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【特別連載・科目別に気をつけるポイント・刑法】byN氏

刑法について。

※特別連載の説明,目次は「こちら

(1)科目特性
① 刑法は,総論の論点,各論の論点,罪数処理をバランスよく処理することが求められる。問題となるところは厚く,誰がどう見ても成立するところは薄く。しかし,いずれにせよ構成要件のすべてに該当することはわかるように書かなくてはならない(構成要件法定主義)。
② 総論は主に共犯がでているから,必ず押さえる。どこの犯罪論体系の問題か,本質から論じていけばだいたい対応できる。
③ 各論は主に罪の区別。基本書に書いてあるところは必ずチェックする。2007は詐欺と恐喝の区別を事実の評価レベルで,2010は不作為殺人と保護責任者遺棄致死の区別を理論レベルで聞いてきている。
④ 構成要件法定主義から,必ず「法文」を明らかにし,その解釈を展開し,あてはめる必要がある。
⑤ 判例の見解が大事になってくる科目。
⑥ 理論は簡潔に(おろそかに,という意味ではない),あてはめは厚く,が基本。特に殺意などあてはめが重要になってくるところに関してはどんどん事情を拾わなければならない。解釈論・事実への適用,両方が聞かれている(たとえば2007出題の趣旨)。

(2)注意リスト
① 2人以上の人が出てきたら,必ず共謀を検討する。共謀がない場合には,教唆,幇助におりる。両者の区別は,犯意の惹起がどの時点にあるか。現場共謀もあるので忘れない。
 その際には,必ず重い方から検討すること。
 単独正犯→共同正犯→共謀共同正犯→狭義の共犯という流れ
② 新司法試験は必ず複数の罪が成立するから,細かく認定する場合と,縮小版で書く場合とでわけてメリハリをつけて論じる。後者の場合は,誰が見ても成立する住居侵入罪とか。その際には,構成要件に必ずあてはめる。構成要件法定主義だから。縮小版で書く場合に特に気をつける。
ア 細かく認定する場合は,要件の先出しが読みやすいし書きやすい。
例) 強盗罪の構成要件は,①財物奪取に向けて,反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加えたこと,②他人の財物を奪取したこと,及び③①と②の因果関係である。
イ 縮小版で書く場合は,構成要件の解釈をも入れ込んで書く。
例) 甲は,窃盗目的という正当な理由なく,Aの住居に,通常人の立入りを許すような場所ではないトイレの窓から,Aの意思に反し立ち入ったのであるから,住居侵入罪(刑法130条前段)が成立する。
 ∵住居侵入罪の要件は,①正当な理由がないのに,②他人の住居に,③侵入する。③の侵入は,意思に反する立ち入りを意味するから,上記のような表現になる。
③ 罪数をきちんと書く。
 時間切れを防ぐのと,適当になるのを防ぐために,答案構成の段階から罪数まで明示しておく。罪数のところに,共同正犯(60条)を忘れない。併合罪,観念的競合,牽連犯等をきちんと区別する。
④ あてはめる場合には,どの事実からどの評価が出てくるか,を具体的に明らかにする。その時には,数字をきちんと出して評価するのがポイント。
例)Bは,70歳と高齢であり,30歳と若い甲に,助けを呼べない2人きりの状態で,殺傷能力が高い5センチも刃が出たカッターナイフを眼前に突きつけられており,反抗することがおよそできない状態であった。
⑤ 重要な役割論を論じる際には,下位規範まで出す。その方が読みやすい。
例)そこで,重要な役割を果たしていたかについて検討する。具体的には,①実行正犯との関係,②犯罪実現への寄与度,③正犯意思(自己の犯罪を実現する意思)で判断する。
⑥ 問題の所在を簡潔に示す。事実を引きすぎるとあてはめ先行型となり読みにくい。
 また,規範とあてはめが混在しないように注意する。
⑦ あきらめない。できることをやろう。
⑧ 錯誤論に関してはかならず主観と客観を比較する。
⑨ 条文の摘示は項・前段後段まで正確に。1項犯罪と2項犯罪がある場合は特に区別しなければ完全なる誤りとなる。
⑩ 答案構成が超重要。
 構成要素としては,(ア)時間軸,(イ)法益侵害,(ウ)実行行為者,(エ)犯罪の名前,(オ)条文,(カ)総論の論点,(キ)罪数
 ポイント:法益侵害結果は誰にどのようなものが生じているか。その法益侵害結果をもたらした実行行為は何か,だれがやったか。法益侵害結果につき帰責されるのはだれか。それは何罪か。帰責される者が複数いそうな場合にはその関係はどうか。

