スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【特別連載・第5回新司法試験を振り返る・振り返って】byN氏

N氏による第5回新司法試験の総括です
ところどころ,参照の便宜のためにリンクが張ってあるので,参考にしてみてください。

※特別連載の説明,目次は「こちら

振り返ってみて,もう少し良い成績をとることができる可能性はあったと思います。その点で,一抹の悔しさは拭いきれません。しかし,極度の緊張感の下,2~4時間という短時間の中で手書きの答案を作成しなければならないという条件を考えれば,ミスはつきものですし,思案・分析にも限界があります。そういった意味では,自分の相対的な実力を考えれば,満足すべき結果なのかな,と思います。

合格できたのは勉強時間・方法・運・健康など様々な要素が複合的に絡み合っていて,なにが要因か,と一概に言えるものではないと感じています。個人的には,肉体的にも精神的にも健康でいつづけられたことが最も大きいと思います。
masoブロのテーマである「方法論」に関連していえば,「出題の趣旨に照らして」の記事を書いていく中で,合格の大きな要因となったのではないかと考えられる事柄が複数思い当りました。

1 問題の難易度がなんとなくだがイメージできるようになっていたこと
 特に民事系・刑事系に関して,私は,辰巳が出している『趣旨・規範ハンドブック』を用いて最低限の知識を確認しました。そこに掲載されている論点は「基本的な論点」として,掲載されていない論点は「応用的な論点」とします。『趣旨・規範ハンドブック』を基準としたのは,辰巳の全国模試で直前に目を通している人がやたら多く感じたからです。もちろん,『趣旨・規範ハンドブック』でなくても(たとえばSシリーズの★部分でも)当然OKです。
 そうすると,問題文を読んだ時に,難易度がだいたいわかります。自分が分からない問題を「これは難しいからみんな分からないはずだ」と思えるか,「やばいどうしよう」と思ってしまうかで,かなり精神的に違います。
 もっとも,自分が知らない論点は難しい,と思えるほどの勉強量をこなす必要はあると思います。

 「基本的な論点」は,定義・条文引用などの基本的事項を正確に論じ規範を定立した後,あてはめをがんばります。「基本的な論点」を出題する趣旨は,基本的な法解釈の理解の確認はもちろんですが,その適用ができるかどうかにあると考えるからです(たとえば,今年の刑法の甲の罪責は,基本的な論点とみなして,あてはめに力を入れました)。
なお,この出題の趣旨に応えるためには,『趣旨・規範ハンドブック』の論点を,理解して自分の言葉で表現出来る必要があると思います。そうすることで,残り時間紙幅の都合等を勘案の上規範の記述の長さを調整したり,若干のひねりに対応できたり,正確なあてはめをしたりすることができるからです。

 「応用的な論点」問題については,どこかで聞いたことがある,論証を作った,とすればそれを披露すればいいのですが,どうしても知らない・わからないという論点が出てきます。それは,2で述べるように対応します。
 なお,「聞いたことある論点」を増やすことも当然ながら有用です。しかし,だからといってマニアックな論文を読み漁る必要はなく,授業の予復習をきちんとやっている過程で身につくもので十分だと思います。その意味で,授業は大変重要です!

