことが必要です。なぜ当該事案における制約態様が自己統治or自己実現の価値との関係で問題となるのかというところを文章化するということです。)。
反対に,政治的な意思決定との関係が問題とならず,自己統治の価値からはおよそ主張を基礎づけられない事案であるのに,条件反射的に当該論証をしてしまえば大減点は免れません。
そこでは,自己実現の価値との関係をメインに据えて,他の理論(たとえば,思想の自由市場論など)を加えて主張を基礎づける必要があるでしょう。
その意味で,当該論証に対して抱いた疑問はまっとうなものだと思います。

Q.旧司法試験の論文過去問で,「Wセミナーのやつ」というのは具体的にはどの本のことか。

「新論文過去問集」という本のことです。




画像2」の記事について

Q.掲載されている百選の画像を見て,実際に自分で百選にマーキングしていて思ったが,「超重要・重要・・・」や,「解説をよく読むこと!」という判断のメルクマールは何か。

百選・重判の余白に書き込んだ,「重要」,「超重要」等の記載は,すべて主観に基づくものです。
司法試験に向けた学習が本格化していけば(≒ロー3年の8月,9月以降),対試験的に見たときの解説の良し悪しも判断できるようになるはずですので,現段階ではあまり気にする必要もないかと思います。
授業で扱った判例や大法廷の判決などを中心にチェックしておけばよいのではないでしょうか。
なお,解説に目を通した際には,当該解説で納得できるならば採用して,納得できないならば,必ず他の評釈(調査官解説等)にあたり,理解を定着させることを意識しておくことが大切だと思います。




民法」の記事について

Q.民法の基本書で,「民法1・2・3」(勁草書房)以外にオススメのものがあったら教えてほしい。

普段の勉強用に,「民法1・2・3」(勁草書房)と「入門民法(全)(潮見佳男・有斐閣)」のどちらを使うか悩んだ記憶があります。
Sシリーズの★印も参考にしました。

疑問の大半は,問題集の解説,教員,勉強仲間等への質問,民法コンメンタールで解決できましたが,より深く知りたいと思ったときに図書館でよく参照していたのは,
①「民法講義Ⅰ・総則」,「同Ⅳ-1・契約」(山本敬三・有斐閣)
②「民法Ⅰ」・「同Ⅱ」・「同Ⅲ」(内田貴・東京大学出版会)
③「プラクティス民法・債権総論」(潮見佳男・信山社)
④「民法の基礎1,同2」(佐久間毅一・有斐閣)
⑤「担保物権法」(道垣内弘人・有斐閣)
といった基本書です。




憲法」の記事について

Q.masoは,旧司の過去問を素材に答案構成をしていたと記憶している。答案構成後,分析不足・間違えた部分を訂正するために、教科書やら演習書の解説やらを読むと思うが,それにどのくらいの時間を費やしていたか。1問ごとにどのくらいの時間をかけていたか。 また,最近のmasoからみて,おすすめできる各科目の演習書を教えてほしい。

前段のご質問について,Q1答案構成→Q1検討→Q2答案構成→Q2検討…ではなくて,その科目のノルマ(ex.旧司の平成後期の問題)に沿って,Q1答案構成→Q2答案構成→Q3答案構成…→Q1検討→Q2検討→Q3検討…という順番でやっていました。
答案構成の時間(試験時間1時間あたり15分)は厳守していましたが,検討の時間は特に決めずに,原則として納得できるまでやっていました。ただし,すぐには解決に至らなそうだと感じたものは書きとめておいて,休憩時間にまとめて調べるようにしていました。

後段のご質問について,申し訳ないのですが,最近の演習書についてはフォローしておらず,お答えすることができません。この点については,直近合格者(新第64期)の方に聞くのがよいと思います。




司法修習修了日(二回試験合格発表)」の記事について

Q.民事訴訟法38条後段は、『訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同種とする』と規定している。この規定によれば、幅広く通常共同訴訟が認められそうだが、この規定に当たるかどうかの区別基準はどのように考えれば良いか。

