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【特別連載・第5回新司法試験を振り返る・出題趣旨を受けて―公法系科目―】byN氏

公法系科目(公法・行政法)について。

[評価] 上位約24%

※特別連載の説明,目次は「こちら

<第1問>憲法
【問題を見たときの感想】
公法系でラスト。午後からとはいえ,疲れがある。けど,後1科目!これをきちんと書ければ合格できる!と言い聞かせて自分を鼓舞。
全ての科目を,第1問から解いていこうと受験前に決めていたが,噂にはあったがまさか出ると思ってなかった選挙権と生存権の問題であること,国籍法判決に類似する立法不作為もかかわってきそうなことから,後回しにして行政法から書こうかと迷う。しかし,憲法は時間がないと全然書けなくなるおそれがあるため,やはり憲法から解くことにする。
選挙,生存権ともに定期テストや問題演習を含めて書いたことがない分野だった。だからみんなできないと思い,宍戸先生の論文の該当箇所の記載を思い出しながら,法令違憲・適用違憲の区別,条文の摘示,その解釈,あてはめ,結論の流れを外さないように書こうと決める。
行政法のために,必ず2時間以内で書ききることを心に決める。
【解答方針】
書いた論点:選挙権と生存権と平等
第1 選挙権
1 原告側
公職選挙法21条の違憲性を言う。
ホームレスに対して処置をしていないことが「不作為」の話になると思ったがどう書いていいかわからないので,「住民基本台帳のみを基準として被選挙人資格を決定する公選法21条は,憲法15条に反し,違憲である」と書いた。
論理構成は,選挙権が①民主主義の根幹となる権利であること,②国民主権確保のための必須の権利であることを論拠として,極めて重要な権利でありやむにやまれぬ利益の場合以外に制約されることがあってはならない,と論じ,厳格審査基準を定立。立法事実として景気の悪化・派遣ギリに伴いホームレスが増えていることや,法務省に資料が提出されていることを根拠とした。
2 被告側
被告側は,44条,47条の立法裁量を理由に緩やかな審査基準で。
住居を基本とするのは事務処理上合理性があるため,違憲ではない,という。
3 私見
私見は,違憲審査基準をたてなかった。裁量の逸脱・濫用で論じた。
「44条,47条の立法裁量は,権利の重要性に照らせば,その選挙権を与えることに関しては限定的に解すべきである」として,「立法裁量の逸脱・濫用があり,かつ合理的期間を徒過していると」して違憲とした。
*選挙権の「行使」に関する権利が制約されているのか,選挙権自体が制約されているのかが気になったが,ちょっと仕組みからわからず,曖昧になってしまった。

第2 生存権
*住民票から消した処分については,資料がないから悩んだすえに,無視した。
1 原告
申請拒否処分を処分違憲として司法事実を拾って書いた。
25条(1項と書き忘れたと思う(泣))は生活保護法と相まって「健康で文化的な最低限度」の生活を「絶対的に」保障する規定である,として,かわいそうなXに給付しないことは憲法25条に反し違憲,とした。
*ここで,文言解釈をすべきだったのにそれができなかったのが反省点。
2 被告
被告は,社会保障規定で政策的なものだし財政出動も伴うから裁量が広い事項である。住居要件の解釈をY市のようにしても問題はない,とした。
3 私見
私見は,財政的な理由などのやむを得ない理由に限り「健康で文化的な最低限度」の生存権を制約し得ると解した上で,今回は目的がイメージ低下という意味不明なものだから違憲,と考えた。
*問題の焦点がややずれている気もするし,自分の作文能力からいって不安が残る。
第3 平等
1 原告
ホームレスは社会状況によってやむをえずになったのだから社会的身分に当たるので,厳格な合理性の基準で判断する。そして合理性がないから違憲である。
2 被告
被告は,ホームレスは社会的身分ではない,地方自治の独自性から区別は許容されると書く。
3 私見
私見は,被告と同旨。14条後段列挙事由に意味を持たせるならば社会的身分は狭義にとらえるべきだ。先天的地位に限られるべきだ。したがって,社会的身分とは言えない。
92条,94条において地方自治間の区別は容認されていることを論拠に合憲とした。
(もっとも,生活保護は最低限度の生活を国一律に保障するものだから,そうかんがえると地方公共団体ごとに区別を設けることはおかしいのではないか,との問題意識は生じた。しかし,時間との兼ね合い(書き終わったのが2時間8分)で,あきらめた。)
*権利ごとに記載したが,書いたのはちゃんと,原告,被告,私見の順
(7枚)



【出題の趣旨に照らして】
憲法を書き終えたときには,まあまあで沈みはしないかな,と思った。しかし,沈んでいると思う,というのが現在の率直な感想。
出題の趣旨に照して最もダメだと思われるところは,出題の趣旨が「三つの立場それぞれが,判例の動向及び主要な学説を正確に理解していることを前提としている」論述を求めているにもかかわらず,それを意識した論文になっていないところだと思う。主に,①選挙権といえば有名な大法廷判決があるが,それについて触れることさえできていない。②平等に関して,自治体による別異取り扱いに関し合憲とした大法廷判決があるが,それとの事案の違いを全く意識していない。
あとは,「住民基本台帳のみを基準として被選挙人資格を決定する公選法21条は,憲法15条に反し,違憲である」っていう違憲の主張って意味わからなくない?そもそも選挙権で公選法21条を違憲無効にすると,選挙ができなくならない?14条は主張がおかしくない?とか,いろいろおかしなところがある。憲法に限っては,勉強の成果をほとんどだすことができなかった。書き終わった時も,危機感でいっぱいだった。
正直なところ,これで平均点なことが意外。相対評価に救われたと思います。




