スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【特別連載・科目別に気をつけるポイント・憲法】byN氏

憲法について。

※特別連載の説明,目次は「こちら

(1)科目特性
①憲法は問題点がたくさんある。それを全部書くことは不可能。時間制約の中で,重要度を自分で判断して,複数の問題点について論じるべき。(2008年出題の趣旨)
②「日本語力」が重要。特に目的手段審査をするときに論理を絶対に飛ばさないで,こうだからこう,こうだからこう,と丁寧に論じていかないといけない。
③法令違憲,適用違憲の区別をして,その上で立法事実ないし司法事実をきちんと拾っていく必要がある。
④審査基準の内容をきちんと理解していなければならない。(2008年採点実感)
⑤事案において憲法を具体化していく,ということを意識する。
 たとえば,2009年の問題であれば,「学問の自由が保障されている,学問の自由は精神的自由に属し,,,,重要である」なんて書いてしまうのはダメ。「遺伝子に関する研究者に対して,学問の自由(憲法23条)の一内容として遺伝子研究の自由が保障されている」などと具体的に書く。そして,研究の必要性有用性もある一方,先端研究には失敗はつきものでその失敗は予期できるものではない,などという性質をとらえて制約の程度を具体的に考えていくべき。

(2)注意リスト
① 「今どこに向かって書いているのか」をわかりやすく記す。
  →小見出しの活用,問題提起,結論の明示
② 三段論法での論述を心掛ける。文章は短く。
③ 無駄な部分はできるだけ省く(6~8枚で書ける量は決まっている。)
→小見出しの活用,事実のまとめや総論的な記述をできるだけ省く。訂正をできるだけ少なく。急がば回れ。
④ できるだけ理論はシンプルに。
→保護範囲,制約,正当化(目的,手段)を「わかりやすく」書く。何が制約されているのか,それは「何条で」保障されているのか,どのような性質の権利か,条文が予定しているコアの権利との距離はどの程度か
⑤ 最後までしっかり書ききる。
  →答案構成終了時の残り時間で枚数を考える。そして前をシンプルにすることを心掛ける。
⑥ キーフレーズを使えたら使う。
  ・多様な意見が流通して初めて多数決が意味を持つ。
  ・安全,安心をもとめ他の意見を排除することで出来る自我は弊害を持つ。
  ・多数者の利益のために少数の者の権利が制約されるのが人権侵害の典型例であり,許されるものではない。
⑦ 事案の特性をつかむ。しかし全部の事実を使おうとは思わないこと。
  →つかえっこない。それよりも遺伝子研究,インターネット上での表現方法といった特性について検討すべき。そのような特性が制約の正当化要素となりうるから。
⑧ 「文言の解釈」であることを意識する。
  →憲法の条文だけではなく,限定解釈をする際も,「重大な事態」という文言を「単に人の生命・健康への危害が生じたというだけでなく,同様の事態の再発の危険が客観的事実に照らして明らかに予測される場合」と解釈していく。
   *この場合,原告は重大でない!被告は重大だ!と論じて,私見で解釈するとよいと思われる。
⑨ 似た判例を想起して,それとの距離を確認する。
⑩ 目的手段審査の時の論理性に注意!!
ア 目的をきちんと明示する。2006年だと,「国民の健康被害の予防」
イ 手段もきちんと明示する。2006年だと,「(罰則を伴う)煙草の箱への一定の表現の義務付け」
ウ その手段と目的の因果性を考える。2006年だと,たとえば(あ)煙草の箱への一定の表現の義務付けによって,(い)国民に対して煙草の健康への害悪性が周知され,(う)国民は煙草を吸わなくなり(あるいは量を減らすことになり),(え)国民の健康被害の予防という目的が達成できる。
エ 厳格な審査基準(目的達成のために必要最小限度の手段でないと違憲)の場合には,たばこを1000円にすることで国民は煙草を吸わなくなり(あるいは量を減らすことになり),国民の健康被害の予防という目的が達成できる,と書く。より当該人権の制約の程度が低く,同程度の目的を達成できるものを書く。
 緩やかな審査基準(目的達成のために合理的な手段でないと違憲)の場合には,ウをそのまま書いて合理的ですね,でいい。
 中間的な審査基準(目的達成のために実質的に関連している手段でないと違憲)の場合には,ウの論理性をより実質的にみていく。すなわち,(あ)と(い)のつながりに関しては,もうすでに8割の人が煙草と肺がんの関係については知っているんだから表示を義務付けても害悪性が周知されることはない,とか,(い)と(う)のつながりに関しては,煙草の害悪性はすでにみんな知っていてそれでも吸う人は吸うんだから表示を義務付けても国民は煙草を吸わなくならない,とかを考える。
⑪ あきらめない!憲法は難しくて当たり前。だから粘り強さが大事。
⑫ 人権の選択を間違えない。(2008からその選択は難しくはない傾向)
ア まず直感。何が直接的に侵害されているのか。たとえば2007なら,不許可くらって施設建てられないから財産権。
イ 原告の立場。財産権じゃ勝てない。じゃあ居住移転の自由ではどうか。それでも弱い。もっと審査基準が厳格になる人権侵害はないか,と考える。施設が建てられないことで集団生活ができなくなって,宗教活動ができなくなっていることに着目し,信教の自由で勝負しよう。
ウ 被告の立場。厳格な審査基準が立つのは困る。ただ不許可にしただけで財産の利用の制約なだけで,信教の自由の制約じゃないと主張。仮に信教の自由の制約であっても違憲審査基準を弱める論理はないか。今回は不許可がメインで間接的・付随的に制約しただけ。
(上記の⑫のア~ウの人権選択の思考方法については後付けです。宍戸先生の法セ連載最終号(2010年9月号)に人権の選択について書いてあったので,こんな感じで考えてみたらどうだろう,興味本位で付け足しました。問題も記憶に頼り,特に吟味して書いたわけではないので信頼性はありません。笑 くわしくは宍戸先生の連載を直接読んでみてください。)