2 難しい・わからない問題がでたときの対処法を考えておいたこと
 新司法試験は,基本書に掲載されていない法律問題を必ず聞いてきます。その法律問題を事前に潰しておくことは不可能かつ非効率です。ならばそういう問題が出たときの思考方法をあらかじめ用意しておこう,と思いました。
 そこで私は,「出題の趣旨を受けて」の記事の中で何回か出てきますが,難しい・わからない問題が出た場合は「①基本的な事項を正確に書いた上で,②どこが難しいか・わからないかを明らかにして,③論理的に演繹する」という対処をするように決めていました。
 ①は絶対必要です。採点実感にもしつこいほど書いてあります。2008年民訴の採点実感には「未知の問題にであった場合には,基本的な概念に掘り下げてそこから考えていくほかない」とまではっきりと書かれています。そして,①の大切さ,具体例は,masoブロの「思考過程をそのまま論述することの大切さ」という記事にくわしく書かれています。ぜひ読んでみてください!
maso注:このあたりのことについては,目次の「論述の具体的な話」の項全体を参考にしてみてください。「皆さんからいただいた質問への回答」でも関連する事項をお答えしています。)
難易度の高い問題は,採点実感(例:2009年民事訴訟法等)によれば,基本的部分に触れられない人すらいるはずなので,そこを丁寧に書くことによって相対的に浮上するはずです。また,基本的部分をしっかり書くことによって,どこが問題なのか,が浮かび上がってくることもあります。
 ②は別に明らかにしなくてもよいと思います。しかし,どこが難しいのか,わからないのかを示すことはまさに問題の所在の呈示につながると考えていました。特に,難しい・わからない問題に対して逃げずに正面から取り組むことを採点者に伝えるためには,この②は有用であったと考えています。
(たとえば今年の民事第2問設問2(1)の抵当権の損害の問題に関しては,「抵当権は担保物権であり価値権であって,財産権ではないから,損害の把握には困難が伴い問題となる」みたいな言い方をしました。結果として,「抵当権侵害における損害の発生について,抵当権の担保権的性質の基本的理解との関連を意識しつつ論ずる」との出題の趣旨にカスっていることになりました。)
 ③は,三段論法を意識します。結論の不都合性は基本的に考慮せず,突き進みます。価値判断がはいると論理がおろそかになると考えていたからです。どうしても結論がおかしな場合は,最後に一般原則を持ち出して修正するようにしていました。(たとえば今年の民事第2問設問3は,論理的に突き進むとGの訴訟行為は無効です。しかし,それでは事案の解決として座りが悪いので,信義則で「無効主張は不可」とし結論の妥当性を図りました。これも結果として出題の趣旨に適合するものになっています。)
 
3 ローの授業に真剣に取り組んだこと
 少なくともローの成績と司法試験の結果に相関関係のあるローに通っている場合には,授業に真剣に取り組むべきだと思いました。そのようなローの授業の質は,ロー生が認識している以上に高く,司法試験の受験勉強中あるいは受験中にふと思い出して思わぬ利益を得たりすることになるからです。今回,奇しくも私はローの成績と新司の成績がだいたい相関していました。ローの成績が良くても新司の成績が振るわないことはよくありますが,その逆は(私の友人たちを見る限り)あまりない気がします。
 授業に真剣に取り組むことで,基本的事項の理解の確認,聞いたことのある論点を増やす,授業で疑問をもったことを調べることでより効率的に身につけることができる,教授に質問していく中で理解が深まる,等種々のメリットがあります。

4 ゼミ
 気の合う尊敬できる仲間たちとゼミを組み,互いに切磋琢磨できたことも大きな要素だと思います。指摘されることで自分の欠点を認識し克服するよう努力するきっかけにもなりましたし,仲間の自分より優れているところを盗むことで実力の向上につながりました。また,ゼミで勉強した点,議論した点は,最も新司対策として有用でした。
 ゼミの運営方法・内容については,彼が基本的にゼミを組んでいなかったこともあり,masoブロに記載がありません。新司法試験の勉強方法としてゼミを組むことは,もっともメジャーな方法の1つであり,かつ誤った方向へ行きやすい方法の1つでもあると思います。
したがって,1つの参考として,私たちのゼミがどのようなことを注意してどのようにやっていたのか,ということを次の記事で紹介したいと思っています。 → 「こちら

5 科目別に注意すべき点のリストを作成していたこと
 問題演習(とりわけ新司の過去問)を行った時に,問題の傾向やその対処法,ミスをした点,ゼミで指摘された点等をメモしておき,10程度の項目に整理したリストを作りました。特に複数回ミスをする・指摘される点は,本番でもやる可能性が高いので,注意する必要があります。せっかく時間を書けて問題演習をするのですから,同じミスをしていたらもったいないですよね。
 私が作成したリストは,後日,アップします。 
maso注特別連載の目次から「科目別に気をつけるポイント」の記事を参照してください。)

