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任官,任検

任官,任検を考えている方へ。

近年は,任官・任検ともに人気が高く,狭き門となっています。
どちらも想像以上に厳しいと思っていた方がよいです。
なお,任官するにせよ,任検するにせよ,集合修習に入るころまでには,現在持っている弁護士事務所の内定を断る必要があるので,任官・任検組は,背水の陣で集合修習・二回試験を迎えることになります(起案で大ミスをすると肩たたきに合うこともあるため)。

第1 任官(=裁判官)
修習生採用選考の身上報告書,修習の開始時のアンケートなどで任官希望を表明した上で(途中で教官に任官希望を伝えたり,任官の誘いを受けてから表明したりすることもあります。),まずもって研修所の起案を頑張りましょう。
①導入起案(民事裁判,刑事裁判),②問研起案(民事裁判,刑事裁判)のいずれもで好成績(各クールで1ケタ順位)を取ることが望ましいです。※いずれかで大きくコケると,挽回は厳しくなります。
配属部(刑事部,民事部)での修習も頑張りましょう。
実務庁での評価も極めて大切です。指導官に任官希望である旨を伝えて,積極的に修習するとよいと思います。起案の内容はもちろん,傍聴を終えて裁判官室に戻った後の質疑応答の様子,普段の様子等総合的に評価されています。
和光に戻った後の集合修習における起案も頑張りましょう(原則として,平均B以上=上位1/3。なお,評価はABCDEの5段階。)。
もちろん,二回試験も頑張りましょう。
なお,司法試験の成績の扱いは,参考程度だと思います。ただ,私の周りの任官組あるいは任官の声が掛かった人達をみると,幅はありますが,総合で上位10%程度(500番以内)には収まっているという感じです。

※教官から,裁判官を志望することについてOKが出た場合には,集合開始後間もなく,判事補採用の願書を受け取り志願することになります。教官からOKが出ていない場合でも願書自体は出すことが可能ですが,任官は事実上不可能です。また,志望OKが出ていても,集合修習での起案の成績が振るわない場合には,肩たたきがあります。

第2 任検(=検察官)
任検希望を表明した上で(志望度は高いほどよいと思う),なによりも検察修習を頑張ってください。
検察の場合は,少なくとも,「検察も進路の一つに考えている」人でないと向こうからの誘いはないようです(裁判官の場合は,当初の任官希望の有無にかかわらず,見込まれた人には誘いがあります。ただ,この点については,修習地・指導官・教官による差があるかもしれません。)。
「報連相を徹底して,迅速,かつ,正確」にテキパキと捜査をこなしましょう。
補充捜査,取調べ,決裁,全てが見られています。
全国一斉検察起案(原則としてA。評価は,ABCの三段階。)と刑裁修習も頑張りましょう。
集合修習での起案や二回試験も,任官組ほどではないにせよ頑張りましょう。特に検察科目。
また,キャラも大切だと思います。
検事や検察教官と飲み会等を通じて交流を深めておくと,いいことがあるかも知れません。

※実務庁からの推薦に加えて,教官から検事になることについての推薦が取れた場合には,集合開始後間もなく,検事採用の願書を受け取り志願することになります。推薦が取れている場合には,検察科目の起案がよほど悪くない限り,任検できるようです。



任官・任検を進路の1つに考えている人は,なるべく早いうちから,志望割合はともかく,「進路として考えていること」を積極的に表明した方が良いです。
また,任官あるいは任検しか考えていないという人も,弁護士事務所の就職活動をしておいたほうがいいです。いくら熱意とやる気があっても必ずしも任官・任検できるとは限らないので,そのリスクヘッジのためというのはもちろん,どのような事務所から内定を得ているかという点が(特に任官の)参考資料になっていると考えられるからです。弁護士事務所への就職活動をしないまま,任官・任検希望一本で行くと,本人の意思に反して思わぬところで肩たたきにあった場合,大変なことになります。同期でも何人か見てきましたが本当に大変です。
弁護士志望の場合はもちろん,裁判官,検察官志望の場合にも,弁護士事務所への就職活動をしておくことは必須だと思います。

theme : 司法試験・資格試験・語学試験
genre : 学問・文化・芸術

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No title

はじめまして。いつも記事を参考にさせてもらっています。ありがとうございます。
現在法科大学院3回生のものです。私は現在、任官が第一志望なので、今回の記事は特に興味深く読ませていただきました。

さて、今回の記事のことで、一つ質問があります。masoさんが今回の記事で指摘されているとおり、私も友人や学校の実務家教員の先生などから、「弁護士事務所の内定をもらっておくことが任官する上でもアドバンテージになる。」と聞きました。しかし、私は、任官を第一志望にしながら、内定をもらっても断ることを前提にして、弁護士事務所に就職活動をしにいくということに、躊躇と違和感を覚えてしまうのです。また、弁護士事務所に行って「任官が第一希望で、ここは滑り止めです。」などと言って採用してもらえるはずはないとも思います。