(3)参考
刑法は総論の論証集を作りました。そこに記載されている中で,2点抜粋して引用します。

1 共犯と錯誤について
*共犯と錯誤が問題となるのは,甲の行為が,乙との共謀によって惹起された場合に問題となる。
*甲と乙がA宅に住居侵入の共謀→甲が実行したところA宅のカギがかかっていた。あきらめて甲はB宅に住居侵入。
本件は一旦実行をあきらめたといえるのか。
・あきらめたといえる。→甲の行為は新たに犯意に基づく単独行為である。共謀の範囲外であるから乙は無罪
・あきらめていないといえる。犯意が転用されたんだ,と考えられる→教唆罪の検討
ただ,乙に教唆犯を認める場合には,「共犯と錯誤」の問題を書く必要がある。
➥乙の故意=A宅に住居侵入窃盗の共謀共同正犯
       実際=B宅に住居侵入窃盗の教唆
A宅とB宅との間は,抽象化することができる。
共謀共同正犯が教唆と重なり合っている
→正犯と教唆の錯誤の問題になる。
*A宅に住居侵入の共謀→B宅に間違えてはいっちゃった。
 →間違えた場合には共謀共同正犯になりそう。

2 共謀共同正犯を認定するための要素
主に大きな区分は
ア 計画段階
イ 実行段階
ウ 実行後の段階
で考える。
具体的にいえば,
①犯行計画に対する関与
②謀議行為の存在
③実行行為に対する影響
④利益の帰属
⑤行為後の行動
例)証拠隠滅をしたりする
→正犯兆表行動
これらの事情をマークして評価してあてはめること。


theme : 司法試験・資格試験・語学試験
genre : 学問・文化・芸術

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条文(判例六法)素読

masoさん、Nさん
 いつも、大変ためになる記事をご提供いただき、ありがとうございます。
 勉強法でひとつ、質問させてください(ちなみに私は、ロー3年生です)。

 いま私は、判例六法を素読しています。

 目的は、主に、①択一知識を固めること、②論文試験現場での唯一の「友達」である六法(条文)と今から仲良くしていこうと思っていることの、2点です。

 具体的な読み方は、
 ①各条文(選択(倒産)まで含めた8科目に関連する法)を、1条から順に読む
 ②今まで使用・書き込んできた有斐閣(緑版)判例六法から、現時点で一番新しい(青版)判例六法へ、書き込みの引越しもする
 ③すべての条文を読まず、今まで新司択一で1回は問われている条文・判例のみを読む
 ④条文の趣旨が分からないものについては、コンメンタールや基本書を読む
です。

 しかし、このような読み方だと、平均で1日2時間=50条くらいしか進みません。
 他方、素読を通じて、抽象的ですが、条文構造・体系が分かってきて(いるつもりで)おり、それはそれで有益だという感があります(主観ですが 笑)

 そこで、質問です。
 ①このまま判例六法素読を続けた方が良いか、それとも問題演習に時間を割くべきか
 ②もし続けた方が良いなら、どういう読み方が良いか(どのように読んでいたか、オススメの読み方など)をお聞かせください。

