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流れのある答案を目指して

司法試験の論文式試験では、1系統4時間で約7400字~8600字(27字×23行×6頁~7頁×2科目)書くことになります。
(※ただし,選択科目(1教科あたり1.5時間)を除く。)しかも、書く順番や内容を考えて、三段論法を使いつつ、整序された文章を書いていく必要があります。

そこで今回は、法律用語を使った堅い文章を少しでも読みやすくするためにはどうすればよいかを考えていきたいと思います。

特に気を使うべきは接続(助)詞だと思います。
法律答案の論述でよく使われるものをみても,「または,もしくは,および,また,かつ,ならびに,あるいは,なお,さらに,なぜなら,つまり,ただし,例えば,しかし,しかしながら,そうであるとすれば,ここで,そうすると,そこで,それゆえ,要するに,換言すれば,この点,まず,次に,一方,他方,したがって,よって,これを本件についてみれば,そこで検討すると,具体的には,すなわち,それゆえ・・・」等々たくさんありますが、これらを論述の中で適切に用いることで答案も格段に読みやすくなります。

論文式試験は作文をするのでも小説を書くのでもなく、法的三段論法を展開し、事実を法規にあてはめて、結論を出すというプロセスを文章化することが求められます。法律の答案では文章的な面白さは全く求められません。求められているのは「まず,こうだから,こうなる。そうすると,こうだから,こうなる。」と1つ1つ論理が積み上げられ、書き始めから結論に至るまで読み手に誤解の生じさせない論理的な文章です。それゆえ、論述を奇想天外な流れにしたり、場面転換を頻繁に用いたり、複数のストーリーを同時並行させたり、あえてミスリードさせたりして読み手の期待を裏切ることはあってはいけません。読み手に優しい、流れのある文章 ―― よく,「予測可能性のある文章」と呼ばれるもの ―― を目指すべきです。そして,この流れを作るのが接続(助)詞です。

みなさんもゼミなどで友人が書いた答案を読まれることがあるかと思いますが、そのときどのように答案を読んでいきますか?小説を読むのとは違って、ナンバリングを頼りにしながら、「ここは事実の指摘。ここは問題提起。ここが論証。ここがあてはめ。」と三段論法の要素ごとに大まかに捉えてから読んでいくのが普通だと思います。また、内容面では、典型論点であれば議論の展開が読めるため、じっくり読むというよりは、論述の流れを見ていく感じになると思います。同じ問題を解いて相互に検討する場合などは、論点もはっきりと分かっているわけですから、なおさら流れ重視で見ることになるはずです。それゆえ、論点の理解が多少不十分であったとしても、文章としてひっかかりがなければ、「まあ無難に書けている」という読後感をもつのではないでしょうか。

逆に、途中でひっかかりを感じて、「ごちゃごちゃしていて論理の飛躍がある」と感じた答案については、ダメだと思うはずです。このような答案を、仮に「ダメ答案」と呼ぶとすれば、ダメ答案は、内容理解の乏しさもさることながら、文章の流れが悪いことが分かります。そして、その流れの悪さは、論述が整理されておらず、接続(助)詞が考えられずに用いられている点に原因があるケースをよく見かけます。人それぞれ文体は異なりますが、どのように論述するにせよ、使用する接続(助)詞の意味をその都度よくよく考えて(順接,逆説,説明,転換,添加,並列など)書いていくべきだと思います。0.1秒でも良いので、論述しながら考える癖をつけるとよいかもしれません。

私は、論述の中で用いる接続(助)詞について最高裁判例の判文を参考にしていました。多くの最高裁判例では接続詞が適切に使われていて読みやすく,数多くの判例に触れるうちに法律の文章における独特のリズムが身についていったように思います。みなさんはロー生活や司法試験に向けた試験勉強の中で日常的に判例に目を通されるはずですから、一度そのような目で判例を読んでみることをお勧めします。

※蛇足ですが,私がロー生だったころ,「思うに」、「この点」という言葉は論述で使うべきではないといった論争(?)がありました(今もあるのでしょうか?)。私の記憶によれば、「思うに」、「この点」のいずれも、最高裁判例の多数意見、補足意見、意見、反対意見で使われたことがあるものですし、それ自体がおかしいということはないでしょう。おそらく、いわゆる論証パターンと呼ばれるものにこれらの言葉が使われていることが多いために、論証パターンの張り付け答案(≒金太郎飴答案)を批判する教授らに印象が悪いのではないか,と誰かが考えたところからきているのだと思われます。しかし、教授らの批判が「思うに」、「この点」といった言葉それ自体に対するものではなく、それらを用いた具体的な論述内容に対するものであることは明らかです。したがって、これらの言葉を使うかどうかは個人の問題にすぎません。日本語の日常の文章では使われない言葉であることから違和感を覚えるならば(あるいは、前記の批判がなんとなく気になるのならば)、「思うに」→「そこで考えると」、「この点」→「この点について/~という問題については/このような見解に対しては」と書けばよいだけです。

最後に、私が受験時代に読んだ本から参考になると思われる記載を引用しておきます。法律答案について書かれたものではありませんが、日本語の文章全般にいえることとして大切です。

一つは、日本語の文章における接続詞の大切さについて。

「当たり前ですが、われわれは日本語で書く。ということは、日本語という言語の特性をよく考えた上で、文章を書くべきなんですね。・・・むやみに長いセンテンスで書きたがる人がよくいるでしょう。あれは読者に迷惑でね。たいてい読むのをやめてしまう。西洋の文章では長いセンテンスがらくに書けるのに、日本語ではなぜダメなのか?・・・西洋の言葉では否定詞が文章の前のほうに置かれるのにくらべて、日本語は否定詞が最後にくるというのが、理由の一つでしょう。・・・これは日本語の弱点の1つですね。・・・ほら、自動車で、右折するとか左折するとか、ピカピカ電気をつけておしえるじゃないですか。・・・われわれも、長いセンテンスを書くときは、ああいうサインを出しながら書けばいいわけですね。・・・これが日本語の書き方の重大なコツなんです。ただ、この方向指示の接続詞を何でもべたべたくっつけると、くだくだしいいやな文章になってしまう。文章の名手になると、そこのところを実にさりげなく出して、しかし的確に方向を指示する文章を書くんですね。」
(「思考のレッスン」/丸谷才一/文春文庫p235~より引用)

もう一つは、法律答案にもずばりあてはまる指摘です。

「文章で一番大事なことは何か?それは最後まで読ませるということです。当たり前のようだけど、これが難しい。」
『「文章の最低の資格は、最後まで読ませることである。」これを強調しておきたい。』
『まず出だしの所。・・「挨拶は不要である。いきなり要件に入れ」』
『次は、文章半ばのコツ―。「とにかく前へ前へ向かって着実に進むこと。逆戻りしないこと。休まないこと」話があっちこっちへ飛ぶ書き方というのもあるけれども、これは玄人の藝であって、また別。』
『次に終わり方。これは書き出しと同じです。「終わりの挨拶は書くな」』
「繰り返しますよ。書き出しに挨拶を書くな。書き始めたら、前へ向かって着実に進め。中身が足りなかったら、考え直せ。そして、ぱっと終われ。」
(前同p258~より引用。※太字部筆者)

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