一方で,失敗したなぁ,と思うことがあります。これまで何度か出ていますが,それは「選択科目の選択」です。
私は,学部で少しだけ触れていたこと,なんかかっこいいと思ったこと,これからは知財の時代だ!と思い込んでいたこと等の理由から,知的財産法を選択しました。逃げ道を作ろうかとも思ったのですが,3年生前期の科目がやけに多く,そのような時間的な余裕がなかったのでそれもできませんでした。それで,3年前期に「苦手かも」と思った時には時すでに晩し。
(ちなみにmasoが選択科目を知財にした理由はこちら(著作権のコメントに対する応答)。これだけしっかり分析して決めるのが理想的です。)

で,どうすればよかったのかを友人たちに聞いてみたところ,おおよそとして以下のことが言えるのではないかと思います。
①興味としての選択科目
「好きこそものの上手なれ」ということで,まずは興味のある科目を複数選択してみるといいと思います。労働・倒産・知財・経済・租税・環境・国際私法・国際公法の中から2~3個選んでみます。
②試験科目としての選択科目
その中で,試験科目とするわけですから,当然得意な科目を選択することになります。
基準としては,自分の得意な科目との関係性です。何の科目に似ているのかというのを選択者に聞いてみるといいかもしれません。また,判例重視の科目か条文重視の科目か,というのも選択のポイントの1つだと思います。実際に薄い本を読んでみての印象で決めてもいいと思います。

いずれにしても,選択科目は100点の配点なので,重要といえば重要ですし,そこまででもないといえばそこまででもありません。しかし,時間をかけて勉強しなければならないことは変わりありませんので,楽しく勉強できる科目を選ぶのが一番だと思います。私は「つまんない,わかんない」とか思いながらやっていたので,一番苦痛でした。。。。


以上,今年の新司法試験を振り返ってみました。

masoが2009年新司法試験を振り返った「あらためて」の記事で,新司法試験は「大ミス小ミスをしても,それなりに書ければ十分に合格できる」試験だと書いていました。そこに私は勇気をもらい,昨年のちょうど今頃の時期,過去問を解き,択一は足キリ・論文もボロボロの絶対不合格答案を書いていても,希望を持って勉強していました。ロースクールで勉強してきたのであれば,半年で基本部分の習得は可能だと思ったからです。
実際に受験をしてみて,私も大ミス小ミスをいくつも犯しました。それでも幾分かの余裕を持って合格することができたのは,戦略性を持って「絶対に合格する」という決意を持って勉強し,最低限の基本的部分を「それなり」に書けたからだと思います。決して,超上位合格者の再現答案のように完璧に書ける必要はありません。

しかし,極度の緊張感,時間の短さ等,新司法試験に内在する様々な要因から,「それなり」に書くことすら難しい試験です。ですから,たとえば①基本を反復して身につける,②練習で一度犯したミスを本番で絶対やらない,③わからない問題に対して正面から取り組む,④質の高い勉強を一定量こなすことで自信をつける,など各々で事前にできる限りの準備(勉強)をし,失敗や出題の趣旨・採点実感などを基にして基本を外さない答案を書くために準備したルールを本番で守れば,最低でも「それなり」の答案を書くことができ,合格につながると考えます。

「はじめに」でも述べましたが,司法試験は決して簡単な試験ではありません。しかし,戦略(方法論)と「絶対に合格する」という決意を持って取り組めば,新司法試験に合格することは決して困難ではありません。

There is a way.―方法は必ずある―」。

ぜひとも,皆さん頑張ってください!!


theme : 司法試験・資格試験・語学試験
genre : 学問・文化・芸術

comment

管理者にだけ表示を許可する

教材について

 masoさんのブログに続いて、Nさんの連載も読ませていただいています。参考になる話が多くて、ありがたいですm(__)m。
 私は今年の新司法試験に不合格となってしまいました。民事系が95点と沈んでしまい、他はほどほどに取れていましたが、数点足らず不合格となりました。
 この結果とmasoさんのブログを見て、辰巳LIVE本の民法と民訴を購入して、やってみようかと考えています。旧試の問題は解答がなく毛嫌いしていましたが、masoさんが「毛嫌いせずにやってみて下さい」と書いていらしたからです。
 そこで質問なんですが、NさんもLIVE本などで旧司法試験の問題は検討なさっていたんでしょうか?他に、民事系の対策として有用な教材はあるでしょうか?
 憲法についても理解不足の箇所が多々あります。例えば、団体と構成員の人権の問題(事例研究第1問2問等)など、よく分かっていません。憲法の対策として有用な教材はありますでしょうか?