 ※ちなみに、今の私の状況は、以下の通りです。
 ①択一新司過去問は、全科目2~3回解いています。7月(択一過去問を2~3回解いた状態でした)に、今年度本試験択一を時間通りに解きました。210点は越えましたが、足切り点でした。択一は不得意だと思っています。
 ②論文過去問はプレ・サンプル含め、すべて1回は解きました。今、2回目に突入しています。論文は、ボロボロです。

 長文かつ、抽象的な質問で申し訳ありません。
 できれば、masoさん、Nさん、お二方のご意見をお聞かせいただければと思います。
 よろしくお願いします。

 P.S masoさん。
    もちろん、過去のmasoブロの記事は見ているので、それ以外に「素読」に特化した意識の置き方、素読の功罪などをお聞かせください。

No title

>ホクリクさん

ご質問ありがとうございます。
両すくみになって返信が滞ると困ると思いますので、取り急ぎ、私が回答をして、masoが補足・修正をする形にしようと思います。

①このまま判例六法素読を続けた方が良いか、それとも問題演習に時間を割くべきか

私は、ホクリクさんが苦痛で仕方がない状態でなければ、このまま素読を続けた方がよいと思います。というのは、ホクリクさんも手ごたえを感じていらっしゃるように、条文を素読するということは、条文の構造や法体系を全体として把握することになり、択一のみならず論文に対しても有用だと考えられるからです。
民法はパンデクテン体系でわかりやすいですし、会社法・民事訴訟法等近年改正された法律は非常に論理的に条文が配置されています。そこから制度間の関係や法律がいかなる利益を重視しているのか等、何となく感じ取れれば、それで十分だと思います。



②もし続けた方が良いなら、どういう読み方が良いか(どのように読んでいたか、オススメの読み方など)をお聞かせください。


私は、何回か条文を読みましたが、1回目は条文を頭から「すべて」読んでいました。その中でも、過去問で問われた条文はより丁寧に読みました。(2回目は判例も含めて、3回目は過去問に出た条文だけ)
今思い出せる限りでは、たとえば
憲法は暗記するつもりで1字1句に注意して、
民法は要件効果に注意して、
刑法は文言と論点の関係に注意して、
会社法はどの点で民法の特則になっているかに注意して、
読んでいました。
(他科目や他の注意点もありましたが、思い出せません。。。)

私は、1日100条ぐらい読むようにしていました。1日のうち午前中(9時から1時)は短答対策にあてていて、問題演習や百選読みと並行してやっていたので、1時間から1時間半くらいで読んでいたと思います。
私は、特に読むのが早いわけではありません。。

そう考えると、ホクリクさんはやや時間がかかっているように感じます。
ここからは完全に私見ですが、まず、メモを引き写すのは最新の判例六法が販売されるまで待ってもよいのではないかと思います。憲法、民法、刑法は変わらないにせよ、行政法規は頻繁に変わりますから、最新の判例六法を使うべきだと思います。
次に、趣旨が分からないときにわざわざコンメンタールや基本書を引く必要はないと思います。物理的に頁を探している時間が無駄だと思うからです(これ結構時間かかります)。もし、趣旨が分からないと気持ち悪いのでしたら、趣旨が条文の下に書いてある択一六法を使うべきでしょう。しかしながら、趣旨が分からないといけないのは、超重要条文だけで十分であると思います。大部分の受験生が知らないことは知る必要がないからです。
仮に趣旨が分からない条文が超重要条文である場合でも、そこに付箋を貼るなりしてズンズン進んでいっていいと思います。調べるのは後でもできます。それよりも、条文の構造や法体系が理解しやすい方を選ぶとよいと思います。
また、そのようにくるくる回して出来るだけ多く反復する方が記憶に定着します。忘れちゃいますからね。

ですので、私の考えとしては、
ア 素読はやったほうがいいのではないか。
イ その方法は、条文をひたすら読めばよく、その他の作業は出来るだけ省いたほうがよいのではないか、というものです。


蛇足ですが、問題演習をする際には、「これは条文がある」とか「ここが違う。正しくはこう」等と、肢を正確な理由をつけて全て切れるかどうかがポイントになります。ホクリクさんはmasoブロの過去の記事を読んでらっしゃるとのことなので実践されていると思いますが、念のため強調しておきます。それができれば、足きりはありえません!!

