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【特別連載・第5回新司法試験を振り返る・出題趣旨を受けて―民事系科目第2問(民法・民事訴訟法)―】byN氏

民事系科目第2問(民法・民事訴訟法)について。

[評価] 上位約3%

※特別連載の説明,目次は「こちら

【問題を見たときの感想】
民法は得意な方であるし,4時間もあるのでじっくり問題に取り組む。民法が第1,2,5問とあるので,先に答案構成を全て簡単にしてから論じていく作戦をとる。
民訴は不得意であったが,集中的に勉強をして苦手意識はそんなにない。定義を示す,原則を貫いて不都合が出たら修正する,論理的に考える,などあらかじめ決めておいた注意点を思い出す。
設問1が要件事実で基本は外さないように心がける。設問2は抵当権の損害なんて聞いたことない問題だから自分で考える問題と分析。これも基本を外さないように心がける。
約1時間強答案構成し,残り時間と配点を参考にして枚数と時間配分を決め,書きだす。

【解答方針】
[設問1]
代理の要件事実
(ア)無制限の代理権=有権代理の主張
(イ)1500万円の代理権=110条の主張ととらえた。
そして,それぞれの構成について,要件事実をまず列挙した上で書く。
(ア)①は,代理権授与表示としての法律上意義はある,②は,意味がない。
(イ)①は,同上。迷ったのは,事実②が法律上の意義を有するかどうか。
これの書き方が非常に難しかった。たぶん,「携帯電話に電話した。出なかった。」だけの事情は正当事由を基礎づけるに「足りない」主張であって法律上意義を有しないというようなニュアンスで書いた。

[設問2]
(1)問題を見た瞬間,意味不明だとおもった。「わからない問題はわかるところまで丁寧に書く。あとはわからないと明示して,そこから論理的に演繹する」,とゼミで話し合ったことを思い出し,抵当権の定義等基本を外さないように心がける。
抵当権を「目的物の交換価値を把握する」価値権だから,その損害額の算定には困難を要する,とかいって,難しい問題でよくわかりません,と伝える。
で,①弁済期前には債権額が弁済期に払われるかもしれないから損害が現実化しないんじゃないか,とか,②損害額は,債権額から(抵当権が無事に設定登記済の)甲を引いた価格に限られるのではないか,とかの反論を想定し,再反論として,①価値権とはいえいったん不動産額を価値として把握した以上,その価値が下がれば弁済期関係なく損害が生じるんだ,②共同抵当の一部の滅失は担保の価値を減じることになるから乙,丙不動産の価格分だけの損害が生じる,なんて書く。結論は,乙,丙不動産の価格を損害ととらえるべきである,となった。
(2)Qの反論を,177条で許容されるから不法行為上違法といえない,との主張と理解。
これに対して
ア Eは背信的悪意者である,との反論。背信的悪意者の定義,評価根拠事実(Eの気持ちを悪そうに評価,贈与であること等)を拾ってあてはめる。(悪意があって贈与を受けているが,背信的悪意者にはこんな事案ではならないよ,ということもほのめかしたかったが,出題趣旨はそこにない気もしたし流れも悪くなるから書かなかった。)
イ 177条の規律と709条の規律を必ずしも整合的に理解する必要はない,709条の成否は177条とは無関係との反論を書く。(709条の要件を列挙した上で「違法性の問題」ということを明確にすべきだった。途中で気付いたが直せず。)

[設問3]
訴訟係属は,EとFとの間に生じていることを確認。にもかかわらず訴訟行為をGがやったことが問題だと指摘。
訴訟行為は当事者がやるのが原則。当事者の定義を書いた上で,既判力の正当化根拠は手続保障にあるからこそ「当事者」に既判力が及ぶ(115条1項1号)と理由づけ。
訴訟代理も,54条に反し不可。任意的訴訟担当も,必要性がないから不可。やっぱり無効。ここまでが原則。だけど無効となると結論がおかしいから,修正すべきだと考える。
そこで,信義則上E側からの無効の主張は不可とした。
そして,F側は有効と主張しているから,責問権(90条)の放棄があった,と構成。

[設問4]
(1)法律構成①,②とも聞いたことがない構成。そこから知識をきいている問題ではないと判断。基本に立ち戻り,論理的に記述すれば足りるはずだと考えた。また,判例理論に触れるかどうかに迷ったが,全く記述しないのも怖かったので,簡潔に触れることにした。
ア 法律構成①について
まず,長所として,判例理論を書いた上で,判例理論では既判力が及ばない事項に関して既判力を及ぼすことができる,とした。
短所として,既判力の正当化根拠は,手続保障を経た自己責任にあるところ,争点から外した事項に関して既判力が及ぶとした場合には,手続保障が十分とは言えない。したがって既判力の拘束力を認めるのに疑問があることをあげる。

