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⑦二回試験

司法修習全体については,こちら

⑦二回試験について。

第1 前提説明
 A班は選択型実務修習,B班は集合修習が終わるとすぐに,司法修習生考試(通称:二回試験)が行われます。この試験は,形式的に独立の国家試験という位置づけですが,実質的には司法研修所の卒業試験です。
考試は休みを挟みつつ1週間かけて行われ(新第63期は2010年11月19日,22日,24日,25日,26日の5日間),試験科目は,刑事裁判,検察,刑事弁護,民事裁判,民事弁護の5科目で,試験時間は,午前10時20分(着席時刻は午前9時45分)~午後5時50分までの7時間30分です(午後0時~午後1時の昼食時間中の起案も可能なため)。全5科目について合格基準点に達した者のみ,司法修習を終えることができます。
 司法試験を乗り越え,就職活動を終えた修習生が超えなければならない最後の山です。
試験期間中は,食堂や売店,自販機が使用できないため,各自で昼食を用意する必要があります。
 集合修習中に「受験番号」(全修習生の名前順),「着席番号」(考試応試の教室に対応したもの)が記載された受験票が配布され,着席番号により各教室が割り振られるため,同じクラスの人は同じ教室に2,3名程度になりバラバラになります。
 また,「司法修習生考試応試心得」という,極めて細かに受験上のルールがされた受験要領も配られます。

第2 二回試験の内容
 集合修習の起案とほぼ同内容,同形式です。
 ただし,1科目あたりの試験時間の延長(6時間50分→7時間30分),私物付箋使用不可(試験時に配布。新第63期は,薄緑と黄色の二色),ストップウオッチ使用不可,ペンケースを机上に置くこと不可,試験時間中のかばんの開閉不可(ただし,昼食を取り出す際を除く)など,特別なルールが加わるので,前記「司法修習生考試応試心得」をよく読んでおくことが必要です。
 試験の運営は厳格すぎるほど厳格に行われ,試験監督は一切の融通が利きません。
 おそらく日本で行われる試験で,ここまで厳格なものは存在しないのではないでしょうか・・・。
 配布されるものは,六法,貸与資料,問題文,修習記録,構成用紙,付箋,解答用紙です。
 試験時間中は,デイリー六法のほか各科目につき下記の教材が貸与され,自由に参照することができます。
 (1)刑事裁判:刑事判決起案の手引き
 (2)検察:検察講義案
 (3)刑事弁護:なし
 (4)民事裁判:民裁起案のガイド
 (5)民事弁護:なし



  
第3 雑感等 
 二回試験自体は合格率約95%程度の試験であり,初受験であれば97%近く合格する試験です。
 その極めて高い合格率とは裏腹に,修習生にかかるプレッシャーは司法試験を凌ぎます。
万が一,不合格になれば,法曹になることができるのは早くとも翌年の夏以降になってしまいますし,最悪内定の取り消しもありえます(任官・任検は取消確定,弁護士は事務所による)。
 心理的なプレッシャーに加えて,さらに形式的なミスの恐怖が不安を煽ります。綴り忘れ,綴りミス,起案表紙のとじ忘れ,片穴とじ,特定答案,試験終了時筆記・訂正・挿入,携帯電話・通信機器所持(かばん内含む)などは一発不合格となります。答案に関するものについては,内容がいかに優れていても,答案自体が回収されないため救済の余地はありません。毎年数名は,形式ミスにより不合格になります。
修習生にとってはこれらのミスが怖すぎるため,試験終了間際になると,皆,起案はそこそこに形式面のチェックに入ります。試験時間が6時間50分から7時間30分に変更されているのは,これらのチェックをするための時間といっても過言ではないかもしれません。試験終了15分前に綴り忘れに注意するように執拗なアナウンスがあるので,再度入念にチェックすることをおすすめします。自分はまさかそんなミスはしないだろうと思っていても,二回試験にはある種独特な雰囲気があるので,普段なら犯さないような間違いをしてしまう危険性はゼロではありません。
 「二回試験は,二度と受けたくない試験」と呼ばれるゆえんは,試験が長時間に及ぶことのほかに,ここにあると思います。
 試験期間中も,試験までの待ち時間に,他の教室で受験した同期から「昨日教室で綴りミスがあった」,「気づいたら表紙が付いていなくて焦った」,「緊張して紐がなかなか結べなかった」,「試験時間中に携帯電話が鳴った」などの情報が回ってくるため,全く気が抜けません。 
 内容面については,(1)刑事裁判の時間配分ミス小問白紙,(2)検察の重要間接事実落とし,証拠物指摘なし,犯人性起案での被疑者供述使用,罪名ミス,致命的論理矛盾,(3)民事裁判の訴訟物ミス,大ブロック壊滅,説明問壊滅,(4)民事弁護の原告・被告取り違え,証拠列挙なし,(5)刑事弁護の無罪主張無視,証拠列挙なし,などが一般的に死因として挙げられますが,これらは起案の難易度によってどの程度のダメージになるかが変わってくるので,一概には言えません。
 とはいえ,よほどのことがない限り内容面で落とされる試験ではありませんので(二回試験がミニマムスタンダードのネガティブチェックといわれるところです),「形式ミスに最大限注意して,内容面では,集合修習中の講評をよく聞いておいて試験でもそれを淡々と実践する」ことが大切なのだと思います。
 修習生の皆さんは,起案対策の資料として先代から受け継がれてきた各種資料を手にする機会があると思います。これらは大変役立つものですが,内容面の誤りや不十分な点も散見されますし,内容的に古くなっている部分もあるので,使用する際は注意が必要です。大した必要性もないかもしれませんが,個別科目の対策について別の記事で触れておきたいと思います。




【裁判所法第67条】 
 ①司法修習生は、少くとも1年間修習をした後試験に合格したときは、司法修習生の修習を終える。
 ②(略)
 ③前項に定めるもののほか、第1項の修習及び試験に関する事項は、最高裁判所がこれを定める。

theme : 司法試験・資格試験・語学試験
genre : 学問・文化・芸術

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弁護士(63期)。いわゆる大手渉外法律事務所で働いています。

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