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【特別連載・第5回新司法試験を振り返る・振り返って】byN氏

N氏による第5回新司法試験の総括です
ところどころ,参照の便宜のためにリンクが張ってあるので,参考にしてみてください。

※特別連載の説明,目次は「こちら

振り返ってみて,もう少し良い成績をとることができる可能性はあったと思います。その点で,一抹の悔しさは拭いきれません。しかし,極度の緊張感の下,2~4時間という短時間の中で手書きの答案を作成しなければならないという条件を考えれば,ミスはつきものですし,思案・分析にも限界があります。そういった意味では,自分の相対的な実力を考えれば,満足すべき結果なのかな,と思います。

合格できたのは勉強時間・方法・運・健康など様々な要素が複合的に絡み合っていて,なにが要因か,と一概に言えるものではないと感じています。個人的には,肉体的にも精神的にも健康でいつづけられたことが最も大きいと思います。
masoブロのテーマである「方法論」に関連していえば,「出題の趣旨に照らして」の記事を書いていく中で,合格の大きな要因となったのではないかと考えられる事柄が複数思い当りました。

1 問題の難易度がなんとなくだがイメージできるようになっていたこと
 特に民事系・刑事系に関して,私は,辰巳が出している『趣旨・規範ハンドブック』を用いて最低限の知識を確認しました。そこに掲載されている論点は「基本的な論点」として,掲載されていない論点は「応用的な論点」とします。『趣旨・規範ハンドブック』を基準としたのは,辰巳の全国模試で直前に目を通している人がやたら多く感じたからです。もちろん,『趣旨・規範ハンドブック』でなくても(たとえばSシリーズの★部分でも)当然OKです。
 そうすると,問題文を読んだ時に,難易度がだいたいわかります。自分が分からない問題を「これは難しいからみんな分からないはずだ」と思えるか,「やばいどうしよう」と思ってしまうかで,かなり精神的に違います。
 もっとも,自分が知らない論点は難しい,と思えるほどの勉強量をこなす必要はあると思います。

 「基本的な論点」は,定義・条文引用などの基本的事項を正確に論じ規範を定立した後,あてはめをがんばります。「基本的な論点」を出題する趣旨は,基本的な法解釈の理解の確認はもちろんですが,その適用ができるかどうかにあると考えるからです(たとえば,今年の刑法の甲の罪責は,基本的な論点とみなして,あてはめに力を入れました)。
なお,この出題の趣旨に応えるためには,『趣旨・規範ハンドブック』の論点を,理解して自分の言葉で表現出来る必要があると思います。そうすることで,残り時間紙幅の都合等を勘案の上規範の記述の長さを調整したり,若干のひねりに対応できたり,正確なあてはめをしたりすることができるからです。

 「応用的な論点」問題については,どこかで聞いたことがある,論証を作った,とすればそれを披露すればいいのですが,どうしても知らない・わからないという論点が出てきます。それは,2で述べるように対応します。
 なお,「聞いたことある論点」を増やすことも当然ながら有用です。しかし,だからといってマニアックな論文を読み漁る必要はなく,授業の予復習をきちんとやっている過程で身につくもので十分だと思います。その意味で,授業は大変重要です!