(3)参考
小山先生の『「憲法上の権利」の作法』中心に宍戸先生の法セの連載でへ―と思ったところをまとめたものです。今年の憲法の結果をみれば信頼性に欠けるかもしれませんが,いちおうなんかの参考になるかもしれないと思い,載せてみます。

【思考回路】
1)保護領域―2)制限―3)正当化

の三段階審査を採用

1)でやること
当該事件で侵されている国民の権利が「憲法上の権利」といえるかどうかの判断
例)スプレーで他人の所有物へ絵を書く行為が,憲法上の表現の自由に含まれるか。
肯定)憲法上の権利である→原則保障され,法律による制限すら受け付けない。例外的に制限という原則・例外形式で考える。審査基準が厳格になる。
否定)憲法上の権利でない→原則は自由だが法律による合理的な制限をうける。審査基準も緩くなる。
  ↓
両者のメルクマールは,「人格的な利益」であるかどうか。
・人権カタログに載っている権利,13条を根拠とする新しい人権等はすべてこれにあたる。
・「尊重に値する」場合には両者の中間形態となる。したがって,基準を緩めることになる。

*憲法上の権利は,①具体的な国民が,②公権力に対して主張することができるから,①人権享有主体の問題と,②私人関効力の問題はここで論じられることになる。

*1つの行為が複数の権利で保護されている場合がある(基本権の競合)。この場合は,全部主張するのではなく,基準となる基本権を確定する。
※厳格審査が要請される基本権を常に適用するわけではないことに注意!
  ➥原告としては厳格な方を選択したい。その時は以下の作業で理由づけをする。
以下の作業を経る。
①保護領域,制限まで検討し,具体の事案に照らし当該人権の保護領域に含まれるか,制限に含まれるか,を検討する。
②競合する基本権が一般法と特別法の関係に当たるかどうか,を検討する。当たる場合には,特別法を優先する。
 例)宗教的結社は,21条1項ではなく,20条1項が適用される,など。
③それでもだめなら,問題となる事案に対して,より強い関連性を持つかを論証する。
 ※基本権以外の人権が,違憲審査段階で考慮されることもありうる。
④もう両方強く関連しています!となった場合には,両法適用される。このときはより強い方で考えればよい。より強い方が合憲にならないと結局違憲だから。
 例)特定のNGワードを含むE-mailの送受信の制限
   コミュニケーションの制限+テロ対策を研究する学者Aの学問の自由の制約