Re:教材について

やちんさん

ご質問ありがとうございます♪そのようにいっていただけると、一生懸命文章化した甲斐があります!

さて、ご質問の件ですが、具体的にお応えする前に一般論として、私は「教材は何を使うかではなく、どう使うか」がポイントであると思います。この世に問題演習教材は数が限られているので、どうしても同じ教材を司法試験生全員が使用することになるため、「何を使うか」の部分ではあまり差が出ません。そこで、「どう使うか」すなわち使い方で差が出てくると思います。使い方といっても難しいものではなく、ただ「こなす」のではなく、反復してその問題演習教材をきちんとマスターする、ということに尽きます。よく「潰す」という表現を使う場合がありますが、「踏み潰してぐちゃぐちゃにする」ぐらいまでやりこむ必要があると思います笑

そこで具体的にお応えさせていただくと、民事系に関しては、刑事系に比して確かに良い問題集が少ないといわざるをえません。
私は、いろいろつまみ食いをしましたが、しっかりやった教材としては、masoと同じように、旧司法試験の過去問(平成分)です。確かに解説は少ないですが、私は、以下のものを使っていました。
①(手に入るのでしたら)ライブ本の解説。これは民訴が秀逸です。
②辰巳の旧司法試験用のハイローヤーに掲載される超上位合格者の再現答案
③民事訴訟法に関しては、『解析民事訴訟』(東京大学出版、藤田広美)。ここにも素敵な解説があり、基本概念から論点まで、そして論点の処理の仕方の理解を深めることが可能です。

なお、この勉強方法では、新司法試験と問題の質が全然違うじゃん!という批判を免れません。笑 しかし、訴訟物、当事者、時系列等の事実を分析し、法を解釈し適用するという作業は同じであり、特に後者の部分の練習には非常に役に立ちます。そして私は事実の分析に関してはどちらかといえば自信があったので、旧司法試験の過去問を潰すという勉強方法をとりました。

少し長めの、周りがよく使っていた問題集は
ア 『民事法Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』(日本評論社)
イ 『民事法1・2 民法・民事訴訟法 (ロースクール演習講座)』(民事法研究会)
等ですが、アは今から始めるのはおそらく難しいでしょう。
そして、旧司の問題とイもどちらかしかできないと思います。あと7カ月後に迫った試験に向けては、「教材の選択と集中」を行わなくてはならないので、自分に合った教材を1つ選んで、味わいつくしてみてください。

また、憲法に関しては、
①宍戸先生の法学セミナーの連載
②小山先生の『「憲法上の権利」の作法』(尚学社)
を読んで、直前期に
③事例研究憲法(日本評論社)
を確認しました。そしてわからないところは、①、②あるいは基本書に立ち戻って考えていました。やちんさんが理解不足とおっしゃっている個所も、①や②に確か記述があったと思います(手元に資料がなくて、確認できないので、なかったらすみません)。
それ以外のいい教材は私の知る限りありません。(今年から始まった蟻川先生の法セの連載も気になっていますが、読めていません。)


なお、参考に、私が愛用していた、基本書サイトのURLを載せます。最近更新されていませんが、だいたいの本はフォローされているので、ぜひ参考にしてみてください。

http://www.lawyer-s.jp/

Re:Re:教材について

返信ありがとうございますm(__)m。

自分に合った教材を見つけて、味わい尽くそうと思います。

民事に関しては問題分析、応用問題への対処等についての考え方に自分は問題があると思うので、このブログを参考にさせていただきます。

あと、要件事実に関して何か使用した教材はありますか?

