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【特別連載・科目別に気をつけるポイント・刑法】byN氏

刑法について。

※特別連載の説明,目次は「こちら

(1)科目特性
① 刑法は,総論の論点,各論の論点,罪数処理をバランスよく処理することが求められる。問題となるところは厚く,誰がどう見ても成立するところは薄く。しかし,いずれにせよ構成要件のすべてに該当することはわかるように書かなくてはならない(構成要件法定主義)。
② 総論は主に共犯がでているから,必ず押さえる。どこの犯罪論体系の問題か,本質から論じていけばだいたい対応できる。
③ 各論は主に罪の区別。基本書に書いてあるところは必ずチェックする。2007は詐欺と恐喝の区別を事実の評価レベルで,2010は不作為殺人と保護責任者遺棄致死の区別を理論レベルで聞いてきている。
④ 構成要件法定主義から,必ず「法文」を明らかにし,その解釈を展開し,あてはめる必要がある。
⑤ 判例の見解が大事になってくる科目。
⑥ 理論は簡潔に(おろそかに,という意味ではない),あてはめは厚く,が基本。特に殺意などあてはめが重要になってくるところに関してはどんどん事情を拾わなければならない。解釈論・事実への適用,両方が聞かれている(たとえば2007出題の趣旨)。

(2)注意リスト
① 2人以上の人が出てきたら,必ず共謀を検討する。共謀がない場合には,教唆,幇助におりる。両者の区別は,犯意の惹起がどの時点にあるか。現場共謀もあるので忘れない。
 その際には,必ず重い方から検討すること。
 単独正犯→共同正犯→共謀共同正犯→狭義の共犯という流れ
② 新司法試験は必ず複数の罪が成立するから,細かく認定する場合と,縮小版で書く場合とでわけてメリハリをつけて論じる。後者の場合は,誰が見ても成立する住居侵入罪とか。その際には,構成要件に必ずあてはめる。構成要件法定主義だから。縮小版で書く場合に特に気をつける。
ア 細かく認定する場合は,要件の先出しが読みやすいし書きやすい。
例) 強盗罪の構成要件は,①財物奪取に向けて,反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加えたこと,②他人の財物を奪取したこと,及び③①と②の因果関係である。
イ 縮小版で書く場合は,構成要件の解釈をも入れ込んで書く。
例) 甲は,窃盗目的という正当な理由なく,Aの住居に,通常人の立入りを許すような場所ではないトイレの窓から,Aの意思に反し立ち入ったのであるから,住居侵入罪(刑法130条前段)が成立する。
 ∵住居侵入罪の要件は,①正当な理由がないのに,②他人の住居に,③侵入する。③の侵入は,意思に反する立ち入りを意味するから,上記のような表現になる。
③ 罪数をきちんと書く。
 時間切れを防ぐのと,適当になるのを防ぐために,答案構成の段階から罪数まで明示しておく。罪数のところに,共同正犯(60条)を忘れない。併合罪,観念的競合,牽連犯等をきちんと区別する。
④ あてはめる場合には,どの事実からどの評価が出てくるか,を具体的に明らかにする。その時には,数字をきちんと出して評価するのがポイント。
例)Bは,70歳と高齢であり,30歳と若い甲に,助けを呼べない2人きりの状態で,殺傷能力が高い5センチも刃が出たカッターナイフを眼前に突きつけられており,反抗することがおよそできない状態であった。
⑤ 重要な役割論を論じる際には,下位規範まで出す。その方が読みやすい。
例)そこで,重要な役割を果たしていたかについて検討する。具体的には,①実行正犯との関係,②犯罪実現への寄与度,③正犯意思(自己の犯罪を実現する意思)で判断する。
⑥ 問題の所在を簡潔に示す。事実を引きすぎるとあてはめ先行型となり読みにくい。
 また,規範とあてはめが混在しないように注意する。
⑦ あきらめない。できることをやろう。
⑧ 錯誤論に関してはかならず主観と客観を比較する。
⑨ 条文の摘示は項・前段後段まで正確に。1項犯罪と2項犯罪がある場合は特に区別しなければ完全なる誤りとなる。
⑩ 答案構成が超重要。
 構成要素としては,(ア)時間軸,(イ)法益侵害,(ウ)実行行為者,(エ)犯罪の名前,(オ)条文,(カ)総論の論点,(キ)罪数
 ポイント:法益侵害結果は誰にどのようなものが生じているか。その法益侵害結果をもたらした実行行為は何か,だれがやったか。法益侵害結果につき帰責されるのはだれか。それは何罪か。帰責される者が複数いそうな場合にはその関係はどうか。

(3)参考
刑法は総論の論証集を作りました。そこに記載されている中で,2点抜粋して引用します。

1 共犯と錯誤について
*共犯と錯誤が問題となるのは,甲の行為が,乙との共謀によって惹起された場合に問題となる。
*甲と乙がA宅に住居侵入の共謀→甲が実行したところA宅のカギがかかっていた。あきらめて甲はB宅に住居侵入。
本件は一旦実行をあきらめたといえるのか。
・あきらめたといえる。→甲の行為は新たに犯意に基づく単独行為である。共謀の範囲外であるから乙は無罪
・あきらめていないといえる。犯意が転用されたんだ,と考えられる→教唆罪の検討
ただ,乙に教唆犯を認める場合には,「共犯と錯誤」の問題を書く必要がある。
➥乙の故意=A宅に住居侵入窃盗の共謀共同正犯
       実際=B宅に住居侵入窃盗の教唆
A宅とB宅との間は,抽象化することができる。
共謀共同正犯が教唆と重なり合っている
→正犯と教唆の錯誤の問題になる。
*A宅に住居侵入の共謀→B宅に間違えてはいっちゃった。
 →間違えた場合には共謀共同正犯になりそう。

2 共謀共同正犯を認定するための要素
主に大きな区分は
ア 計画段階
イ 実行段階
ウ 実行後の段階
で考える。
具体的にいえば,
①犯行計画に対する関与
②謀議行為の存在
③実行行為に対する影響
④利益の帰属
⑤行為後の行動
例)証拠隠滅をしたりする
→正犯兆表行動
これらの事情をマークして評価してあてはめること。


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弁護士(63期)。いわゆる大手渉外法律事務所で働いています。

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