2)でやること
かかわり合いを持つ国家の全ての行為が,制限になるわけではない。
①目的志向性(規制する目的を持って意図的になされているか)
②直接性
③命令性
④法形式性(法律・命令・判決という法形式を持ってされたのかどうか)
で基本的には判断。近年では,
⑤事実行為による制限(ビデオカメラでの撮影,国家による警告・推薦)
も含まれる。
*「基本権の放棄」がある場合には制約に当たらない。
 →もっとも,「承諾」には限界がある。エホバの場合も,剣道が必修科目の学校に入ってきたんだから剣道をやることに承諾したんだ,という主張がされたが,入れられなかった。
 →「放棄」を緩やかに認めてはならない。承諾の射程や帰結を当人が認識,評価できる場合にのみ認める。
*間接的制約・付随的制約も制約にあたる。その上で審査密度をどうするかの問題となる。
*法律に「よる」制約は,法律が当然に憲法上の権利を制約する場合。(基本的には法令違憲。立法事実を踏まえた法律の合憲性の審査をする。)
 法律に「基づく」制約は,法律の執行者に裁量があり,その結果として憲法上の権利が制約される場合。(基本的には適用違憲になる。法律に基づく制約の当否に司法審査の重点が置かれる。)

3)でやること
「公共の福祉」による制約のみが認められる。
 ➥公共の福祉を人権衝突調整のためだけの原理とは見ない立場=ある個人の人権を制限することにより,多数の個人の人権とはいえないにしても重要な利益が実現されるというような場合にも制約が許容される場合があるとする立場を前提

憲法の問題の重要ポイントで見せ場。具体的事案に照らして1)の憲法上の権利に対する2)の制限が,3)正当化されるか,を検討する。
憲法上の権利の正当化は,①法律上の根拠に基づき(形式的観点),②正当な目的を達成するための必要かつ合理的な制限(実質的観点)のみ許容される。
から,①と②についての審査をする。

①法律上の根拠
これがなかったら直ちに違憲。だから②よりも先に考える。
ア 法律はあるか
イ 委任立法の場合には法律による委任の範囲の限界を超えていないか
ウ 条例による制限など
エ 明確か
   ➥「通常の判断能力を有する一般人の理解において,具合的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準がよみとれる」か否か,が基準。
    明確性は「告知機能」を重視した手続的観点,過度に広汎は「規制対象外の行為を規制する可能性」に着目した実質的観点で違う。
*罰則だけでなく,表現の自由については畏縮効果を理由に高度の明確性が必要。情報自己決定権は,予測できない個人情報の取得・流通・利用の排除のために表現の自由以上の明確性が必要。課税も課税要件法定主義と課税要件明確主義により特に要求される。

エに対して,国からの抗弁として,
か 合憲限定解釈
がなされることがある。
それに対して再抗弁として
サ 合憲限定解釈の限界を超える
 (1)その解釈により,規制の対象となる者とそうでないものとが明確に区別され,かつ,合憲的に規制し得る者のみが規制の対象となることが明らかにされる場合であること
 (2)一般国民の理解において,具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその規定から読みとることができるものであること
  の最高裁の税関検査事件判決が掲げた2要件に照らして考える。
   ➥明確性の要求をどこまで重視するかがポイントになってくる。
シ 「仮に法令は合憲だとしても,適用において違憲である」との適用違憲の主張