今年は問題研究、紛争類型別を直前まで読んでいました。そして、本番では表見代理の問題が出て、とまどいました。問題をよく読めば良かったと言えばそれまでですが、私は109条と110条の違いが問われていると勘違いしてしまいました。この理由は、問題文からは有権代理はとても認められないだろうと考えたからです。あとで、本屋で要件事実の書籍を立ち読みすると、実務では有権代理の主張を一応しておくみたいだということが分かりました。確かに、実社会では代理権授与があったかは本人らしか知りませんから、有権代理の主張をすべきと感じます。しかし、問題文から上記のように思い込んでしまいました(><)。

以上のミスを防ぐために、要件事実論30講等の演習書に目を通しておこうか迷っています。

お忙しいところ、くだらない質問ですが、よろしくお願いします。

Re:Re:Re:教材について

再度の質問、ありがとうございます♪

私は要件事実の本としては、ローの要件事実に関する授業と並行して
①要件事実30講
を解きました。しかし、①は情報量が多いと感じていたため、試験前には
②類型別
③問題研究
の2つを回していました。

やちんさんは、今回、民事系が低い評価であったということですので、民事系に恐怖心を抱くのも無理はないと思います。しかし、複数の問題集に飛びつくのではなく、1つの標準的な教材・基本書をじっくり理解することがもっとも実力の向上につながると考えます。
③は、代理が書かれていないので確かに情報量は少ないですが、条文の記載から主張立証責任を読みとる要件事実的思考は充分鍛えられます。情報量的に安心という意味では、①と②だと思います。いずれにしても、①をしっかりやったら②は参照程度にとどめる、などといった工夫が必要だと思います。

私は今年のやちんさんがミスをしてしまった問題については、(1)109条の表見代理は、そもそも代理権を与えていないにもかかわらず、代理権を与えたかのような外観を作出した本人の帰責性を根拠として成立するものですから、今年の問題では109条の問題にはなりえないと考えたこと、(2)代理人としては何よりもまず有権代理を主張することを聞いたことがあること、から109条の問題であるとは理解せず、単に要件事実の基礎的な理解を問うものであると判断しました。109条と110条の区別はかなり難しい点がありますし。
このように判断できたのは、これは要件事実に関する理解があった(要件事実30講を1度だけ解いたことがある)というものではないと思います。それよりも基本書や(要件事実でない)問題集を解いていく中で、各々の条文が適用される典型例を考えていたことがよかったのだと思っています。ですから、慌てず、基本書の基本的な部分をしっかりと身につけることがいいのではないか、と客観的には思います。

あくまで、1つの意見にすぎませんが、何かの参考になれば幸いです。
又、何かありましたら質問してください!!

Re:Re:Re:Re:教材について

再度の返信ありがとうございます。

本当に、民事系に恐怖心を抱いてしまっています(><)。

事案を踏まえないと理解が進まない性質なので、30講を中心にやってみようと思います。思い切って、類型別等を補助に回してみます。あれもこれも見なきゃと思ってしまって、こういう発想は僕にはなかったです。ありがとうございます。

今年の問題については、Aの発言+Cの発言を合わせて2000万円の代理権授与表示があったと考えましたが、この構成には無理があるように思えてきました。Aに109条に言う帰責性はなさそうです。

ちなみにですが、問題文の「主張を選択的にした」という部分の、「選択的に」という箇所は特に気にならなかったですか?僕は、有権代理+110条なら「予備的に」のはずだから、109条と110条の選択的併合だと考えた記憶があります。

今年の失敗を分析してると、色々考えて失敗しているなあと思います。単にミスをしたという問題ではなさそうです。本試験までもっと分析して対策を練りたいと思います。

また質問してしまいました。すみませんm(__)m。

No title

>やちんさん

今年の問題を見て考えてみました。
N氏からの回答もあると思いますが,補足的にお答えします。

> 問題文の「主張を選択的にした」という部分の、「選択的に」という箇所は特に気にならなかったですか?僕は、有権代理+110条なら「予備的に」のはずだから、109条と110条の選択的併合だと考えた記憶があります。

