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「判例の立場」からの論述と事案分析

【法学セミナー8月号】
①「憲法 解釈論の応用と展開 総合演習3 事案の重視と判例の学習」
(p71~75)
②「プロト・ディシプリンとしての読むこと 憲法 事実を読む(1)」
(p76~80)


新司受験生の方々には、(特に憲法の)受験勉強に取りかかる前に、この2つの記事は読んでおくことを勧めます。

なお、このブログでも何回か言及してきましたが、①の宍戸先生の連載は、憲法の新司法試験対策として超オススメです。
私が今からもう一度新司法試験を受けなければならないとしたら、確実に、この連載を勉強の主軸に据えます。
まだ手に取ったことがない方は、「総合演習1 憲法判断の方法」(法セミ6月号)、「総合演習2 「憲法論」を主張する」(同7月号)の記事だけでも読まれることをおすすめします。

受験勉強をしていたときは,人権の途中までしか連載されていませんでしたが、それでも、この連載を読み込むことによって,憲法も他の科目と基本的な思考は共通していることが分かり、憲法問題のとらえ方、視点の設定の仕方などが次第に感覚として分かってきました。それが分かってくると、自分の考え=私見を自由に書ける(新司の)憲法の問題を考えるのが楽しくなりました。

今回の記事では特に、いわゆる「論点」について、判例の立場に立って書かれる方にとってはためになる記載が満載です。

「もちろん、すべての判例の考慮の要素を一言一句正確に暗記していることは、皆さんに対する期待可能性を明らかに超えています。日頃の学習としては、「規範」がどのように組み立てられているか、いざとなれば自分で後から梱包をほどいておおまかに再現できる程度には、内在的に理解しておくべきです。今回であれば、取材の自由と公正な刑事裁判の具体的な利益衡量という「立て付け」を把握しておき、後は問題文を見ながら両側の利益を個別具体的な要素に分解・展開して、判例の「規範」をだいたい再現できれば十分でしょう。」(①p28~29より引用)
※赤字部等筆者
※なお,「判例で書く」場合の「規範」のレベルについては,同連載に詳しく書かれているので参照してみてください。


判例を学ぶ上では、ⓐ判例の規範がどういう論理を経て導かれているのか、どういう要素で成り立っているのか、それはなぜなのかを考えるのはもちろんのこと、ⓑもし、試験で問われたらどう書いていくか、要するにその判例は何を言っているのか、Ⓒこの規範を前提とすると、結論を決定づけた事実は何であったのかというところまで踏み込んで学習していく必要があると思います。そういった視点を意識しての判例の読み込みは時間がかかりますが、ひたすら判旨と結論を追っていくような学習をするよりも何倍も効果があります。

ローの期末試験が終わってこれから受験勉強を開始される方もいると思いますが、百選の重要判例だけでもよいので(というか,このやり方だと百選を回すのもかなり大変だと思います。)じっくりとやった方がよいです。

試験の本番では「理解している事」は何よりも力になってくれます。
なんとなく結論だけを覚えているような知識は使いものになりません。
論述の構成を練る段階(頭の中で,「まず、こうだから、こうなる。次に、〇条からするとこうなる。さらに、こうだから、こうなる。そうすると・・・」というように思考過程を積み上げていくこと)で、絶対的に確信が持てる基礎(=理解しているもの)があるということはとても強みになります。

基本的な重要判例については、ある程度の時間をかけてしっかりと学んでおくと論述対策として抜群の効果を発揮すると思います。

「事例問題で本当に評価の差が開くのは、どこまで事案をしつこく丁寧に分析して、それを法律論へと組み立てているか、いわば分析の「密度」の差が大きいというのが、私の感想です。そして限られた時間内で、素早く筋の良い分析を進めるためには、判例を「はしご」に使うのが最も有用であり…」(①p29より引用)※赤字部筆者


『自分の「理解している事」との「距離」で事案(問題)を把握していくこと』は、論文の問題を解く上で、とても役立つアプローチです。以前の記事「某連載」の中でも述べられていたことであり、使用教材の中でおすすめした、旧司法試験論文過去問(辰己Live本)の民訴の中でも和田先生が同じようなことに触れています。

各科目の論述を安定させるためには、基本判例はもちろん、このブログでいう基本的部分(法の仕組み、重要条文の趣旨、個々の制度の仕組み・趣旨、沿革等)にかかわる事項が、どれだけ自分の「理解している事」としてストックされているかが大切だと思います。

②の連載は、憲法の論述問題における視点設定、及び規範定立後のあてはめについて大きなヒントとなると思います。同連載における「基本的な関係構造」≒憲法上の問題という理解には全面的に同意します。
新司でも、「基本的な関係構造」の把握があって初めて、問題文に掲げられた諸事実について憲法論上の意味づけが可能になるのであり、憲法論を組み立てる上で重要な事実をピックアップするためには、「基本的な関係構造」の把握ができていることが必要になるからです。
(そのように考えると、①の連載は、②の連載でいうところの「基本的な関係構造」を把握するプロセスを理解するために最適の教材と位置づけられるのではないかと思います。)

「・・上記の規律枠組みを本事案に「あてはめ」るという作業が可能となるためには、その前提として、如何なる事実であれば、(規律該当性※注:筆者)を判定すべき「具体的な事情」たりうるのか、を決する作業が先行していなければならない。その作業の基礎をなすのは、・・・「基本的な関係構造」の解釈である。旧司法試験憲法論文問題が解答者に発見(論評)するよう求めてきた「憲法上の問題」とは、多くの場合、事案の諸事実を規律枠組みへと媒介する、この意味での「基本的関係構造」である。」(②p78より引用)※赤字部筆者

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