また、論文・択一が私も去年の段階でボロボロでした。
しかし、今から(特に現役生は)集中的に勉強することで力が飛躍的に伸びます(そしてそれを実感します)。なので、あせらず、自分に合った「王道」と呼ばれる勉強方法を突き進んでいってください!!(学問に王道なし、といわれますが、司法試験受験の王道はあると思います。)


No title

お忙しいところ申し訳ないですが、Nさんに2点質問があります。本気で悩んでおりますので(笑)お答え頂ければ幸いです。
① 未知の問題に出会ったときの対処法として「①基本的な事項を正確に書いた上で,②どこが難しいか・わからないかを明らかにして,③論理的に演繹する」と書かれておられました。
 私は、民事系(特に民事訴訟法、次に民法)においてこのような場面に遭遇したとき、実力不足といえばそれまでなのですが、題意が把握できずパニックになってしまい、インプットした知識でお茶を濁してしまい①すら満足に書けません。
 Nさんは、今年の大問において(去年の過去問でもありがたいですが)、この点を特に強く意識されたのはどの問題だったのでしょうか。そして、この点を克服するには日々の演習等においてどのような意識をもって取り組めばいいのでしょうか。
 また③についても葉玉先生もおっしゃっていたのですが、より具体的に論理的思考を示してくだされば幸いです。
② Nさんも書かれておられなかったとおっしゃっていましたが、大々問設問1についてですが、なぜ「間接事実」になるのかよく理解できないです。
 問題文の事実は、有権代理ならば代理権授与の主要事実のように考えてしまうのですが・・・

長い質問ですみませんが宜しくお願いします。

ありがとうございます!

Nさん
 抽象的な質問に、丁寧に答えてくださり、ありがとうございます。
 なるほど、たしかにNさんのおっしゃる通りに進めると、メリットを最大限に、デメリットを最小限に抑えられますね。
 ドンドン進んでしっかりとした知識を身につけたいと思います!
 ありがとうございました☆
 また何かあれば、質問させてください。

masoさん
 masoブロ愛読者なのに、成績不良者で申し訳ありません・・・(ちなみに、「足きり」は、masoブロに沿って素読をする前の話です><)
 ところで、以前どこかの記事で、masoさんが紫版の判例六法をお使いになったと仰っていました。当時の紫版という事は、おそらくmasoさんが受験される半年前の(当時の)最新版をお使いになったという事だと思います。
 masoさんは、紫版の判例六法に買い換えた際、それまで使っていた六法への書き込みを、引っ越しされたりしましたか?それとも、全くのリセットで、あそこまで読み込まれたのですか?
 その他、ご意見などありましたら、お聞かせください。

Re:No title

>剣が峰さん

ご質問ありがとうございます。

>Nさんは、今年の大問において(去年の過去問でもありがたいですが)、この点を特に強く意識されたのはどの問題だったのでしょうか。そして、この点を克服するには日々の演習等においてどのような意識をもって取り組めばいいのでしょうか。

今年の大問は、私は考えたことのない問題が多かった印象で、特に設問2、4についてこの点を意識しました。
具体的には、簡単に「第5回新司法試験を振り返る」の「民事大大問」「振り返って」の記事で述べましたが、

設問2は、抵当権の損害論で見た瞬間驚きました。考えたことないよ、と。でも難しいことはわかってる、ということを書きたかったのです。そこで、基本部分として、抵当権は目的物の交換価値を把握する価値権であること、抵当権は実行をして初めて価値が実現することなど、知っていることを論文の中にいれ込もうとしました。