*明確性には第三者の違憲主張適格の論点が出てくることがある。
 第三者所有物没収事件の,
(a)刑事事件の体制項から没収物の所有者である特定の第三者には有効な救済手段が存在しない
(b)本人への付加刑である
(c)所有者から損害賠償請求等を行使される危険がある
 との基準で考えていく。

②実質的観点
(1)絶対的禁止か相対的禁止か
  →検閲のみ絶対的禁止。文面のみで考えるから,文面上判断とされる。
(2)相対的禁止であるとして,目的手段審査により合憲になるか。
 ア いかなる点について判断するのか
  規制目的の正当性を前提に,①規制手段の適合性(合理性),②規制の必要性(必要性),③両者を前提としての利益の均衡(比例原則)
 イ どれだけ厳格に審査するのか
  緩やかなものから立法事実を精査する厳格なものまで,具体的事案に照らして最も適切な審査密度を選択する。

ア 目的手段
<目的>
 要求される目的の程度も,具体的な事案において,いかなる憲法上の権利が制限されるのか,また,いかなる態様の制限かによって異なる。
 憲法に合致しない目的での制約は,それだけで違憲になる。
(あ)「尊属の尊重」はきわどい。
(い)本人のためになされるパターナリスティックな制約
→自己決定を押しつぶすため禁止される。もっとも危険行為に対する警告ないしは情報決定はOK
 正当 憲法上禁止されていないこと
 重要 正当だけではなく,実質的な立法による規制の必要性がある
 やむにやまれぬ 選挙権の制約は選挙の公正の確保のみ

例)たしかに,選挙権は選挙制度を前提としてその枠内で行使される性質持つため,選挙権を実質化するための選挙制度構築の立法裁量は許されていると考えられる(憲44,47)。すなわち,選挙権をあるべき姿(たとえば平等選挙(憲14・44)の原則)にするためには,選挙の公正の確保のための制度構築が必要不可欠であり,それが土台となってはじめて代表選出への参加権が意味あるものになるから,その限度での制約は認められる余地がある。しかし,選挙権が代表選出への参加権という極めて重要な権利であることからすれば,それ以外の理由で制限されてはならない。したがって,選挙権の制約目的は,選挙の公正の確保に限られると解すべきである。(masoブロより抜粋)


 
<手段>
適合性 その手段が立法目的(規制目的)の実現を促進するか
必要性 立法目的の実現に対して等しく効果的であるが,基本権を制限する程度が低い他の手段が存在する場合に否定される。
均衡性 手段は追及される目的との比例を失してはならない,あるいは,手段は追及される目的と適切な比例関係になければならない。

イ 審査密度の選択について
通常審査の原則(高橋P115)を採用
最高裁の枠組みは,
「重要な権利に対する強力な制限は,特段の事情がない限り,比例原則が厳格に適用される」
<考慮要素>
*権利の強度
  人格的価値との近さ,「尊重に値する」物かどうか,
*制限の程度
  職業遂行に対する規制,直接的か/間接的・付随的か,事前/事後
*その他の要素
  立法裁量を尊重すべき事情はあるか(税,経済的積極目的規制),主体が誰か(法人,未成年,公務員),選挙運動,自然的自由でなく制度によって与えられた自由ではないか,等の考慮
<基準の種類>
厳格な審査 目的が必要不可欠,手段が必要最小限
厳格な合理性 目的が重要,手段が実質的関連性(他の手段との比較において必要)
合理的関連性の基準 目的は正当か,手段は目的と関連しているか,均衡はとれているか
明白な基準 著しく明白に不合理である場合に限り違憲となる。


あとは,masoブロの記事「公法系論述(憲法)」もよく見ていました。


theme : 司法試験・資格試験・語学試験
genre : 学問・文化・芸術

comment

管理者にだけ表示を許可する

03 | 2017/04 | 05
Su Mo Tu We Th Fr Sa
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
プロフィール

maso

Author:maso
弁護士(63期)。いわゆる大手渉外法律事務所で働いています。

maso on Twitter
カテゴリ
最新記事
最新コメント
検索フォーム
月別アーカイブ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

masoブロ カウンター
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。