スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

②刑事裁判修習

司法修習全体については,こちら

②刑裁修習について。

第1 前提説明

刑裁修習の時間は,民裁修習と同じ(午前9:20ころ~午後17:30ころ)です。
場合によって,夜まで起案をすることがあることも同様です。

刑裁修習では,地方裁判所の刑事部で修習を行います。
刑事部が複数ある場合には,1つの班の修習生が数人ずつに分かれて,各部に配属されます。
民裁修習との違いは,刑事部の数が民事部よりも少ないため,各部に配属される修習生の数が変わってくることがあることです。修習生の席が裁判官室の中に用意されていること,部の構成として,部長1人,右陪席1人~2人,左陪席1人~2人となっていること,裁判所書記官(+事務官)の部屋とは別になっていることは,民裁修習と同様です。

第2 刑裁修習でやること

基本的に民裁修習と同じです。

一つは,法廷傍聴です。
期日簿を見て,事件を選び,主に公判,公判前準備手続,事前打ち合わせ(刑訴規則178条の10)を傍聴します。第1回公判では,起訴状のコピーを持って傍聴に臨みます(手続の進行過程に応じて,書記官から,冒頭陳述要旨,証拠等関係カード,論告要旨,弁論要旨の写しが配られる。)。
また,裁判員裁判対象事件については,裁判員全員の許可を得た上で,評議も傍聴することになります。
傍聴は,法壇の下の椅子に傍聴席に向かって座ってします。
多くの事件について,第1回公判から判決までの一連の過程を見ることができる点が民裁修習とは異なります。
その他,逮捕状,捜索差押許可状,検察官からの勾留(延長)請求,弁護人からの保釈請求に対する判断をするように左陪席から振られたり,勾留質問に同席したりすることもあります。

もう一つは,起案です。
民裁修習同様,争点についてのサマリー起案や判決のフル起案の指示を受けて起案します。
事件記録は書記官から借ります。

部での修習の他には,刑事模擬裁判,家庭裁判所(家事調停,家事審判,少年事件など),高等裁判所(所在地の場合),他の刑事部での修習,社会修習,書記官事務,令状事務などの修習があります。
※家裁修習では,通常の刑事事件と少年事件との違いに着目して傍聴すると,制度の理念の違いが手続に反映されていることが良く分かると思います。
※社会修習では,少年院,少年鑑別所などの施設見学をします。刑務所との違いに驚くことが多かったです(刑務所見学は検察修習中にある。)。
※地方によってメニューは異なります。




第3 雑感等

否認事件は圧倒的に少なく,ほとんどすべてが自白事件です。

法廷傍聴では,「裁判官(長)の今の発言はどのような法律上の根拠に基づいて行われているのか」を常に意識して考えることの大切さを実感しました。
たとえば,証人尋問の場面では,尋問事項(規則199条の3~)や,書面,物,図面等の利用(規則199条の10,11,12)についての規定を念頭に置いて傍聴する必要がありますし,証拠調請求に対する弁護人の意見が述べられる場面では,書証への不同意,物証への異議(関連性なし,違法収集証拠など),これに対する検察官の対応(書証について,刑訴322,321Ⅰ②など)について,特に伝聞証拠についての規定を正確に把握しておくことが必要になります。

また,被疑者段階(起訴前)と被告人段階(起訴後)でそれぞれ裁判所がどのように関わっているのか,という点も見所です。起訴状一本主義の意味や訴因の問題について考えさせられる契機になります。

さらに,判決に至る多くの事件を傍聴することになるので,犯行態様,被害の程度,反省の有無等々,個々の事件ごとに,裁判官が何をどのように考慮して量刑を決めていくのかを間近でみる中で,量刑感覚を身につけようと努力することも必要だと思います。

私にとっては,なんといっても,裁判員裁判における評議を傍聴することができたことは大きかったと思います。一般の方々がどのような感覚を持っているのか,犯罪に対してどのように考えているのか,どのような論拠から意見を述べるのか,量刑に当たって何を重視するのか等々学んだことはたくさんありました。
余談ですが,社会的にある程度注目されている事件だと,開廷前の法廷撮影が行われるので,修習後に自宅で見るニュースに自分が映っているなんてこともあります。

また,刑裁修習の前に検察修習をしていた場合,自分が取り調べて起訴の決裁を受けた事案が担当の刑事部に配点されるということもあります。この場合,法廷内から傍聴することはできませんが(中立性の観点),傍聴席からは傍聴することができるので,被告人の検察庁での様子と法廷での様子を比べてみると,新たな発見があるかも知れません。

その他,刑裁修習を通して,「合理的疑いを容れない程度の立証」の意味や「被告人の弁解の合理性はどう考慮されるか」といった問題について,あらためて考えさせられることになりました。



【刑事訴訟法第317条】
事実の認定は、証拠による。

【刑事訴訟法第318条】
証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる。


【最決平成19年10月16日(刑集第61巻7号677頁)】
「刑事裁判における有罪の認定に当たっては,合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証が必要である。ここに合理的な疑いを差し挟む余地がないというのは,反対事実が存在する疑いを全く残さない場合をいうものではなく,抽象的な可能性としては反対事実が存在するとの疑いをいれる余地があっても,健全な社会常識に照らして,その疑いに合理性がないと一般的に判断される場合には,有罪認定を可能とする趣旨である。そして,このことは,直接証拠によって事実認定をすべき場合と,情況証拠によって事実認定をすべき場合とで,何ら異なるところはないというべきである。」

theme : 司法試験・資格試験・語学試験
genre : 学問・文化・芸術

comment

管理者にだけ表示を許可する

05 | 2017/06 | 07
Su Mo Tu We Th Fr Sa
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
プロフィール

maso

Author:maso
弁護士(63期)。いわゆる大手渉外法律事務所で働いています。

maso on Twitter
カテゴリ
最新記事
最新コメント
検索フォーム
月別アーカイブ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

masoブロ カウンター
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。