設問4は、(1)は聞いたこともない問題だったので、混乱せず知らないことは書かないように、当たり前のことを書こうとしました。訴訟物の範囲=既判力という大原則、既判力の根拠は手続保障を尽くした先にある自己責任にある、放棄の定義や拘束力の有無や根拠の議論など、本件に関係のある基礎知識から構成するようにしました。
(2)についても「?」となりましたが、一部認容判決の許容性の話だから246条を出して原告の合理的意思解釈を根拠に許されるとの基本部分だけは書こうと思いました。

以上のように、問題に関係のある基本的知識を正確に論じようと意識しました。

論理的に演繹するという点では、設問3で強く意識しました。結論として無効はおかしいだろう、というのは書く前からちらつきます。
しかし、当事者の定義を書いた後、「当事者でない者の訴訟行為は無効で、訴訟代理も任意的訴訟担当もありえない。だからやっぱり(論理的には)無効です。」とまず書きました。
結論が不当だから、とか、かわいそうだから、というのは非論理的な要素ですので、論理的に演繹する際には出すべきではありません。結論がおかしい場合にはどうしても非論理的な要素が入りがちですので、そこに当日気をつけていました。(もっとも、その後一般原則を用いて結論の妥当性を図りました。)

また、設問4(2)も、自己の見解は否定説に立つ、と決めて一貫した立場での論述をしました。途中で肯定説の方が書きやすかったかな、と思いましたが、一旦否定説で書き始めた以上、一貫して書きました。

「論理的に演繹する」というのは表現としては崇高なものに思えますが、要は一貫性を持ってわかりやすい文章を書く、ということだと思います。


② Nさんも書かれておられなかったとおっしゃっていましたが、大々問設問1についてですが、なぜ「間接事実」になるのかよく理解できないです。

具体的には、設問1の①の事実との理解でよろしいでしょうか。
主要事実とは、法規の構成要件に該当する事実をいい、間接事実は、主要事実の存否の推認に役立つ事実を言います。
本件での主要事実は、本人Aが代理人Cに(金額の範囲はともかく)代理権を授与したこと、です。設問1①の事実は、Aが相手方Fに「Cとの間でよろしく進めてほしい」といったにとどまり、別に代理権を与えたことを明らかにしているわけではありません。そうではなく、AがFに「Cとの間でよろしく進めてほしい」といってるんだから当然AはCに代理権を授与したんだろうな、と推認できる事実になると思います。なので間接事実だと考えます。

以上、回答となっているでしょうか。
剣が峰の精神は重要だと思います!しかし、完璧な準備ができないのが普通ですから、そこまで焦ることなく、自分を信じて1日1日を大切に頑張ってください!!


No title

Nさん忙しい中、アドバイス本当にありがとうございます。

「論理的に演繹する」の意義が非常に分かりやすかったです。後は実践あるのみなのでアドバイスを意識しつつ頑張ります。

②の質問なのですが、おっしゃっていることは分かります。
でもなぜか頭の中で『 「Cとの間でよろしく進めてほしい」=「Cに代理権を授与したのでCとの間でよろしく進めてほしい」 だから当該事実には代理権の授与という事実が含まれているので主要事実だ 』と考えてしまいます。
この考え方はどこが根本的に誤っているのでしょうか。主要事実と間接事実の定義については押さえているつもりなんですが・・・
誤りを罵倒していただければ(笑)幸いです。
本当に宜しくお願いします。

No title

>ホクリクさん

ご質問ありがとうございます。
N氏に補足してお答えします。

私もN氏と同様,ホクリクさんが効果を感じていらっしゃるなら,判例六法の読み込みを継続した方がよいのではないかと思います。

私にとっては,判例六法の読み込みが非常に効果的であったと思うため,お勧めさせていただいておりますが,当然唯一の正解ではありません。判例六法の読み込みを日々の学習に取り入れるかどうかは,今後の学習スケジュールやホクリクさんの勉強スタイルにもよると思いますので,私のやり方については1つの参考意見程度に聞いてください。

