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起案対策の付録(民事系科目起案・民事裁判)

弁護士バッヂを受け取ると,バッヂの重さ以上の重みを感じました。一生懸命がんばろう

修習生の方にとっては,起案のちょっとしたヒントくらいにはなるかも知れませんので,メモを元に,二回試験を念頭に置いた起案対策の記事を書いておこうと思います。各科目について,①何を勉強すればよいか,②起案のポイントの2点を挙げてみたいと思います。




第1 民事系科目起案

 1 民事裁判
 
 (1)何を勉強すればよいか


まずは,起案のルールを把握するため「民裁起案のガイド」と記載例のプリントを熟読しましょう。民裁起案のガイドについては,持ちこみが可能ですが,本番で読んでいるようでは時間がなくなります。本番では確認程度にとどめられるように,基本的なルールは覚えておくのが得策です。
「問題研究要件事実」,「紛争類型別の要件事実」が基本ですが,おすすめは「完全講義 民事裁判実務の基礎―訴訟物・要件事実・事実認定」(大島眞一・民事法研究会)という本です。1冊で前記2冊のほぼ全分野をカバーしており,その他の重要事項についてもフォローされているので,使いやすく,記述が丁寧でとても分かりやすいです。私は,民裁の要件事実対策として,集合修習に入るころからこの本を繰り返し読みました。この本だけで十分A起案は取れます。なお,事実認定の箇所は読まなくても足りると思います。
 次に,説明問,失当問,撤回問に解答するために必要となってくるのが,民法(総論,物権,債権の各分野のメジャー領域)の知識です。起案前には,受験時代の本など適当な本を使って知識のおさらいをしておきましょう。判例の結論を知っているかどうかで決まるような問題も出るので,有名判例について知識が抜けていると感じる方は,もう一度復習しておくとよいでしょう。

 (2)起案のポイント

第1 訴訟物の設問について
(1)「記載せよ。」なら,結論のみ。
(2)「説明せよ。」ときたら,以下のとおり

第1 訴訟物の説明
1 訴訟物,個数及び併合態様
2 説明
(1)訴訟物の選択
「民事訴訟では,処分権主義が採用され,何を訴訟物とするかは原告に委ねられている(民事訴訟法246条)。訴訟物は原告の申立てによって定まり,裁判所はそれに拘束される。したがって,訴訟物の選択は,原告の主張を合理的に解釈することによって判断することになる。そこで,訴状の請求原因の記載及びよって書きを見ると,・・」
(2)訴訟物の特定
 ア 権利の性質
   民法〇〇条によると,(要件)→(効果)。この権利は,物権/債権である。
 イ 特定の方法
(物権的請求の場合)
物権は絶対的・排他的な権利であり,同一の物につき同一内容の物権が複数存在することはない。したがって,物権的請求の訴訟物は,①権利の主体と②権利の内容によって特定されることになる。
(債権的請求の場合)
債権は,相対的な権利であり,主体及び内容が同一であっても同時に複数成立することが可能であるから,債権的請求の訴訟物は,①権利の主体,②権利の内容に加えて,③発生原因によって特定されることになる。
 ウ 訴訟物の個数
訴訟物とは,訴訟上の請求の内容として原告が主張する一定の権利または法律関係をいい,実体法上の請求権ごとに判断される(旧訴訟物理論)。
(物権的請求の場合)
 ①侵害されている物権の個数と②侵害の個数によって定まる。
(債権的請求の場合)
 契約の個数によって定まる。
 エ 併合態様
訴訟物については,原告に決定権があるから(処分権主義),併合態様についても原告の合理的意思を解釈して判断すべきである。


※Stg注意
①譲受債権請求訴訟:XのYに対するAY間の消費貸借契約に基づく貸金返還請求権
②債権者代位訴訟:AのYに対する消費貸借契約に基づく貸金返還請求権

第2 要件事実の設問について
0 前提
「民裁起案のガイド」に忠実に書く。参照可能なので,分かっていると思っていても確認すること。
 
1 要件事実の摘示(主張整理)
 【注意すること】
 ①主張整理
・見出しを付け,予備的主張,抗弁以下の主張については,どの主張に対するものであるのかを明示する。
・法的評価ではなく,事実を書く。
 ②規範的要件
・いかなる時点の事実かに気を配ること(よくひっかけてくるので注意!)
・評価根拠事実と評価障害事実が両立するようにすること
 ※主張の位置づけ(Kg,E,R,D)が分からなくなったときは,定義から冷静に考える。
   Ex.再抗弁とは,抗弁の効果を覆して請求原因の効果を復活させるものをいう。
 ※権利の「発生要件」と「行使要件」とを区別する。

2 要件事実の説明 
 【注意すること】
※配点高い。
※主張の特定が「請求原因について」,「抗弁について」とされているとき
・複数あるときは,すべてについて記載する。
※主張の特定が「訴状第1の2の主張」,「第6項の主張」などとされているとき
・特定された部分の法的主張に関する大ブロック全体(法的主張を構成する要件事実全部)について説明する
・主張自体失当と考えて主張整理しなかったものについては理由を記載する。
※条文の引用がなにより大切。

