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①民事裁判修習

①民裁,②刑裁,③検察,④弁護,⑤選択型,⑥集合の各修習,及び⑦二回試験についての記事を書いていきたいと思います。守秘義務との関係で修習の具体的内容には触れられないので,ご容赦ください

司法修習全体については,こちら

まずは,①民裁修習について。

第1 前提説明

民裁修習の時間は,修習地によって若干異なるようですが,午前9:20ころ~午後17:30ころまでです。場合によっては,夜まで起案(後述)をすることもあります。

民裁修習では,地方裁判所の民事部で修習を行います。
民事部が複数ある場合には,1つの班の修習生が数人ずつに分かれて,各部に配属されます。
修習生の席は,裁判官室の中に用意されています。
部の構成は,部長1人,右陪席1人~2人,左陪席1人~2人が標準的だと思います(※1)。
裁判所書記官(+事務官)の部屋とは別になっています(ドアを隔ててつながっている)。

 ※1 右陪席,左陪席
  右,左というのは,「合議体を組む際に法廷で座る位置」を指しています。
  すなわち,裁判長(部長)から見て,右側に座るのが右陪席(判事あるいは特例判事補),
  左側に座るのが左陪席です。
  右陪席は,任官して5年以上,左陪席は,新任判事補~5年目の裁判官です。
  部長と右陪席は,合議事件と同時に単独事件も扱います。
  判事補は,単独事件は扱いませんが,合議事件の主任として合議メモを作成したり,
  判決を起案したりします。

【裁判所法第27条】
① 判事補は、他の法律に特別の定のある場合を除いて、1人で裁判をすることができない。 
② 判事補は、同時に2人以上合議体に加わり、又は裁判長となることができない。

【判事補の職権の特例等に関する法律第1条】
 判事補で裁判所法(昭和22年法律第59号)第42条第1項各号に掲げる職の1又は2以上にあつてその年数を通算して5年以上になる者のうち、最高裁判所の指名する者は、当分の間、判事補としての職権の制限を受けないものとし、同法第29条第3項(同法第31条の5で準用する場合を含む。)及び第36条の規定の適用については、その属する地方裁判所又は家庭裁判所の判事の権限を有するものとする。


第2 民裁修習でやること

大きく2つあります。

一つは,法廷傍聴です。
期日簿(1週間程度先までの審理予定表)を見て,事件を選び,口頭弁論,準備手続,審判手続などを傍聴します。証人尋問や和解の期日に入ることが多いです。単独事件の傍聴の場合,修習地によっては,法壇の上(部長あるいは右陪席の隣)から傍聴する場合もあります。そうでない場合,あるいは,合議事件の場合は,法壇の下(右あるいは左の奥)の椅子に傍聴席に向かって座って傍聴します。

もう一つは,起案です。
これには,2つのパターンがあり,1つは,自ら選んだ事件を傍聴して裁判官室に戻って,部長あるいは右陪席からの質問を受けて,一通りの議論等をした後に,「この事件の争点について,来週までにサマリー起案してみて」,「この事件の和解案を考えてみて」といった指示を受けて,起案するパターン。もう1つは,すでに終結した事件の記録(修習生にとって学習効果が高いと思われるものをストックしてある)を使って,主張整理(要件事実の整理)や争点についての判断,あるいは判決のフル起案をするパターン。
裁判所内の資料室(≒図書室)や裁判官室内の蔵書を見たり,修習生同士で考えたり,裁判官にヒントをもらったりしながら,起案をしていきます。事件記録は,担当書記官から借ります。

部での修習の他にも,高等裁判所(所在地の場合),簡易裁判所(一般調停,少額訴訟など),専門部,保全,執行,他の民事部での修習,書記官,執行官事務などの修習があります。
※地方によってメニューは異なります。



第3 雑感等

裁判官には色々なタイプの方がいます。
民事・刑事の違いはもちろん,民事の中でも部によって,全く雰囲気が違いますし,「常に冷静で無表情」というようなステレオタイプにあてはまるような方は,あまりいません。
裁判官の経験と理論に裏打ちされた話を聞いて,全く気づかなかった視点を与えられることが多いです。流れるような思考過程が示され,緻密で精確な事実認定がなされた判決文を読むと,同じ事件について自分が書いた起案を破り捨てたくなることも多々あります(笑)
修習生同士で議論していると,裁判官も巻き込んで大論争になるなんてことも。
ひとたび裁判官室に戻れば,裁判官は修習生に対して事件の心証や見通し,審理の感想などをどんどん開示してくれます。これが民裁修習の最大のポイントかもしれません。
裁判官が事件をどう見ているのか,裁判官から見た代理人のあり方として望ましいものは何か等々,任官しないならばこれが最初で最後の機会になりますし,任官するにしても第三者的立場から裁判所を見ることができる最後の機会になるからです。
他にも,民事裁判において和解が極めて重要であることを実感することになりますし,書記官と裁判官とが連携して仕事に当たる様をみると,「裁判所」というチームワークでの仕事のあり方を知ることができます。書記官などの周囲の支えによって,裁判官が法的判断に集中して取り組むことができる環境が整えられているのだということが良く分かります。
ちなみに,ベテラン書記官の手続法の知識はものすごいです(規則の細部まで完全網羅)。疑問に思ったことはどんどん聞いたほうがよいと思います。修習生というおいしい立場を利用しない手はありません。


民裁修習を経て,民事と刑事とで立証の程度(心証の取り方)の違い,証拠の密度の違いを実感することになりました。民事訴訟は,動かない堅い事実を押さえるのが難しいです。証拠といっても,当事者の陳述書と薄い証拠がパラパラとあるだけ,というケースも珍しくありません。よく準備書面等で,「~であることは,明らかである」といった記載がありますが,事実認定をしてみると明らかなものなど何もないというのが実感です。要件事実や不要証事実(主に自白)のありがたみが良く分かります。間接事実からの認定にしても,経験則に基づく推認は想像以上に難しいです。

裁判官の仕事ぶり(判決の起案,事件記録の検討,裁判官室での合議)を見れば,裁判官がいかに集中して仕事しているか,事件にいかに真摯に向き合っているか,いかに悩んでいるかが分かると思います。
日々他人の悩み(法的紛争)と真正面から向き合い,真剣に考え,結論を出す姿を見て,私の中の裁判官に対するイメージは明らかに変わりました。法廷では冷静に見えても,その心の内は,様々な葛藤があるのだと思います。




【憲法第76条第3項】
すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。



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genre : 学問・文化・芸術

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