まず,私は,紫の判例六法(当時の最新版)は,それが発売されたときに,それまで使っていたコンパクトサイズの六法(判例付きでないもの)から買い換えました。
それまでは,六法へはほとんど書き込みをしていませんでしたし,判例六法も使っていなかったので,読み込みを開始したのは,紫の判例六法を買い,司法試験対策を開始するようになってからということになります。判例等を色分けしたり,付箋等を張り付けたのもそれ以降の話です。

私が試験対策として判例六法の読み込みをしたのは,どのような問題に対しても条文を出発点として考え,判例の知識・理解を元にして,事案の解決を探る姿勢を身につけることが,短答にも論文にも役立つだろうと考えたからです。
短答対策にはもちろん,論文対策という面でも,問題を考えるときに,①関連しそうな条文がパッと頭の中に浮かび,解決の糸口となる条文があるとすればこの辺にありそうだというあたりを付けることができ,②その条文に関連する重要判例としてはこれらがある,と思いつけるかどうかというのは,正しい問題意識の把握に関連して,問題に解答する上で非常に重要な意味を持ちます。
そのためには,まず条文・判例の存在(法体系上の位置づけ)とその内容を知ることが必要になりますから,そこに判例六法を読み込むことの意味があるわけです。

判例六法の読み込みを開始する前に,まずは新司法試験の過去問を解いて解説を参照する際に,出題された条文,判例をその都度チェックしていくことが必要かと思います。このとき,条文のどこが出題ポイントであったのかまでチェックしておくと後々役立ちます。何項が聞かれたのか,どの文言について聞かれたのか分かるようにしておくとよいでしょう。それ自体を書き込んでもよいと思いますが,スペースの都合もあるので,色分けのルールを決めて,色に意味を持たせて使い分けるというのがいいのではないかと思います。
何度も出題されているものは,試験委員が重要だと考えているわけですから,今後も関連問題が出題される可能性が高いと考えられますし,その条文が属する分野の他の条文についての問題がまだ出題されていないとすれば,そこが出題される可能性もあると判断することができます。読み込む際のメリハリをつけるという意味でも,判例六法の読み込みを学習に取り入れる際には,過去問に出題された箇所を丁寧にチェックしていくことは必須だと思います。

また,判例の判旨については,それ自体を毎回読むというのが原則ですが,択一の前には,一気に確認する必要がありますから,結論が肯定なのか否定なのかが分かるように,これもまた自分でルールを決めて記号なり,色なりで分かるようにしておくと役立ちます。
判例が多く,結論の肯否が分かれているところ(ex.処分性等)については,択一前に上記の方法で判別したものを確認しておくことで万全になると思います。

私は,有斐閣の判例六法の掲載判例が最新の百選・重判とリンクしている点を非常に重視していました(Q&Aのまとめ1のご質問「判例六法を使用していたとのことであるが,条文判例本や択一六法を使用しなかった理由は何か。」の回答参照。)。
百選・重判を読み込み,判例六法を読む際に条文ごとに掲載されたそれらの判例の判旨を読むということを繰り返すことで,判例の法体系上の位置づけや理解が定着したように思います。

判例六法の読み込みは,他の学習とバランス良くやることで効果が上がるものだと思いますので,問題演習や判例学習を併行してやる中に,判例六法の読み込みを組み込んでいくということが大切だと思います。

私は,その日に短答の学習をする科目について,判例六法を読んでいました。
スケジュール表の画像を見ていただければわかると思いますが,午前中に読むことが多かったです。読むときは,その法律のほぼすべての条文について読みました。民法や会社法については,分野を分けて読むこともありましたが,細かく分けすぎるとそれだけで1週間が過ぎてしまいますから,分けるとしても3回程度(ex.①総則・物権,②債権,③親族・相続)でした。
慣れてくれば,誰でもかなりの速さで読むことが可能になると思いますが,限られた時間内で網羅的に条文・判例を追っていくには,判例六法に様々な書き込みがなされていることが必須です(過去問出題箇所・出題回数・判例の色分け・要件・効果のチェック・重要文言のチェック・付箋はりつけ等)。
読む際のメリハリのつけ方については,N氏の解答や私の(「Q.判例六法の回し方について,択一前はピンクと赤だけ、論文前は黄色まで読むという意味か。科目によって重点のかけ方に違いはあるか。」との質問に対する)下記の回答を参考にしてみてください。