2 難しい・わからない問題がでたときの対処法を考えておいたこと
 新司法試験は,基本書に掲載されていない法律問題を必ず聞いてきます。その法律問題を事前に潰しておくことは不可能かつ非効率です。ならばそういう問題が出たときの思考方法をあらかじめ用意しておこう,と思いました。
 そこで私は,「出題の趣旨を受けて」の記事の中で何回か出てきますが,難しい・わからない問題が出た場合は「①基本的な事項を正確に書いた上で,②どこが難しいか・わからないかを明らかにして,③論理的に演繹する」という対処をするように決めていました。
 ①は絶対必要です。採点実感にもしつこいほど書いてあります。2008年民訴の採点実感には「未知の問題にであった場合には,基本的な概念に掘り下げてそこから考えていくほかない」とまではっきりと書かれています。そして,①の大切さ,具体例は,masoブロの「思考過程をそのまま論述することの大切さ」という記事にくわしく書かれています。ぜひ読んでみてください!
maso注:このあたりのことについては,目次の「論述の具体的な話」の項全体を参考にしてみてください。「皆さんからいただいた質問への回答」でも関連する事項をお答えしています。)
難易度の高い問題は,採点実感(例:2009年民事訴訟法等)によれば,基本的部分に触れられない人すらいるはずなので,そこを丁寧に書くことによって相対的に浮上するはずです。また,基本的部分をしっかり書くことによって,どこが問題なのか,が浮かび上がってくることもあります。
 ②は別に明らかにしなくてもよいと思います。しかし,どこが難しいのか,わからないのかを示すことはまさに問題の所在の呈示につながると考えていました。特に,難しい・わからない問題に対して逃げずに正面から取り組むことを採点者に伝えるためには,この②は有用であったと考えています。
(たとえば今年の民事第2問設問2(1)の抵当権の損害の問題に関しては,「抵当権は担保物権であり価値権であって,財産権ではないから,損害の把握には困難が伴い問題となる」みたいな言い方をしました。結果として,「抵当権侵害における損害の発生について,抵当権の担保権的性質の基本的理解との関連を意識しつつ論ずる」との出題の趣旨にカスっていることになりました。)
 ③は,三段論法を意識します。結論の不都合性は基本的に考慮せず,突き進みます。価値判断がはいると論理がおろそかになると考えていたからです。どうしても結論がおかしな場合は,最後に一般原則を持ち出して修正するようにしていました。(たとえば今年の民事第2問設問3は,論理的に突き進むとGの訴訟行為は無効です。しかし,それでは事案の解決として座りが悪いので,信義則で「無効主張は不可」とし結論の妥当性を図りました。これも結果として出題の趣旨に適合するものになっています。)
 
3 ローの授業に真剣に取り組んだこと
 少なくともローの成績と司法試験の結果に相関関係のあるローに通っている場合には,授業に真剣に取り組むべきだと思いました。そのようなローの授業の質は,ロー生が認識している以上に高く,司法試験の受験勉強中あるいは受験中にふと思い出して思わぬ利益を得たりすることになるからです。今回,奇しくも私はローの成績と新司の成績がだいたい相関していました。ローの成績が良くても新司の成績が振るわないことはよくありますが,その逆は(私の友人たちを見る限り)あまりない気がします。
 授業に真剣に取り組むことで,基本的事項の理解の確認,聞いたことのある論点を増やす,授業で疑問をもったことを調べることでより効率的に身につけることができる,教授に質問していく中で理解が深まる,等種々のメリットがあります。

4 ゼミ
 気の合う尊敬できる仲間たちとゼミを組み,互いに切磋琢磨できたことも大きな要素だと思います。指摘されることで自分の欠点を認識し克服するよう努力するきっかけにもなりましたし,仲間の自分より優れているところを盗むことで実力の向上につながりました。また,ゼミで勉強した点,議論した点は,最も新司対策として有用でした。
 ゼミの運営方法・内容については,彼が基本的にゼミを組んでいなかったこともあり,masoブロに記載がありません。新司法試験の勉強方法としてゼミを組むことは,もっともメジャーな方法の1つであり,かつ誤った方向へ行きやすい方法の1つでもあると思います。
したがって,1つの参考として,私たちのゼミがどのようなことを注意してどのようにやっていたのか,ということを次の記事で紹介したいと思っています。 → 「こちら

