スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【特別連載・第5回新司法試験を振り返る・出題趣旨を受けて―刑事系科目―】byN氏

刑事系科目(刑法・刑事訴訟法)について。

[評価] 上位約4%

※特別連載の説明,目次は「こちら

<第1問>(刑法
【問題を見たときの感想】
刑法は苦手科目だった。勉強に時間を一番かけたが,過失まで理論的に詰めて勉強をすることはできていない。まさかの過失で,笑ってしまった。
不作為にしても,因果関係にしても,基本的論点であるため,規範はみんな一応書けるだろうから,あてはめで勝負しようと思う。
過失の書き方はゼミで,民法や会社法で使われる過失に関し,「過失とは注意義務の懈怠である。本件では,~という注意義務がある。しかしそれを懈怠した。したがって,過失がある」との書き方がいいのでは,となった。そこでその書き方を流用することにする。
問題文に時間がやたら書いてあるので,時間軸が大事だと思う。そこで時間を意識(マーク)しながら,簡単に答案構成用紙に整理する。
刑訴に時間を残すため,時間管理を徹底するように心がける。
(しかし7分延長)
【解答方針】
第1 甲の罪責について
1 殺意について
殺意と不作為の殺人のどちらを先に書くかと迷う。結局,殺人罪の検討に先立って,各犯罪間の区別が必要なのではないかと考えた。そこで,不作為の殺人罪と保護責任者遺棄致死罪との区別は,殺意の有無によるべきとの立場を明示した上で,「故意とは,構成要件的結果の発生を認識し,認容することである」と定義し,いろいろあてはめて,「2時15分の段階で,Vの生死を運命にゆだね,死という結果にも従う意思を持っていた。よって,死という結果を認識し,認容したため,殺意が認められる」との結論に。
2 不作為について
そこで,不作為の殺人についての議論を始める。
不作為に対して作為を前提としている199条の適用を認めるためには,作為と不作為の同価値性が認められないといけない。同価値といえるためには,①作為義務,②作為容易性,③結果回避可能性(因果関係)が必要。作為義務は,排他的支配を獲得したか否かで決すべき。(それぞれに理由をつけたはず)。その獲得時期は,乙の巡回を断った時,とする。
第2 乙の罪責について
1 過失とは,予見義務を前提とする結果回避義務違反である。内規の存在から,アレルギーショックを回避する義務があった。にもかかわらず,甲を信じ回診をせず,アレルギー体質の確認等もしていない。したがって,乙の点滴行為は,過失傷害罪の実行行為に該当。(「業務上」を抜かすというミス!)
丙を信頼することは,両者ともに内規上注意義務を負っているから,許されない。本件では,信頼の原則は適用されない。
その上で,死までの結果を負うか。危険の現実化説。
因果関係の有無の判断基準として,実行行為の危険性,介在事情の寄与度,介在事情の稀有度という3要件をあげて,できるだけ詳細にあてはめた。実行行為はとても危険だから,故意行為が介在していて,毎日看病にきている甲が突然Vを殺すようなことはあまり考えられないけれども,なお因果関係はあるとした。
2 また,乙は,B医師の指示で30分ごとの見回りをして,容体の変化に対応する義務を有するがそれをしていない。しかし,それは甲が「自分がVを見るから」といったためであり,信頼していたから,信頼の原則が適用され,この点に関して過失はない,とした。これは書かなくてもいいかも,と思いながら一応書いた。
第3 丙の罪責について
過失の共同正犯も一応論点じゃないか,と思い全く自信がないが書かないよりは書いて間違えた方がましだと言い聞かせ,チャレンジしてみる。
丙の渡した行為によって,乙が点滴をしたから,過失傷害罪の共同正犯にならないか,との論理を展開。共犯の本質論→行為共同説→注意義務を共同している場合には,過失の共同正犯を認める。その上で,意思の連絡は,共通の注意義務の認識があれば足りる,とした。そしてあてはめて,過失致死罪(笑)の共同正犯が成立。
(6.2枚くらい)



【出題の趣旨に照らして】
不作為による殺人罪と保護責任者遺棄致死罪の区別,作為義務の発生根拠,(成立時期を含めた)殺意の認定,因果関係の判断等はまあまあできた。
しかし,「業務上」を抜かすというイージーミスをやらかしている点,丙単独の業務上過失致死罪の検討をしていない点,過失の共同正犯の理論的正確性をおそらく欠いている点など,出題の趣旨の「なお」以下の問題意識はない。
書いている途中は,不安でいっぱいで,あってるのかどうなのかわからず微妙だと思った。結果がいいのは刑訴のおかげだとしても,そこまでひどくないのかなぁ,と思った。