38条の趣旨は,請求が相互に関連し,攻撃防御方法や証拠等を共通する訴訟について共同訴訟を成立させることによって,審理の重複を避けつつ実効的な紛争解決を図ることにあるので,当該原告の請求相互に当該趣旨に沿った関連性がある場合に要件が満たされると解されます。
 また,38条後段の場合は併合請求の裁判籍を使うことはできず(7条ただし書),原告が共同訴訟の審理を求めるためには,いずれの請求についても,訴えを提起しようとする裁判所に裁判籍があることが前提になることからすれば,仮に共同訴訟とならなくても,原告としては当該被告に対し,同一裁判所における別訴による請求をすることが可能なわけです。
 そうすると,38条後段の主観的併合要件を欠くとの被告による異議は,「全く無関係の訴訟にもかかわらず併合審理を強制された」ことのみが理由になるはずです(その不利益・利害が調整されればよいということです。)。
 それゆえ,「訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくとき」という要件については,原告の請求を共同訴訟とする実益があるのか,すなわち,38条の趣旨に沿って,(1)請求相互に攻撃防御方法や証拠等が共通し,(2)共同訴訟を成立させることによって,審理の重複を避けつつ実効的な紛争解決を図ることができるものであって,関連性が認められるかという視点から検討することが必要だと思います。
 そうすると,「同種かどうか」については,上記(1)及び(2)の基準,並びに,契約の性質及び権利・義務の状況に照らして判断すればよいということになるのではないでしょうか。




民法」の記事について

Q.ライブ本(貞友)を特に勧めているが、伊藤進版のライブ本はあまり役に立たなかったということか。

貞友版と伊藤版のライブ本とでは収録されている問題が違うので(一部被っている問題もあります。),十分役立つと思います。私も両方使っていましたが,私には貞友の解説の方が合っていました。




第6回新司法試験」の記事について

Q.大学2回生で来年の予備試験を目指している。現在予備校のインプットの授業を聞き終わったところで、これから論文の勉強を本格的に始めるに当たって、予備校本を通読するのか、基本書を通読するのかで迷っている。予備校本をメインにおいて、記述が分かりにくいところなどを基本書で確認する勉強方法ではやはり、論文試験には対処できないか。

ご質問ありがとうございます。

2年前の合格者の話に過ぎませんので、そのあたりを差し引いてお読み下さいね。

結論から言うと、使いようだと思います。

論文試験に合格にするには、一定量の基礎知識とその正確な理解をベースとした上で、法解釈の作法(考え方)を身に付けることが必須です。後者は、予前提となる法律関係を1つ1つ筋道を立てて論理的に考えた上で、事案との関係で解釈が問題となる条文・法制度について、原理、原則、基本判例等から演繹して、規範を立て、当該事案における具体的事実を正しくあてはめてていくことのできる力です。これは、主に問題演習を通して身に付けていくものですので、基本書や予備校本は前者の「一定量の基礎知識とその正確な理解」を習得するために読むものといえます。

予備校本の記載は、つまるところ、複数の基本書の記述が合わさったものか、参考となる学術論文や解説等の記述を平易な言葉で記載したものです。したがって、基本書をメインにするか予備校本をメインにするかは、論文試験突破のために必要な知識の習得という面からみれば大した違いではないと考えられます。

私が受験時代に基本書をメインに据えていたのは主に以下の3つの理由からでした。

1つ目は、内容の信頼性です。すなわち、定評のある基本書であれば、記載に誤りのある可能性が無視できる程度に低いと考えられることです。特に第一線の学者・実務家によって書かれた版を重ねた基本書であれば、その確率は高まります。予備校本は、種々の情報がコンパクトかつ網羅的にまとめられているという点において基本書よりも優れていますが、該当箇所について基本書等から抜き出す際に、記載内容や前後の記述との関係を精査・吟味することなく漫然とコピー&ペーストしたようなものや、明らかに理解が誤っている(と思われる)ものが見られます。私は、実際に著者本人により年月をかけて考え抜いて書かれた一連の文章と、それを読んだ他人(合格者等)がまとめたものとでは、前者に信頼を置くのが合理的だと考えていました。