以下のとおり,主張整理の構造(段階的構造)をそのまま答案構成にして,1つ1つ説明していく。

第1 要件事実の説明
1 まず,実体法の条文を引きつつ法律要件を指摘する。
2 次に,要件事実に引き直して書いていく
ex.Kg(※必ず見出しを付ける)の要件事実
~の要件事実は,①,②,③である。
  2 ex.①賃貸借契約の成立について
(1) ex.民法601条からすると,賃貸借契約の成立には,ア 賃借物の目的物 及び イ 賃料額が定まっていることが必要である。また,借主が目的物を借りてすぐ返すというのでは,契約の目的からして意味をなさないから,賃貸期間を定めることが必要である(貸借型理論)。
本件では,・・・
  3 ②〇〇について (以下,同じ。)
  4 まとめ
    以上により,ex.Kg(あ)~(き)のとおり摘示した。



 3 実体法的効果の記載 
※段階的に丁寧に書くのがポイント。
・条文を指摘した上で,権利変動の仕組みを簡単に説明する問題である。
・論じる主張について,必ず(見出し)を付ける。※下記記載例参照
・当該主張が攻撃対象とする大ブロックの法的効果を覆る理由が明らかになるように記載すること。
・条文→効果→請求原因との関係の順で,例えば以下のように書く。
 なお,①,②…というのは便宜上振ったものなので,実際の論述では書かない。

1 E1(相殺)について
①Aは,Bに対する反対債権による相殺を,本件貸金債権の譲受人であるXに対抗することができ(民法468条2項),②相殺により本件貸金債権は相殺適状時にさかのぼって消滅する(民法505条1項,506条2項)。そして,③主たる債務が消滅すれば,Yの保証債務の付従性によって消滅する。

2 E2(正当事由の評価障害事実)について
①更新拒絶に正当事由が認められない場合,期間満了による賃貸借契約の終了の効果は発生しない(借地借家法26条1項,28条)から,賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求は認められないことになる。

3 E3(相殺)について
①催告を受けていた賃料債権は,相殺によって相殺適状時に遡って消滅し(民法506条1項,2項),②履行遅滞ではなくなるため,③解除の効果は発生せず,④賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求は認められないことになる。


    
第3 事実認定起案について
※最低でも,3時間は残すこと。
※どこに何を書くのかが大切。

1 認定できるか否かの結論の設問=【第1問】
  要証事実について,それが証拠上認定できるかの結論だけを書く。

2 判断の基礎となる重要な事実の記載の設問=【第2問】 
※積極,消極は,要証事実との関係で決まる。
Ex.二段の推定の場合でも,積極は要証事実を認定する方向の事実なので,二段の推定を覆さない方向に働くものを指す。
※証拠から即認定できる事実を書く。信用性判断をしないと認定できないような事実は間接事実として挙げてはだめ。
※重要なものを挙げるのであって,むやみやたらに書かない。
※意味付けは,しっかりと書く。
※供述者に不利益な事実は,当該供述者の供述によって認定可(配点は低い)
※列挙するかどうか悩むような事実は,配点が低い。
※証拠から確実に認定できる堅い事実のみを書く。
※法的評価や証拠自体を書いてはならない。

第2 判断の基礎となる重要な事実
1 積極方向の間接事実
(1)〇〇〇である事実(認定根拠)
(意味付け)
この事実は,(要証事実)との関係で,・・・という意味を有するから,積極方向に作用する。
2 消極方向の間接事実
(1)×××である事実(認定根拠)
(意味付け)
この事実は,(要証事実)との関係で,・・・という意味を有するから,消極方向に作用する。



3 結論に至る判断過程の説明の設問【第3問】
※要証事実の存在を直接証明する処分文書または報告文書が存在する場合には,①その成立の争いの有無,成立の推定が働くか否か等を踏まえて,②要証事実の判断においてどのような点を中心に判断すべきかを判断過程の説明の冒頭に記載する。
※事実相互の関連性,要証事実に対する積極・消極の力の強弱も含めて書く。
※成立に争いがなければ,「成立に争いがない」と書く必要はない。
※証拠の記載は簡略な表記でよい。項数までは不要。

(書証についての争いの図式・おさらい)

Ex.契約書(甲1)に,Yの印章による印影あり。

実質的証拠力     甲1記載どおりの事実を認定できる(要証事実)
                ↑ 特段の事情のない限り
形式的証拠力     甲1真正文書
            2段目 ↑ 推定(228Ⅳ) ← 反証
           Yの意思に基づく押印
            1段目 ↑ 推定(判例)← 反証
           Yの実印によって印影顕出


パターンとしては,
(1)処分文書(重要な報告文書を含む。)があり,成立に争いない場合
(2)処分文書があり,成立に争いがある場合。
  ア 押印の真正に争いがない場合(二段目)
  イ 押印の真正に争いがある場合(一段目)

【パターン(1)のとき】
1 処分文書(or重要な報告文書)の存在 
  甲〇号証が存在する。甲〇号証は~という書面であり,・・
2 甲〇号証についての被告の認否
3 特段の事情の主張
4 中心に判断すべき点


【パターン(2)のとき】
1 処分文書の存在
2 甲〇号証についての被告の認否
3 二段の推定(民事訴訟法228条4項)
(1)228条4項の趣旨+法定証拠法則であることの指摘。立証責任には影響なし。
(2)判例で,一段目の推定 → 228条4項で2段目の推定。
4 中心に判断すべき点



※反対方向の事実,証拠もしっかりと検討することが一番大切。
※積極・消極に作用する力の強弱もちゃんと書く。
※グルーピング=設問2で挙げた間接事実を分析する際には,設問2の事実をいくつかの項目に分けて検討する。

theme : 司法試験・資格試験・語学試験
genre : 学問・文化・芸術

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