という部分について,有権代理の主張と110条の越権代理の主張は,選択的に主張されるものであって,110条の主張が予備的になされるものではありません。
なぜなら,110条の主張は,要件事実的には無権代理であることを前提としないからです。
すなわち,本問では債務不存在確認の訴えが提起されているところ,Aの側から無権代理をいうときは,抗弁として主張される貸金債権の存在にかかるCの代理による契約成立を単に否認することになり,再抗弁とはなりません((再)抗弁の意義を参照のこと。)。
そうすると,110条の表見代理は,無権代理を前提とする主張(再々抗弁や予備的抗弁)とはならず,110条の主張単体で有権代理の主張とは独立した1つの抗弁が立ちます。
したがって,110条の主張は,貸金債権の存在を基礎づける選択的な主張(抗弁)であると考えることができます。
この点について,実体法的観点から考えると,表見代理の主張は無権代理を前提として出てくる主張のように見えるため注意が必要です。

上記理解を前提として,設問を見ると,①「授与表示をした」ではなく,「AがCに借入れの代理権でその金額に限度のないものを授与したとする主張」,及び「AがCに借入れの代理権でその金額の限度を1500万円とするものを授与したとする主張」というように「代理権で・・・を授与した」とされていること,②AがFとの間で,当初1500万円の融資について話し合いをしている事実,FとCとの間ではAの明示的了解を取らずに融資額が2000万円とされている事実を前提として,設問の主張が金額の限度により分けられていることを考えると,前段の主張は有権代理,後段の主張は越権代理(110条)と捉えるべきだと思われます。

No title

masoさんへ

 masoさんにまでお手数をおかけして、申し訳ありません。コメントありがとうございますm(__)m。
 確かに、110条の主張は、無権代理の抗弁のようなものが認められた場合に備えて主張する形にならないですね。有権代理とは独立した抗弁となりそうです。私の勉強不足でした(><)。
 設問が「授与表示をした」とはなっていないのに109条と思い込んで、勉強不足で「選択的に」の問題文からより思い込んでしまって、最悪です。
 masoさんがご指摘のとおり、金額の違いに着目することもできますね。これも私にはなかった視点です。色々な観点から出題の趣旨を捉えることも対策の一つとなりうると感じます。masoさんやNさんといった上位合格者は色んな点ですごいです。私も頑張ります!
 masoさん、ありがとうございました。

No title

>やちんさん

割り込む形で回答してしまい,すみませんでした。

民事系に自信が持てるようになれば,問題を解くのも楽しくなるはずです。
配点の高い民事系が得点源になれば,一気に合格に近付きます。
中でも特に民法(要件事実の基礎を含む。)は大切ですので,時間をかけてじっくり取り組んでみてくださいね!

Re:Re:Re:Re:Re:教材について

>maso
masoが的確な回答していたので、黙っていようかと思ったのですが、1つの質問に2人が答えるのもおもしろいかな、と思ったのでやってみます。混乱してしまうかな。

*************************
>やちんさん

私も有権代理と表見代理の関係は疑問に思ったことがあります。

私の調べたところの理解では、
①有権代理と110条表見代理では、本人が代理人に与える代理権の授与の範囲に違いがある以上、両立しない事実が主張されている。
②しかも、双方の主張のどちらかを優先する必要はない。
ここから、予備的~(あるいは再再抗弁)になるというのはおかしな話になるはずです。

そうすると、代理権の授与の範囲に違いがない112条はどうなのか、と疑問が出てきますね。このあたりの議論は、やちんさんがやろうと考えられている『要件事実論30講』(代理(2)表見代理の講)に書かれています。参照してみてください。


民事系、masoのいう通り、合格には超重要科目ですから、頑張ってください!

なお、老婆心ながら、一言だけ書かせていただければ、私も民訴と刑法に苦手意識がありましたが、何が足りないのかを分析し、力を入れて勉強したことでだんだんと苦手意識がなくなってきました。もっとも、私は、苦手科目の改善だけをやると得意科目が苦手になると思っていたので、ある科目を得意であることを理由にまったく勉強しない、ということはできるだけ避けていました。バランス良く得点できるようにするためです。
新司法試験は問題との相性があり、得意なはずの科目で失敗したり、苦手なはずの科目で成功したりすることがままある気がします。ですから、(民事はもちろんだとして)しっかりと公法・刑事も分析して、維持・向上を図ってくださいね。