2つ目は、メリハリです。定評のある基本書に記載がない事柄については、大多数の受験生も知らないと考えて問題ないということです。試験問題を作成する立場から考えたとき、一般的な基本書に記載があるかどうかにより、基本として出題するか応用として出題するかが分かれると思われるからです。そうであるとすれば、基本書の記載を超える部分については臆することなく未知の問題として取り組めばよいということになります。

3つ目は、基本書を読む最大の目的は、各法律・制度を理解するためと考えていたことと関わります。私にとっては基本書の記述の方が遥かに理解が進みました。一方で、予備校本を含むその他の資料(類似制度の相違点ををまとめた図表等)は、「結論」を網羅的にまとめるという点では優れているので、基本書で理解を固めた上でその理解を確認するために補助的に使う方が理にかなっていると思ったのです。

以上の理由から私は基本書をメインにしたのですが、他方で、短期間での合格を目指す場合、合格に必要な知識という観点から選別された情報が記載されている予備校本を軸にして、そこに必要な情報を加えてカスタマイズしていく方が効率的かもしれません。コンパクトに集約されたものを徹底的に繰り返すという方法です。予備校の講義等でテキストを使う場合、講義の内容を書き込んで繰り返しブラッシュアップして一元化していく方法も十分アリだと思います。

結局、知識・理解の習得のための教材として何を使うかはそれほど大きな問題ではないのです。
どう使うかの方が圧倒的に重要です。読んでいて良く分からないところ、疑問に思ったところを放っておかないことが大切です。文章を読んでいく中で出てくる「え?何でそうなるの?」「どうして?」「ほんとに?」という気持ちを大切にしてください。よく分からないから丸ごと覚えるというではいけません。少しでも分からないところがあれば、徹底的に調べて、しっかりと理解することを意識してください。書かれていることを鵜呑みにしないで、記載の意味を丁寧に考えてみてください。その過程を経て初めて、「解った」という感覚を手に入れることができると思います。

基本書、予備校本のいずれをメインにするにせよ、なぜその方法を取るのか、ご自身の中で納得のいく理由を持ち、ブレない軸を作ることが大切です。そうでないと、知らず知らずのうちに周囲の不必要な情報に影響されて、自分の選択した方法に自信が持てなくなってしまうからです。

ご自身の勉強方法を確立されて、来年の予備試験の合格されることを願っています。

頑張ってください!




択一」の記事について

Q.択一科目も憲法・行政・民法・民訴・商法・刑法・刑訴と7科目あるが、masoは膨大な量の判例つぶしや、問題演習を、どれくらいの時間で一巡したか。科目ごとにつぶしていこうとすると、7科目目が終わるころ、1科目目で覚えたことを忘れてしまったりすると思う。いつも万遍なく複数の科目の勉強をしたいと思っても、なかなかうまくいかない。

9月TKC後から司法試験の勉強を本格化させて、百選(全科目)、重判(全科目)、旧司短答過去問(民法)、新司短答過去問(全科目)、判例六法チェックが全て終わったのが12月6日でした。これらを潰す際には、1日を前半と後半に分け、それぞれで科目の系統(民事系、公法系、刑事系)を変えて、範囲を分割してやっていきました。そうすることによって、1週間の内に触れない科目がないようにしていました。
論文については、年内は週1ペースで演習をして、年明けの2月からは答案構成をすることをメインに勉強していました。

