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【米国ロースクール留学/出願先の選定】

第2 出願先の選定

(1) 総論
米国や英国の多くのロースクールがLL.M.プログラムを提供しています。大手の法律事務所に勤務されている方は、所内のルール又は慣行として、数年の勤務を経た後に主に米国又は英国のロースクールのLL.M.プログラムに出願します。その後、各自が出願して合格通知を受けた学校の中から、進学先を決定し、通常、一定の経済的補助を受けて留学することになります。なお、以前述べたとおり、近年では、留学に行かないケース、アジアや英国以外の欧州に留学するケース、法律事務所以外の企業・国際機関等で研修を行うケース、公共政策大学院やビジネススクール等他のプロフェッショナルスクールに留学するケースもあり、選択は多様化しています。数年間の勤務によって自己の専門分野・興味が定まってきている場合には、それに応じて出願先を選択することになります。卒業生からの話を聞くことも重要です。米国内でも住環境、交通の便、物価など全く異なりますので、よく下調べをする必要があります。

また、ロースクールによって学期のシステムとしてセメスター制(秋学期・春学期)を採用している場合とクォーター制を採用している場合があり、開始時期や終了時期が異なります。また、セメスター制であっても、ウィンターターム(冬学期)の有無が分かれるなど多様です。特にクォーター制のロースクールの場合、卒業式の時期が遅くなりBar Examの準備との関係で配慮が必要になることがあるので注意しましょう。

大手法律事務所に勤務していれば、出願先のロースクールに自分の事務所から例年何名程度合格しているのかといった情報や当該プログラムでの日本人学生の人数は把握できると思います。一般的に、多くのLL.M.プログラムでは、学生の多様性を確保するために国(地域)ごとに定員枠を設け、当該枠内で更に枠(裁判官、官僚、研究者、弁護士、(特定の)企業、日本のロースクールからの交換留学生など)を設けています。これらの枠は緩やかな場合もあれば、厳格にほぼ固定されている場合もあり、過去の傾向以外には知る手掛かりはありません。審査側としてみれば、多様性の確保及び出願者間の比較を容易にするため、国や地域ごとに分断して審査することは合理的ですので、何らかの枠が存在すると考えておくのが無難でしょう。そのような枠があると仮定すると、例えば大手法律事務所から留学する場合には、当該事務所から同一年に出願する者及び同一カテゴリーに属する者(他の大手法律事務所からの出願者)が競合相手となります。したがって、希望するプログラムへの入学を果たすためにPersonal
Statementの内容などで差別化を図ろうとする場合には、このことを念頭に置く必要があります(周りと同じような内容を書くのでは埋もれてしまう可能性があるということ)。

(2) ロースクール・ランキング
ロースクールの知名度も進学先の考慮要素になり得ます。特に米国では出身ロースクールが日本以上に一定の意味を持っており、今後米国企業・法律事務所を相手方とする仕事に従事する方にとっては、知れたロースクールでLL.M.を取得して、米国諸州の法曹資格を取得することにも一定の意義があると考えられます。米国のJ.D.プログラムに出願する学生の間では、U.S. News社が毎年公表する「Best Law Schools」のランキングが最も影響力のあるランキングとして知られており、各ロースクールも同社のランキングを非常に気にしています。J.D.の学生が就職活動(≒採用に直結するサマー・アソシエイトへの応募)を行う場合には、ランキングの高いロースクールでよい成績を収めることが有利な事情になります。

同ランキングはJ.D.プログラムについてのものですが、LL.M.プログラムについて同様のランキングが存在しないため、志願者の間でよく参照されています。各プログラムへの合格難易度も概ねこのランキングに相関しています。その他、「LLM GUIDE」の LLM GUIDE Discussion Board(掲示板)で各校の合否結果を含めて出願者による議論がされており、出願者の国籍、合否、テストスコア/GPAが公表されている場合があり、一定の傾向を把握することができます。また、日本国内では、アゴス・ジャパンが無料で提供している「出願結果参考データ」を見れば、客観的スコアや応募者の属性から見たLL.M.プログラムの合否傾向を把握することができます。大手法律事務所の留学傾向は、ジュリナビの主要法律事務所研究の各記事が参考になります。