No title

>masoさん

  ありがとうございます。じっくり取り組んで、民事系を得点源にできるように頑張ります。

>Nさん

  混乱しなかったです!ご解答ありがとうございます。

  確かに、新司法試験の問題との相性はあると思います。他科目もまだ理解不足のところがあるので、弱点を潰して全科目一応は万全の姿勢で望めるように頑張ります。

  最後に、お忙しい所ご解答いただき、本当にありがとうございました。Nさんの連載の続きも読ませていただきます。ここ1週間は毎日気になってしょっちゅう訪問しています(笑)。

憲法について

はじめまして。このブログを最近知り、目から鱗のことばかりでした。masoさん、Nさん、ほんとにありがとうございます。

憲法(苦手科目)についてお尋ねしたいのですが、宍戸連載と作法を来年の本試験に向けて今から読み始めるのは非効率だと思われますか?

また、私は芦部先生の教科書を読んできたのですが、何か不都合は生じるでしょうか?

よろしくお願いします。

No title

>さささん

ご質問ありがとうございます。
masoからお答えします。

私は『「憲法上の権利」の作法』という本に目を通したことがないので,その点の回答はN氏に任せるとして,憲法のつかみどころのない感じが苦手意識に結びついている場合には,宍戸連載は大変役立つと思います。内容が濃いので読み込むのは大変ですが,是非読まれることをおすすめします。

高橋先生は芦部先生の弟子であり,宍戸先生は高橋先生の門下生ですので,親和性は高いと思います。現に,宍戸連載の中でも,高橋先生や芦部先生の文献は度々引用されています。

masoさん

お忙しい中、ご返信ありがとうございます。是非読んでみたいと思います。

それと抽象的な質問になりますが、憲法判例は他の科目と比べ、使い方が特殊なように思います(苦手だからそう思うのでしょうが…)

判例は明確に基準を示しているものは少ないし、どのようにして判例を答案に活かせばよいのでしょう?

判例の用い方、その他判例学習でのポイントがあればアドバイスいただけないでしょうか

No title

>さささん

憲法判例については,憲法上の権利(・利益・自由)の設定のあり方,利益衡量の仕方といった,判例の判断枠組みに重点を置いて読んでみるといいと思います。
どのような権利(・利益・自由)のぶつかり合いの場面で,どういう論理を経て規範が導かれているのか,どういう要素で成り立っているのか,それはなぜなのかを考えていくということです。憲法判断は,つまるところ憲法上の権利・利益と対立利益との比較衡量ですから,規範をそのまま使う(書く)場面というのはあまり想定できません。しかし,判例の考え方や判断枠組みは答案作成上も大いに参考にすべきです。

例えば,今年(2010年)の問題であれば,問題文を読めば,判例(最大判平成17年9月14日民集59巻7号2087頁)が関係してきそうだということは分かるはずです。そこで,構成をする際には,同判例が選挙権の「行使」の制限のあり方についてどう考えていたかを想起して,それを意識しつつ主張を組み立てていくことが考えられます。
原告としては,選挙権の「行使」が制限されることの意味を選挙権の意義等の原理原則から論証して,「選挙の公正の確保」以外の理由では制限できないと主張し,被告としては,判例の事案とは異なる事実を積極的に主張して,それゆえ判例のとおりにはならない旨を主張したり,制限は選挙の公正を確保するためにやむを得ないものであって,原告の選挙権行使とは両立が著しく困難である旨を主張したりすることが考えられます。
このとき,判例の要件を書かなくても,問題の検討枠組みを上記のように設定して論述されていれば,読んでいる方には判例の理解が伝わります。

他科目では,判例の規範は条文の解釈として導かれることがほとんどですので,そのまま個々の論点の解決につながることが多いため,規範そのものの理解に重点が置かれますが,憲法ではそれよりも大きい視点での判断枠組みを理解する方が大切です。

なお,他の科目についても,「判例によれば~」,「判例は~」と書かなくても,判例を理解していることが伝わる答案になるのが理想です。
その辺りのことを含めて,より具体的に,判例をどのように読んでいくか(学習していくか)は,法学セミナーの宍戸先生や蟻川先生の連載が大いに役立つと思いますので参照してみてください。