5 科目別に注意すべき点のリストを作成していたこと
 問題演習(とりわけ新司の過去問)を行った時に,問題の傾向やその対処法,ミスをした点,ゼミで指摘された点等をメモしておき,10程度の項目に整理したリストを作りました。特に複数回ミスをする・指摘される点は,本番でもやる可能性が高いので,注意する必要があります。せっかく時間を書けて問題演習をするのですから,同じミスをしていたらもったいないですよね。
 私が作成したリストは,後日,アップします。 
maso注特別連載の目次から「科目別に気をつけるポイント」の記事を参照してください。)

一方で,失敗したなぁ,と思うことがあります。これまで何度か出ていますが,それは「選択科目の選択」です。
私は,学部で少しだけ触れていたこと,なんかかっこいいと思ったこと,これからは知財の時代だ!と思い込んでいたこと等の理由から,知的財産法を選択しました。逃げ道を作ろうかとも思ったのですが,3年生前期の科目がやけに多く,そのような時間的な余裕がなかったのでそれもできませんでした。それで,3年前期に「苦手かも」と思った時には時すでに晩し。
(ちなみにmasoが選択科目を知財にした理由はこちら(著作権のコメントに対する応答)。これだけしっかり分析して決めるのが理想的です。)

で,どうすればよかったのかを友人たちに聞いてみたところ,おおよそとして以下のことが言えるのではないかと思います。
①興味としての選択科目
「好きこそものの上手なれ」ということで,まずは興味のある科目を複数選択してみるといいと思います。労働・倒産・知財・経済・租税・環境・国際私法・国際公法の中から2~3個選んでみます。
②試験科目としての選択科目
その中で,試験科目とするわけですから,当然得意な科目を選択することになります。
基準としては,自分の得意な科目との関係性です。何の科目に似ているのかというのを選択者に聞いてみるといいかもしれません。また,判例重視の科目か条文重視の科目か,というのも選択のポイントの1つだと思います。実際に薄い本を読んでみての印象で決めてもいいと思います。

いずれにしても,選択科目は100点の配点なので,重要といえば重要ですし,そこまででもないといえばそこまででもありません。しかし,時間をかけて勉強しなければならないことは変わりありませんので,楽しく勉強できる科目を選ぶのが一番だと思います。私は「つまんない,わかんない」とか思いながらやっていたので,一番苦痛でした。。。。


以上,今年の新司法試験を振り返ってみました。

masoが2009年新司法試験を振り返った「あらためて」の記事で,新司法試験は「大ミス小ミスをしても,それなりに書ければ十分に合格できる」試験だと書いていました。そこに私は勇気をもらい,昨年のちょうど今頃の時期,過去問を解き,択一は足キリ・論文もボロボロの絶対不合格答案を書いていても,希望を持って勉強していました。ロースクールで勉強してきたのであれば,半年で基本部分の習得は可能だと思ったからです。
実際に受験をしてみて,私も大ミス小ミスをいくつも犯しました。それでも幾分かの余裕を持って合格することができたのは,戦略性を持って「絶対に合格する」という決意を持って勉強し,最低限の基本的部分を「それなり」に書けたからだと思います。決して,超上位合格者の再現答案のように完璧に書ける必要はありません。

しかし,極度の緊張感,時間の短さ等,新司法試験に内在する様々な要因から,「それなり」に書くことすら難しい試験です。ですから,たとえば①基本を反復して身につける,②練習で一度犯したミスを本番で絶対やらない,③わからない問題に対して正面から取り組む,④質の高い勉強を一定量こなすことで自信をつける,など各々で事前にできる限りの準備(勉強)をし,失敗や出題の趣旨・採点実感などを基にして基本を外さない答案を書くために準備したルールを本番で守れば,最低でも「それなり」の答案を書くことができ,合格につながると考えます。

「はじめに」でも述べましたが,司法試験は決して簡単な試験ではありません。しかし,戦略(方法論)と「絶対に合格する」という決意を持って取り組めば,新司法試験に合格することは決して困難ではありません。

There is a way.―方法は必ずある―」。

ぜひとも,皆さん頑張ってください!!


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theme : 司法試験・資格試験・語学試験
genre : 学問・文化・芸術

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