全米のトップビジネススクールを呼称する「M7」のように、Best Law Schoolsのランキングで伝統的に常に上位に位置する14校について「T14」(Top14)と呼称することがあります。非公式でありながら法曹界では一定の認知度があり、米国の大手法律事務所の選考課程における考慮要素とされている場合があります。ただし、注意したいのは、T14の中で必ずしもそのランキング通りの序列があると認識されているわけではないということです。専攻(専門)、地理的な状況その他の事情により、どのロースクールがよいとされるかは変動します。日本の多くの法律事務所とは異なり、米国の大手法律事務所では入所時にプラクティスグループ(専門)を決め、細分化されているのが通常です(ローテーションシステムを取り入れている名門法律事務所も存在します。)。一般的には、東海岸の法律事務所では東海岸のロースクール卒業生が、西海岸の法律事務所では西海岸のロースクール卒業生が多く在籍しています。大規模な法律事務所は全米に支店を有しているため、各支店に在籍する弁護士の出身校は地理的要因に大いに左右されます。以上を前提として、以下に各校の特徴を記載します(2018年版のBest Law Schoolsのランキング順)。なお、日本人枠について言及していますが、公開されているデータはありません。学校によっては補欠合格(Waiting list)を出す場合や枠よりも多く合格させる場合もあり、年度によって変動するため参考程度にご覧ください。

  • Yale Law School (YLS)(コネティカット州ニューヘイブン市)

Best Law Schoolsのランキングが始まって以来、不動の1位を保っています。アイビーリーグの一校であり、Harvardと歴史的にライバル関係にあります。LL.M.プログラムは学者・研究者を対象としており、少なくとも近年に法曹が留学したという話は聞きません。一般にみなさんの出願の対象からは外れると思います。

  • Stanford Law School (SLS)(カリフォルニア州パロアルト市)

プログラムの規模は各10~20名程度であり、日本人枠は各プログラム1~2名程度です。また、LLMが四つの専攻(LLM in Corporate Governance & Practice (CGP) / in Environmental Law and Policy (ELP) / in Law, Science & Technology / in International Economic Law, Business & Policy )に分かれていること、書類選考通過者を対象に原則としてインタビューが実施されることが特徴です。知名度、地理的状況、環境などから人気が高いことに加えて、募集人数が少なく、極めて高い英語力が要求される米国西海岸の最難関ロースクールです。特にCGPはコーポレートロイヤーを中心として人気があり、Law, Science & Technologyは特に知財を専門とする方に人気です。CGPは、選考に際して英語力が重視される傾向があり、例外はありますがTOEFLでは110点付近の点数が望まれます。他方、Law, Science & Technologyでは英語力よりもバックグラウンド(プログラムが求める人材像への合致の程度)が重視される傾向にあります。ELPへの留学は珍しいです。International Economic Law, Business & Policy は比較的新しいプログラムですが、既に何名かの日本人の方が在籍しています。

  • Harvard Law School (HLS)(マサチューセッツ州ケンブリッジ市)

プログラムの規模は180名程度であり、日本人枠は5~6名です。アイビーリーグの一校であり、映画や書籍を通じて日本での知名度も極めて高いです。以前は10名を超える日本人が在籍していましたが、近年は非常に人数が絞られており、主に裁判官、官僚、四大法律事務所の弁護士によって占められます。固有の出願プロセスに加えて、他校には見られないPersonal Statementの課題があることが特徴です。選考に際しては弁護士の場合はGPA(学部・大学院・ロースクールのいずれも)がとりわけ重視され、特殊なバックグラウンドがない限り、トップオブトップの成績が必要となるため、Stanfordと並ぶ米国東海岸の最難関ロースクールです。修了要件として論文提出が必要です。なお、TOEFL各セクションのminimum requirementはそれほど厳格に運用されていません。

  • Chicago Law School(イリノイ州シカゴ市)

プログラムの規模は75名程度であり、日本人枠は4名程度です。企業派遣の方もみられます。必ずしも日本人枠は固定されていません。GPAと英語力が重視され、募集人数も少ないため、米国中部の最難関ロースクールです。LL.M.プログラムの責任者の方が非常に親身なことで有名で、学校との距離が近いプログラムです。法経済学で知られるほか、伝統的に金融に強く、金融法務を専門とする方々に特に人気があります。TOEFLのminimum requirement(104 overall)が最も厳格に運用されており、極めて特殊な例外を除いて、足切りとして機能しています。

  • Columbia Law School (CLS)(ニューヨーク州ニューヨーク市)

プログラムの規模は280名程度の大規模校です。日本人の枠は20名程度に至ることもあり、アイビーリーグの一校でもあることから日本での知名度も高いです。大手法律事務所の枠は各事務所1~2名です。立地もよく、各方面から大変人気があり、出願が殺到する米国東海岸の最難関ロースクールの一つです。様々なバックグラウンドの方が留学されています。T14の中では最も高いTOEFLのminimum requirement(105 overall, R/L 26, S/W 24)を掲げていますが、1、2点下回る場合であっても合格は可能です。修了要件として論文提出が課されます。近年では、場合によって電話インタビューが実施されることがあります。また、早期出願(Early Review Program)を認めています。

  • New York University (NYU) (ニューヨーク州ニューヨーク市)