イ 法律構成②について
長所は①と同じ。それにくわえて,①よりも,「放棄」という形をとるが故にその拘束力の根拠がはっきりしている,といえることを挙げる。
短所は,「放棄」という形をとるが故に,放棄が錯誤・詐欺等によった時には無効になりうるという点を挙げる。また,原告の意思解釈として,自認部分を「放棄」と構成することは疑問であると書く。

(2)条件付判決の適否
『解析民事訴訟』(藤田広美,東京大学出版)でわずかに触れられていたことを思い出す。しかし,否定的な結論のみで理由が書いていなかったと思ったため,理由を考えた。肯定説の方が書きやすいのではないかと途中で思ったが,結論はどちらでもよいはずだし,途中で見解を変えると読みにくい文章になると思ったので,否定説を貫くことにする。

条件付き判決が一部認容判決であり,246条の解釈問題であり,原告の合理的意思に反しなければ認められる,との前提を書いて
全部棄却の場合と比較して
①執行まで一気にいける
②既判力に準じる効力が生じるという解釈もありえる
③原告の合理的意思に沿う
ことを挙げる。
しかし,①に対しては,そのような判決は意味がなく,妥当でない,と書く。②も信義則で遮断し得るし,③は,「3000万円を貸し付けたときに,3000万円の支払いを条件として~」との判決を認めることが論理的帰結となるが,抵当権の不可分性から,そのような原告の意思が合理的かどうかに関しては疑問が生ずる,と書く。
*①に対する「意味がない,妥当でない」のが「なぜか」が書かれていないため,読んでいるひとは「??」となるはず。また,書いた後で,③を「246条は原告の合理的意思を斟酌して質的一部認容も認める。しかし,このような一部認容は246条が許容する限度を超えている」と書けばもっとすっきりしたと悔やむ。こっちの方が条文が出てるのでわかりやすいはず。

[設問5]
認知の問題。家族法が来た!と思う。家族法は条文をひたすら引用すればよい,という印象があるため,条文をたくさん出すようにする。残り10分。

相続分の開始,相続の範囲の条文を引いた上で,Dが死んだ以上相続人は「子」のみである,とする。そこでEが「子」であるか問題となる。
そのためにはAの認知が必要。
認知の方式に関して781条1項と2項があって,今回は1項の届出がない。でも遺言がある。2項で認知が認められないか。
遺言は,できる限り作成者の意思に従った解釈をすることが求められる。そうだとすれば,Aは旅行の直前,Eに認知する旨,および手続一式を手渡しているため,Eを認知する意思があったといえる。したがって,「Cに2,Eに1」という遺言は,認知も含めて考えるべきだ,という。(遺産分割方法の指定ではなく,相続分の指定と書いてしまったかも・・・)
よって,Eは子である。
割合は,債権債務が等分に分担されることが公平に資するから,同じ割合で。
Cに400万円,Eに200万円。
(427条を探しているうちにタイムアウト。「以上」を書き忘れる。)
(13枚目中盤)



【出題の趣旨に照らして】
設問1は,①の事実を「間接事実として法律上意義がある」に当たるとは書いていないと思う。また,表見代理構成の①を正当事由と評価できることにも触れていないし,②を「評価障害事実」とできるということも書いていない。間接事実・評価障害事実というキーワードが出ていないことが,やや減点ポイントだと思う。
設問2は,出題の趣旨にかなり応えられていると思われる。709条と177条の関係は,ロースクールの授業でちょっとだけ触れたことがあったから,書くことができた。
設問3も,責問権は余計な気がするが,出題の趣旨には応えられていると思う。
設問4(1)も,そんなに外してない気がするが考察が浅いのは確か。(2)の出題趣旨である「将来給付判決であること」や,「既判力の客観的範囲の比較検討」に関しては全く気付いていない。でも「質的一部認容」であること,「合理的意思に合致するか」という点で論じていることに関しては,出題の趣旨に応えている。もっとも,もっとスマートな書き方をしたかった。。。
設問5は,認知を認めちゃって,出題の趣旨にある3つの法律問題の第1で躓く。でもなんとなくだが,出題の趣旨第2,第3の法律問題についても触れられた気がしている。

総じて,今年の民事系は(も)難しかったと思う。しかし,「難しい問題への対処法」的なことをゼミでやっていたため,まずまず対応できた気がしている。その意味で,第1問よりはるかに第2問の方が出来はいいと思う。表現の問題は実力不足故やむを得ない。


theme : 司法試験・資格試験・語学試験
genre : 学問・文化・芸術

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