進路を選択するということ

最近は、修習生の就職難や貸与制への移行など暗いニュースが続き、適性試験の志願者が年々減少していることなどをみると、法曹に対する求心力が弱まってきているようで残念です

この時期になると同期の進路もほぼ決定してきます。
ローの同期とも進路の報告のやりとりをするようになりました。

某超大手法律事務所の内定を断って任官希望を表明した人。
同じく内定を断って、司法過疎地の事務所に行くことに決めた人。
任検希望一本を貫いて、推薦を勝ち取った人。
修習地の一般民事の法律事務所に行く人。
弁護修習先の法律事務所に行く人。
外資系の法律事務所に行く人。
・・・etc.

修習を経て、考えが変わる人はたくさんいます。
J、P、Bそれぞれの実務に触れ,心が揺れ動く同期を何人も見てきました。
皆、それぞれの思いを胸に進路を選択していくのだと思います。

私も決めました。

実務修習を経て、修習が始まる前の進路選択の悩みは解消されました。

私は、弁護士になって企業法務をやります。

以前の記事(「プロフェッショナル」)で書いたように、修習が始まる前はもっぱら任検志望でした。ローに進学して、司法試験を受けることに決めたのも検事になりたかったからです。

そうであるのに弁護士を選んだのは、検察修習で検事の仕事に失望したからではありません。むしろ,検察はイメージしていた職務に近かったというのが感想です。スピード感と緊張感のある職務や警察を含め組織を挙げて事案の解決に注力する姿勢には、とても魅かれるところがありました。任検の声もかけていただきました。けれど、修習を進めるにつれて、次第に、「信念を持って仕事をしたい。自分がやりたいと思うことをやりたい。」という私の基本的な考えに最も近いところで仕事ができる職業は弁護士であると感じるようになったのです。検事になり、いずれ決裁官となれば、現場の実務には触れる機会が希薄になっていくことにもひっかかるところがありました。事件を自ら選ぶことはできず、異動,配点等により、自分の希望する分野の事件ができるとは限らないということも大きかったです(※弁護士の職務にもそのような面があることは否定できないと思いますが、事件選択の自由度は高いと思っています。)。

裁判官については、事案の解決について徹底的に考え、悩み続ける姿勢に大変共感しましたし、そうあるべきだと思って日々の修習にも取り組んできました。修習の最後、個人的に判決起案の講評を受けたとき、裁判官から「maso君の起案を読むと、色々と悩み、深く考えたことが分かる。それが君の良さだから、実務家になってもこの姿勢を決して忘れてはいけないよ。」と言っていただいたことは、とてもうれしかったです。部長に呼び出されて、是非裁判官に推薦したいというお話も頂きました。一度断りを入れてもなお、地裁所長から研修所に掛け合うところまで推して頂きました。

裁判官には、他のことを気にせずに、目の前の事案の解決にのみ力を割くことができる環境が整っており,裁判官になれば非常に密度の高い、濃い時間を過ごせるであろうと思います。けれど、裁判修習を経ても裁判官になりたいと真に思うことはできませんでした。先ほど挙げたのとほぼ同様の理由からです。

加えて、事件を選ぶことができない点、訴訟における当事者主義からくる制約=当事者の設定した枠からの逸脱は許されない点、こちらの意図しないところで悩ませられる点が大きいです(特に民事事件)。その枠内で、訴訟を指揮し、最適の解決を図っていくという点にやりがいを感じる人ももちろんいると思います。そこにこそ個人の技量が発揮されるからです。自分の判断で事件の処理をできるという点も魅力でしょう。誤解を恐れずに言えば、「判決を書く」という行為には、ある種、自己実現の面があると思います。ただ、私は、枠を設定する側(プレイヤー)に回りたいと思ったのです。

弁護士がいいことばかりというと、もちろんそうではないでしょう。
組織でのチームプレイよりも個人で探究していく方が自分の性に合っていると思っていますが、ある程度の規模の事務所に入れば、組織のone of themとしての役割も当然要求されると思います。組織であれば、そこには様々なしがらみがあるでしょうし、弁護士事務所は一般企業よりもクセが強いともいえるかもしれません。

それでも私は、弁護士という職業の根底にある”自由”にかけてみます。

多くの新しいこと、知らないことに出合い、際限なきフィールドで、自分がどこまでやれるのか試してみたい。

実務修習を経て、他律的・消極的な選択ではなく、積極的な選択ができたことが素直に嬉しいです。

いつか振り返ったとき、今の選択が正解であったと胸を張って言えるように、この道を進んでいきたいと思います。







「僕は、信念といえるものを持っているだろうか。その場その場で、上手に対応できさえできればなんとかなると、そう思っていなかっただろうか。」
「僕はもうなんらかのパズルを解くように最適解を見つけようとするのは辞めて、自分の明確なプリンシプル、ブレない軸に基づいて、胸を張れるような判断ができるようになりたい。」
(「金融資本主義を超えて」/岩瀬大輔/文春文庫より引用)



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