プログラムの規模は400名を超える大規模校です。日本人枠は20名を超える場合もあります。マンハッタンの中心に位置する都市型キャンパスです。日本での知名度も高く、地理的にも大変魅力的です。Traditional LLMに加えて、様々な専攻により各人のニーズを捉えており、非常に人気の高い米国東海岸の最難関ロースクールです。TOEFLは100点が足きり点とされています(ただし、例外的運用あり)。特にTaxation LLMは全米で著名であり、税法を専門とする方のトップスクールとなっています。TOEFLでは100点を超えることが望ましいですが、100点未満でも合格する場合があります。IELTSのスコアでも出願可能な点が特徴です。

  • University of Pennsylvania Law School (UPenn)(ペンシルベニア州フィラデルフィア市)

プログラムの規模は120名程度です。日本人枠は5~10名程度です。TOEFLのminimum requirement (100 overall)は緩やかな運用です。アイビーリーグの一校であり、同校のビジネススクール (Wharton School)は世界的に有名です。ロースクールも伝統的に有名であり、特に会社法が有名です。また、Whartonとの連携プログラムはその知名度もあいまって特に金融/ファイナンスを専門とする方々に人気があります。また、早期出願(Early Notification)を認めています。TOEFLは100点を超えることが望ましいですが、100点未満でも合格する場合があります。なお、IELTSのスコアでも出願可能です。

  • University of Michigan Law School(ミシガン州アナーバー市)

プログラムの規模は40~50名程度です。日本人枠は5~10名程度です。伝統的にロースクールが有名であり、日本でもいくつかの法学部では同校の教科書が使用されています。修了要件(成績要件及びリサーチペーパー提出要件)がやや厳しいことでも有名です。少人数のプログラムとしてVirginia Law Schoolと並んで人気があります。TOEFLは90点以上が目安です。なお、IELTSのスコアでも出願可能です。

  • University of Virginia Law School (UVA)(バージニア州シャーロッツビル市)

プログラムの規模は50名程度です。日本人枠は1~5名程度です。自然に囲まれた美しいキャンパスです。知名度、暮らしやすさ、少人数ならではのメリットを求めるのであれば選択肢として非常に魅力的です。伝統的にロースクールが有名であり、少人数のプログラムとして非常に高い人気を誇ります。修了要件としてリサーチペーパーが必要です。TOEFLは90点以上が目安です。IELTSのスコアでも出願可能です。

  • Duke Law School(ノースカロライナ州ダーラム市)

プログラムの規模は100名程度です。日本人枠は5~10名程度です。都会ではありませんが、キャンパスは広大で美しいです。TOEFLは90点以上が目安です。IELTSのスコアでも出願可能です。

  • Northwestern Law School(イリノイ州シカゴ市)

プログラムの規模は180名程度です。日本人枠は10名程度です。選考段階で電話インタビューが実施される場合があります。ロースクールはシカゴ中心部のダウンタウンに位置する都市型キャンパスです。他のプロフェッショナルスクールとしては、シカゴ郊外のEvanstonに位置するビジネススクール(Kellogg School of Management)が世界的に有名でありキャンパスも大変美しいです。LLMとの連携プログラムも用意されています。TOEFLは90点以上が目安です。IELTSのスコアでも出願可能です。

  • University of California, Berkeley Law School(カリフォルニア州バークレー市)

プログラムの規模は180名程度です。日本人枠は5~10名程度です。カリフォルニア州では州立ロースクールのトップとして非常に知名度が高く、知的財産法務を専攻する方に特に高い人気を誇っています。Waitlistとなった場合、Waitlist内の位置付けを通知することで知られています。西海岸のロースクールを希望する場合、トップスクールとしては本校のほかStanford、UCLA、USCの4つほどしかなく、UCLAとUSCはロサンゼルスに位置するため、サンフランシスコ・ベイエリアを希望する出願者が本校に殺到して例年激戦となります。志願者の層が厚く、TOEFL100点を超えていても安心できません。IELTSのスコアでも出願可能です。

  • Cornell Law School(ニューヨーク州イサカ市)

プログラムの規模は90名程度です。日本人枠は5~10名程度です。一時期は中国からの留学生が大半を占めていましたが、近年改善傾向にあります。アイビーリーグの一校でもあり、全米で高い知名度を誇る人気ロースクールです。厳冬の街としても知られていますが、ロースクールを含むCornell大学のキャンパスは自然に囲まれた全米一美しいキャンパスともいわれており必見です。TOEFLは90点以上が目安です。IELTSのスコアでも出願可能です。

  • Georgetown University Law Center (ワシントンD.C.)

プログラムの規模は550名と大規模です。日本人枠は10~15名です。選考段階で電話インタビューが実施される場合があります。場所がら政府系機関とのつながりが強く、プログラムの内容にも公的機関との連携したものも多くみられます。将来的に国際機関等を含めたキャリアパスを目指す場合には、非常に良い選択になります。いくつかの専攻についてcertificateを取得することが可能です。TOEFLは90点以上が目安です。IELTSのスコアでも出願可能です。また、早期出願(Early Action)を認めています。

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