・・・・・・・・・・
第1 回し方
択一の試験前は、気になる箇所について、赤から黄色までほぼすべて目を通していました。
短答のまとめファイルの表と判例六法に貼り付けた付箋などを確認した後に、もう一度見ておきたい条文と関連判例をざっと確認する感じです。
論文の試験前には、論文のまとめファイルを主に読んでいて、判例六法では、条文操作や重要判例の要件を確認していました。
普段の学習の中で判例六法を通読することも多かったのですが、そのときは、条文だけを読む、判例だけを読む、なんども出題されている条文+赤&ピンク判例だけ読む、・・・など、択一の勉強として読むか、論文の勉強として読むかによって変えていました。

第2 科目による重点のかけ方
短答では各科目それぞれ出題傾向があるので、それらに合わせて読み方を若干変えていました。
ただ、私は、別の機会に勉強した判例知識を短時間で確認するためのツールとして使っていたので、科目ごとに明確な差をつけて読むということはなかったように思います。
これについては、何か決まったやり方があるわけではないので、これまでの勉強の中で得た、科目ごとの出題感覚を活かして、臨機応変に読み方を変えてみればいいのではないかと思います。
・・・・・・・・・・

そして,N氏の回答にあるように,条文の趣旨等を調べるのは後に回して,どんどん読み進めるのがよいと思います。そのような学習は論文の学習の際にやるべきことだと割り切ることが肝要です。

なお,問題演習について,N氏が述べているところと重なりますが,過去問については,出題された問題のすべての選択肢の正誤につき,正確な理由をつけて全て判断できるかどうかは,非常に大切なポイントです。何となく判断するのではだめです。本番では,過程はどうあれ,正解にたどり着ければそれでよいかもしれませんが,練習の段階ではこれを重視してください。

受験勉強を継続する上で大切なのは,学習の目的と手段を選択した理由を自分の中にしっかりと持つことです。
これから,ホクリクさんがご自身の勉強スタイルを確立して,無事試験を突破されることを願っています。
頑張ってください!

No title

>剣が峰さん

私の方から補足的に回答させてください。

「AがFに電話をして,3月15日に赴かせるCには交渉の経過を話してあり,それをCが理解しているから,後はCとの間でよろしく進めてほしい,と述べたこと。」は,有権代理の主張についてみると,間接事実になると思います。
本件に即していえば,主要事実は「AがCに対して,本件消費貸借契約の締結に先立ち,代理権を授与したこと」になります。代理権の授与行為は,AからCに対してなされるものですから,AがFに対して,電話で上記のように述べたとしても,前記主要事実の存在を推認させるにとどまります。

>『「Cとの間でよろしく進めてほしい」=「Cに代理権を授与したのでCとの間でよろしく進めてほしい」 だから当該事実には代理権の授与という事実が含まれているので主要事実だ』

との考えのうち,『=』という部分が違います。
なぜなら,主要事実は具体的な事実であり,「AがCに対して,本件消費貸借契約の締結に先立ち,代理権を授与したこと」それ自体である必要があるからです。
AのFに対する「Cとの間でよろしく進めてほしい」との発言を,「Cに対して代理権を授与したので」という趣旨であると解釈することは,まさに,剣が峰さんがAのFに対する発言から,AのCに対する先立つ代理兼授与を推認をしていることに他なりません。
事実とそれに対する評価(推認)を分けて考えてみれば,分かりやすのではないでしょうか。

ありがとうございます!

masoさん

 詳細なアドバイス、ありがとうございます!
 自分がいかに漠然と読んでいたか、気付かされました。
 Nさんのアドバイスも含め、今後の勉強の参考にしたいと思います。
 また何かあれば、よろしくお願いします。
08 | 2017/09 | 10
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