<第2問>行政法
【問題を見たときの感想】
憲法の出来が悪いのだから,行政法で取り戻さないと,と思う。しかし,時間が8分オーバーしていた上,地方自治の問題だったので不安になる。ここで妥協したら今までは何だったんだ,あと2時間で解放されるから頑張れ,と自分に言い聞かせる。
配点がついていたので,残り時間から書ける量は6枚程度であることを考慮して,設問ごとの枚数を1:3:2,書く時間を10分,40分,25分と適当に割り振る(1枚10~12分のため)。
「行政法は誘導にのれ」が鉄則だから誘導の質問を青の蛍光ペンで塗り落とさないようにし,慌てずに熟読。設問ごとに誘導が分かれていることに気づき,線で区切って設問ごとに読み直すことにする。相変わらず素敵な誘導に,癒しを感じる。
目を通したことのない条文なので,条文理解に時間を費やすことにする。
地方自治法の4号請求に関しては,条文をじっくり読んだことがあり,仕組みを知っていたのでその点は有利だと思った。
【解答の方針】
[設問1]
「住民」要件の解釈問題として,B,C,Dをそれぞれ検討した。択一の知識を思い出し,住民要件が途中でなくなるCは住民訴訟の趣旨から,および監査請求していないDは監査請求前置の趣旨から,原告適格を有しないと書いた。
その後、出訴期間を検討した。
その上で,「その他の訴訟要件も充足し,適法」と結論付ける。
242条の2第1項4号の請求で,議会に対し,議長に損害賠償を求める請求をすることになる,と内容も付記。1枚半くらいで予定より長い。
[設問2]
誘導から,決議の必要性と随意契約を採ったことの二点が問題になると考えた。
(1)決議の必要性
96条1項6号を読む限り「適正な対価」の話だと思う。交渉をしっかりしているから,売れない土地を多少安くしても価格差が直ちに不適正になるわけではない,とはじめは書いた。
 (ここまで書いた後で,交渉相手がA村の部長の弟とか交渉担当者の妻とか,完全に拾ってほしい事実を飛ばして書いていることに気がついた!!慌てる。修正するかしないか5分くらい考え(早く決断しろよ...),ハイテック0.3ミリを使い,できるだけ小さな字でかつ丁寧な字で修正を試みる。。。。)
 結局,「しかし,交渉相手がA村の部長の弟とか交渉担当者の妻だから,適切な交渉が行われたとは言えない」と結論付ける。
(2)随意契約を取ったこと
随意契約は価格決定に不透明性が残るから,例外的に許容される。その上で,Bは,地方自治法施行令167条の2第1項の各要件を充足しないから,本件で随意契約を取ることを違法であるとする。
これに対して,例外許容の趣旨からすれば,価格が適正であれば随意契約であってもいいはずだ,との反論がある。
しかし,上記(1)の検討のように,本件では価格は不適正だから,違法。
*結論からすれば,設問3で第一審が「Bの請求認容」との前提に立つから,違法でいいと思った。
[設問3]
判例の分析をして,本件にあてはめるだけの問題だと思う。判例の違いについて,事案に着目。そして,慎重な検討を経ていればいいんですよといった判例と,慎重な検討も経ていないからダメですよとした判例だから,慎重な検討の有無がキーポイントだと思う。
本件では,額が3200万円と高額で財政逼迫しているA村にとっては違法に傾く事実。しかし,かならずしもEが金持ちではないから全額取れるとは限らないこと,Eの貢献度が勝ること,その支出の適合性などの検討をきちんと審議すれば,まあ放棄を認めてしまってもいいよね,と書く。
(その後で,誘導に趣旨を明かに説明した上で,と書いてあるのに気付き以下を慌てて追加。)
住民訴訟制度(特に4号請求)の趣旨を,議会と首長の密接な関係性から,議会が損害賠償をすることを懈怠するのを防止するための規定としたうえで,慎重に審議をすればその趣旨は没却しない,とした。
(本来ならばそこに「懈怠」とはいえず,と書くべきだったが,うまい言葉が思いつかず...。)
(5枚半)


【出題の趣旨に照らして】
設問1は出題の趣旨に応えられていると思う。
設問2は,まず,施行令167条の2第1項第2号の検討はできていない。加えて,修正のテンパリと5分のタイムロスによって,慌てたことによって,価格の適正性の判断に関しての検討が明らかに薄くなった。
設問3は,出題の趣旨が要求している「二つの判決を読み比べて,その背景にある考え方を読みとり,説明」出来ていない気がする。背景にある「考え方」ではなく,「事実」をみてしまった。すなわち,複数ある「考え方の対立点を踏まえた上で,本件事案に即した解答者の判断」を呈示できていない。
時間配分ミスとロスがあったため,あせり,検討が浅くなったり,誘導を無視しかけたりする。行政法もあまりいいとは言えない。
こんな感じが、平均点ど真ん中の答案です。


theme : 司法試験・資格試験・語学試験
genre : 学問・文化・芸術

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弁護士(63期)。いわゆる大手渉外法律事務所で働いています。

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