なお,単に判例があることを知っているのでは不十分であることは,以下の各年度の出題の趣旨からも読みとれると思います。

大変だとは思いますが,根気よく取り組んでみてくださいね。

・・・引用・・・

(平成18年度新司法試験・公法系第1問・出題の趣旨)
「憲法理論について,判例と学説の対立の中でそれぞれを正確に理解した上で,自らの眼で事例を分析し,問題点を発見し,それを多面的・複眼的に検討し,説得力のある理由を付した一つの結論を導き出すことを求めている。」

(平成19年度新司法試験・公法系第1問・出題の趣旨)
「…条例自体の合憲性に関する主要な問題は,「法律と条例の関係」である。徳島市公安事件上告審判決がポイントとなるが,まず,当該判決を正確に理解していることが求められる。その上で,法律と条例の目的・趣旨・効果をどのように比較するのか,どのような点で法律の範囲内である/ない,という結論を導くのかについて論じることが,必要である。」

(平成20年度新司法試験・公法系第1問・出題の趣旨)
「…したがって,他者の権利の制約が違憲であることを理由に法律や処分の違憲性を主張できるか否かを,検討する必要がある。
その場合,まずは,第三者所有物没収事件判決を参照することになる。
新しい素材に関して,全く新たに考えることを求めているのではない。法科大学院の授業で学んでいるはずである,表現の自由や憲法訴訟論に関する基礎知識を正確に理解した上で,具体的問題に即して思考する力,応用する力を試す問題である。」

(平成21年度新司法試験・公法系第1問・出題の趣旨)
「すなわち,判例及び学説に関する正確な理解と検討に基づいて問題を解くための精緻な判断枠組みを構築し,そして事案の内容に即した個別的・具体的な検討を求めている。」

(平成22年度新司法試験・公法系第1問・出題の趣旨)
「・・・三つの立場それぞれが,判例の動向及び主要な学説を正確に理解していることを前提としている。その上で,判断枠組みに関する検討,そして事案の内容に即した個別的・具体的検討を行うことが求められる。」

・・・・・・・・

Re:

>さささん

masoの回答の後にコメントするのは気が引けるのですが、パスが回ってきているのでコメントさせていただきます。

『「憲法上の権利」の作法』(以下「作法」と略します)は私は第1部(A-基礎編)のみじっくり読みました(本試験でB-応用編まで読んでよかった!と若干の後悔はしました笑)。その限りでは、芦部先生の基本書とのかみ合わせは問題ないと思います。

作法と宍戸連載との大きな違いは、重要判例の判旨が三段階審査の思考枠組のなかで引用されているところでしょう。それが非常にわかりやすく、ああ判例はこうやって読んでいくんだ、と感銘を受けました。
そんなに厚い教科書でもないですし、作法の判旨の引用箇所は択一でも聞かれるポイントが多いですので、読む価値は十分にあると思います。もっとも私は、宍戸連載と作法は似て非なるものであるような感覚を持ちましたので、宍戸連載を中心に勉強していました。


判例の使い方についてはmasoのコメントは私が考えていたお答えよりも精緻でわかりやすいので割愛します。

ただ、1つだけ述べるならば、判例一般に言えることですが、判例はある問題について論理的に成り立ついくつかの結論のうち、裁判所の立場・価値観をあきらかにしたモノです。ですから、論述をしていく上で裁判所の立場・価値観を前提として、いやその価値観はおかしいんだ、とかその価値観は判例の事実には適用されるけど今回の事実は違うんだ、とか主張しなければ裁判所に対する(ひいては試験委員に対する)説得力という点において欠けることになると思います。たしかに憲法判例には一般化が可能な規範めいたことがかかれることはありませんが、上記のことは憲法判例も同じなのではないでしょうか。
06 | 2017/07 | 08
Su Mo Tu We Th Fr Sa
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
プロフィール

maso

Author:maso
弁護士

maso on Twitter
カテゴリ
最新記事
最新コメント
検索フォーム
月別アーカイブ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

masoブロ カウンター
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。