<第2問>(刑訴
【問題を見たときの感想】
刑訴は得意科目(準備がよくできた科目)なので,刑法の時間オーバーに関してはあまり気にしなかった。
本問の捜査に関する論点は,すべて準備していたため,条文を摘示すること,書きすぎないことに気をつけながら書くことにする。
証拠に関する論点は,また伝聞だ,と思い,正確に分析をすることを心掛ける。
2時間40分たったところで書き始める。この時は伝聞に関する分析はまだできていないが,時間が足りなくなり書けるところまで書けなくなることを恐れて見切り発車。しかし,書いている途中に1(2)の部分を隠して1(1)を眺めたら,その部分に「けん銃」という文字がないことに気づく。これでは立証趣旨を立証できない。(2)の部分は必要だ,321条1項3号を書かせたいんだ,と気づく。これに気づけたのは嬉しかった。
【解答方針】
[設問1]
「ごみの領置」に関する問題は,重判にのっていた最高裁判例の理解をもとに,あてはめに気をつけることにする。
ゴミは領置の適法性として,221条を引いた上で,任意捜査として許容されるか否かについて論じる。
領置とは,捜査機関が占有を取得することであり,任意捜査で行われる捜査活動である。したがって,本件領置が適法か否かは,任意捜査として許容されるかによって決せられる。
強制処分か,任意捜査の限界を超えないかを検討。強制処分かは1行ぐらいで否定。
捜査①と②においてはゴミ捨て場の状況がちがうので,それを意識したあてはめを心掛ける。
捜査③は,捜索差押令状に基づき携帯電話が適法に押収されたことを指摘した上で,222条1項,111条2項を引いて,「必要な処分」として許されるか,と論じる。プライバシー侵害の程度は高いが,そのくらいの侵害は令状で予定されているから相当だ,的な感じであてはめて,結論は適法。
関連性が微妙だったが,「覚せい剤関連で殺された可能性はあるので関連性はある」と書いた。
[設問2]
第1 前提となる捜査の適法性
・おとり捜査の適否
辰巳の全国模試の論点。任意捜査として許容されるか,としてその下位基準として判例の要件を定立。そこでも指摘されたが,あてはめの具体性がいまいちで終わる。
・秘密録音の適否
両者の同意がない場合には通信傍受令状(222の2)が必要であるが,一方の同意があれば別で,この場合は秘密録音は任意処分である。プライバシーの制約の程度が小さい・会話の秘密は相手方にゆだねられることになるから。
そこで,任意捜査の限界を超えないか。
取引関係の話だし,甲と乙は密接な関係にないわけだし,おとり捜査の時には会話の情況が決定的な証拠価値を有するから捜査の必要性は高いんだから,プライバシーの制約として許容されると書く。
*この時点で残り時間が相当少なくなっている。書き終わらないのではないか,という恐怖が襲ってくる。
第2 証拠能力
1 まず,違法収集証拠の問題にはならないことを書く。
2 そのあとで,伝聞証拠の一般論を書いて,要証事実との関係で決まるという。
まず,捜査報告書の反訳は5官の作用を通じて物の形状等を把握する検証たる処分という性質を有するから,321条3項書面となる。
その上で,伝聞は書面を分解して考えないといけないことを思い出し,現場録音の部分(捜査報告書1(1),2(1),3)と,現場供述の部分(1(2),2(2))に分ける。
現場録音の部分は,立証事実との関係から,非供述証拠としてそのままでOK
現場供述の部分は,伝聞証拠だから,324条2項類推適用を介して321条1項3号の要件を充足することが必要。
乙は死亡している,現場録音部分のみでは「けん銃」という言葉が見えてこないので「けん銃譲渡」であることの立証ができず必要不可欠性も充足する。会話を終えた直後の供述だから,絶対的な信用性の情況的保障もある。
よって321条1項3号の要件を満たすから,321条3項の手続きを踏めば証拠能力を有すると論じた。
*この最後の現場供述の部分についてはホントはもっと書きたかったし,書くべきだった。悔やまれるところ。でも必要最小限触れることはできていると思う。
(6枚くらい)



【出題の趣旨に照らして】
おおむね出題の趣旨に応えられていると思う。準備したかいがあった。練習通りに事実と評価もきちんと分けて書いたから,「具体的事実を事例中からただ書き写して羅列す」るような答案になっていないはず。
しかし,221条の「遺留物」という文言解釈ができていない点,おとり捜査のあてはめが微妙(抽象的,一般的)な点,再伝聞の321条1項3号のあてはめが時間のなさから薄くなってしまった点が減点ポイントだと思う。
刑訴は書いているときから、よくできていると思っていた。刑法には自信がなかったが、結果を見ると刑法はそこまで足を引っ張らなかったな、という印象がある。


theme : 司法試験・資格試験・語学試験
genre : 学問・文化・芸術

comment

管理者にだけ表示を許可する

09 | 2017/10 | 11
Su Mo Tu We Th Fr Sa
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
プロフィール

maso

Author:maso
弁護士

maso on Twitter
カテゴリ
最新記事
最新コメント
検索フォーム
月別アーカイブ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

masoブロ カウンター
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。