以下、Q&Aのまとめ1からの引用です。


・・・


①9月から試験までどのようなスケジュールで勉強したか。

第一 質問①について
 授業以外にメインでやったことにしぼって書きます。当時のスケジュール表を見つつ思い出しながら書いているので、抜けているところがあるかもしれません。勉強は週6で、時間については授業のない日は約9時間/日です(詳しくは別記事を参照してください)。
Ⅰ 2008年9月~12月
9月のTKC模試を受けて現実を知り、現状分析。択一を安定させてから論文へ移ることにして(当時は択一:論文=1:4だったため)、12月までは択一:論文=9:1くらいにしようと決め、①百選(手形・商法総則商行為法を除く試験科目のすべてについて全判例。アペンディックス含む。)・重判(民法のみH13~19、他はH16~19)つぶし+②旧司短答過去問(民法のみ)S36~H20を1周+③新司短答過去問(プレ・サンプル含む)を2周。合わせて、④辰己択一答練を受講(復習メインで)。①~③がすべて終了したのが12月6日。そこからTKC模試までは、それらの復習。
論文演習は、友人2人との自主答練(週1回、4時間で2問解く)を無予習でやって検討するのみ。他には、mixiで議論したり、法律雑誌に目を通す程度。
Ⅱ 2009年1月
択一答練の復習(1月17日までに、TKC2回分+択一答練ミス問を2回まわす)。
論文は上記ゼミを脱退したため、自習+mixiでの議論のみ。
下旬は期末テスト。
Ⅲ 2009年2月~3月
択一の配点比率変更を受けて、期末テスト明け(2月頭)から徐々に論文対策の比重を高める。知財論文ゼミ開始(2週間に1回くらい)。択一:論文=5:5くらい。
択一は、短答答練ミス問ファイルを3月のTKCまでに1まわし+判例六法で条文・判例の読み込み+辰己答練。3月半ばにもう一度新司短答過去問のミス問を一周。
論文は、自分で時間を計って新司過去問を書いたり答案構成したり+旧司の答案構成をしたり(構成時間は1問あたり15分以内。手形小切手を除く全科目全問。大体でいうと、事例問題中心に憲法は2周。民法・刑法も2周+平成の問題はさらに数回、商法は1周+平成後期について2周、民訴・刑訴は2周+平成後期について2周)して、新司・旧司再現答案、出題趣旨、新司ヒアリングの読み込みを繰り返し、友人に意見を聞いたり議論したり。あとは法教・法セミの連載や事例研究憲法・行政法、刑事の調査官解説、解析民訴その他の教材を読んだり解いたりつぶしたりして、百選も復習した。下旬に公法系の解答パターンのひな型を作り、その後適宜修正した。
Ⅳ 4月
択一:論文=3:7くらい。
択一は、判例六法の読み込み+短答ファイル(ワードで作った資料+答練解説冊子についている表を綴じたもの)まわし。総択と全国模試をうける。
論文は、全国模試を受け、全科目基本書通読(中旬)、中旬~下旬に論文まとめファイルを作った。下旬は、百選・重判全復習、論文ファイルまわし。
Ⅴ 5月~本番
5月1日~12日の期間で全科目2、3回ざっと確認できるようにスケジュールを組んで、判例六法読み+短答・論文まとめファイルまわし。


・・・



学習範囲を客観的に把握してみると、その膨大な量に圧倒されてしまいますよね。

最もコアな部分を何度も徹底的に繰り返しやることが力になりますので、細かいところは忘れてあたりまえくらいに考えておけばよいと思いますよ。

最低限やらなければならない項目をピックアップしたら、その全体の量から逆算して1月、1週間、1日単位のノルマを決めて、淡々とこなすことが重要だと思います。そして、ノルマを決める際は若干の余裕を持たせて計画を立てることが大切です。
メリハリをつけて、淡々とこなすしかありません。それが司法試験の勉強のコツだと思います。


Q.①前日に解いて間違えた問題を、次に解くのはいつだったか(翌日、週末、12月6日以降)、さらに、3度目、4度目に解くのはいつだったか。
②1週間や2週間ごとに達成度確認のために何かかしていたことはあったか(ブログの記事からは、辰巳のスタ短を達成度確認に使っていたようにも思われるが、そうしていたか?)
③民法旧試択一過去問を解くときに使った教材は何だったか。