そこで質問なのですが、①masoさんの周りで、任官を希望しながら弁護士事務所の就職活動を行っている人たちは、自分は弁護士希望だとおっしゃって就職活動をされているのでしょうか? ②弁護士を第一希望だと言って内定をもらった後に、任官するからという理由で内定を辞退することには、何の問題もないのでしょうか? 大手事務所ならともかく、少人数の事務所で内定を辞退することはかなり問題があるのではと感じてしまいます。

学部時代、就職活動をしたこともありませんので、かなり甘っちょろいことを言っているのかもしれませんが、以前から疑問に感じていることでもあり、答えられる範囲で結構ですので、masoさんに答えていただければ幸いです。それでは長文失礼しました。

No title

ポコさん

ご質問ありがとうございます。

辞退前提での弁護士事務所への就職活動に躊躇するお気持ちはよく分かります。
私の周りでも,任官・任検希望であるために,ポコさんと同じ理由で就職活動に踏み切れずにいる同期が相当数いました。

任官するためには,起案等の成績面が良好であること(評価がA又は優)が第一条件ですが,それ以外のところ(教官や配属部の指導担当との折り合い等)も影響してきます。
また,修習を経ると,事前に抱いていた「裁判所」,「裁判官」のイメージが変わってくることと思います。
向き不向きを感じることもあるでしょう。
任官志望が更に固まった人,任官志望に変わった人,逆に撤回した人,さまざまです。
配属部の裁判官らの人柄,民事部と刑事部の雰囲気の違い,修習順序等も進路選択に影響してくると思います。

当初の志望度100%であっても,進路転換は十分にあり得ることですので,弁護士事務所への就職活動はしておいた方がよいです。

質問①について
任官・任検が第一志望でも,「仮に弁護士として働くとすればこの事務所」というスタンスで就職活動を行っていた人がほとんどです。私の周囲の任官希望100%の人でもそうでした。
面接等で,「任官・任検は考えていますか?」などと聞かれた際には,「任官第一希望です」と答えるのではなく,「任官も考えています」と答えておけば良いでしょう。ポコさんにご質問を頂いてから周りの同期にも聞いてみましたが,皆そうしていたようです。
多少のうしろめたさを感じるかもしれませんが,そこは割り切るか,もしくは,「任官希望で司法試験を受けたが,これから修習していく中で決めたいと思っている。弁護士としては,〇〇の分野に・・・」といった感じで切り抜けるのがよいと思います。
私も面接で,「任検の希望も強いので修習を経る中で決めたい」旨を伝えましたが,それで嫌な顔をされたり,反応が芳しくなかったということはありませんでした(むしろ,パートナーが修習時代に進路選択に迷った話などを聞けて参考になりました。)。

質問②について
弁護士が第一希望だと言っていたとしても,任官を理由に内定辞退することについては全く問題ありません。
自分の気持ちの面で(内定を頂いたのに)申し訳ないと感じることは当然あると思いますが,それ以上の問題が生じたという話は聞きません。

大手は,任官・任検による内定辞退者が出ることを前提に採用活動をしています。
周りでも,任官内々定(=教官からのGOサインが出た状態。集合修習の起案や二回試験で一定程度の成績を保っていれば任官できる。なお,教官のGOサインがなくても願書自体は出せるが,事実上任官できない。)を得てから,大手事務所の内定辞退をした同期が数名いますが,問題があったという話は聞きません。
中には,採用担当パートナーに任官するか弁護士になるかの相談をした上で,最終的に内定辞退した人もいますよ。

少人数の事務所であっても,誠意を見せて,手厚くフォローすれば大丈夫です(来訪,電話,手紙等)。

任官・任検を理由に内定辞退をして,事務所側から強く引き止められたという話は聞きますが,邪険に扱われたという話は全く聞きません。
励ましの言葉(事務所としてはとても残念だけど,君の決意の堅さは分かった。裁判官として頑張れよ。といったもの。)を掛けられた人がほとんどじゃないかと思います。

自分の中での志望が固まり,客観的にも任官できそうだということが分かったら,なるべく早めに内定を辞退することを心がけておけばよいと思います。
そのときのためにも,就職活動の段階で任官も視野に入れてある旨を伝えておくべきです。


以上ですが,加えて何かあれば気軽に質問してくださいね。

ありがとうございました

masoさん

お忙しい中、大変ご丁寧に質問に答えていただきありがとうございます。また、わざわざ周りの同期の方にまでご確認いただき、大変恐縮です(汗)。
私は今のところ、ほぼ任官志望で気持ちが固まっているのですが、修習中に進路変更が十分にあり得ることや、実際に任官を志望しながら就職活動された方の実情などを知ることができ、とても新鮮でした。また、修習の具体的なイメージも垣間見ることができ、モチベーションを高めることもできました。

最後に、「任官するためには,起案等の成績面が良好であること(評価がA又は優)が第一条件」である旨のご指摘も、当然のことながら、改めて痛感しましたので、自分の進路に悔いを残さないためにも、残り8ヶ月、精一杯頑張ろうと思います。また、勉強のことなどで質問したいことがあれば、厚かましくも質問させていただくかも知れません。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、長文失礼しました。ありがとうございました。
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Author:maso
弁護士(63期)。いわゆる大手渉外法律事務所で働いています。

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