質問①について
手元に資料がないので正確には分かりませんが、当ブログにも記載したとおり、短答の問題を解いた際には赤(間違えた、分からない、偶然の正解)、黄(正答したが、肢の中に分からないものがある)、緑(完全正解)というように蛍光マーカーで3段階に色分けをしてチェックをした上で、それぞれの色をつけた問題をまとめてファイリングしていました。

通常の問題集については、年度(or範囲)ごとに1回解いて、赤or黄or緑マークをし、次の当該科目(or範囲)の割当日に次年度(or範囲)の問題と前回赤or黄を付けた問題を解いて再度マークをし、そのまた次の割当日には、次々年度(or範囲)の問題とまだ赤or黄が付いている問題を解いて再度マークをする・・・というように解いていたと思います。

スタ短やTKCについては、試験で1回、帰宅後に答え合わせをしつつ1回解いて、当該科目の赤or黄or緑ファイルに分類し、次の当該科目の割当日に赤or黄のファイルの問題を解いて再度色分けをして分類をし、そのまた次の割当日に赤or黄のファイルの問題を解いて再度色分けをして分類をする・・・という感じで解いていきました。

質問②について
模試(スタ短(全国模試含む)及びTKC)で達成度を確認していました。

質問③について
TACが出していた
司法試験短答式試験過去試験問題 民法(問題編) 1961‐2005」 、「同(解説編)」 とWセミナーが出していた単年度版を使いました。




論文」の記事について

Q.論文の答案構成をする際にあてはめの内容まで、しっかり考えて構成するべきか。それとも、だいたいの法律構成、結論だけ答案構成して、あてはめは答案を書きながら考えるのでよいのか。

答案構成の時間について、私は2時間の試験では30分(やむをえないときは40分)と決めていました。答案構成では、法律構成、あてはめ、答案の記載順序、各記載箇所における分量を決定することになりますが、問題文・設問を2回程度読んだ上でそれらを考えていくとなると時間的には相当にタイトだと思います。

法律構成を決定した後、記載の具体的中身については、書き漏らしを防ぐため、(1)法律論については論証で外してはいけないキーワードのみを記載しておき、(2)あてはめについては、問題を読む過程で、問題(論点)となる(なりそうな)ポイントをマーカーでチェックした上で、問題文中の事実にもチェックを入れておき、当該問題文の右又は左の空白に書き込みをしておきました(ex.「①~⑤の事実を拾ってあてはめる」等)。あてはめについては、問題文を使って答案構成するというイメージです。
構成用紙にどの程度記載するのが自分に合っているのかは、答案構成を繰り返すことで次第に感覚として身についてくると思います。

(そうせざるを得ない状況に陥ることがあることは十分承知の上ですが、)あてはめについて答案を書きながら考えるというのはあまりオススメできません。自分では調子よく書けているつもりでも、知らず知らずのうちに方向がずれて、前後で矛盾をきたすなど答案の筋がブレるおそれがあるからです。それゆえ、答案構成の段階で、拾うべき事実を押さえておくことは必須だと思います(構成した上で書き始め、どうしても足りないと思ったときに、新事実を追加するかどうかを考える方がよいです。)。

再現答案の検討方針」(「目次」5(2)イ)の記事にもあるように、何を書くかに加えて、どう書いていくか(前記答案の記載順序及び各記載箇所における分量の問題)についても、答案構成の段階で良く練っておく必要があります。記載順序については、論理性・答案の読みやすさの観点から考え、分量については問題文中に示された配点比率等から考えるのがよいと思います。

なお、私の論文式試験に対する解答方針については、当ブログの「目次」にある「本試験で書いた枚数・解答方針総論」(2(2))、「論文」(5(2))等にも記載してあるので、合わせて参照してみてください。






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