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刑法各論

論文ファイルから転載。論文用の知識の最終チェックに使ったもの(条文順)。
最終確認の趣旨で作ったものですので、かなり簡素化してあります。
記述はほとんど「学習コンメンタール刑法」を参考にしています。
利用価値は不明ですが、何かの参考になればGOOD




公務執行妨害罪(95)
【保護法益】
公務の適正・円滑な作用
【罪質】
抽象的危険犯
【行為】
公務員に対する広義の暴行(対人なら間接暴行も含む)
【隠れた構成要件「公務の適法性」】
行為の正当性を求める。
①抽象的権限、②具体的権限、③重要な方式の遵守
「行為当時の状況にもとづいて客観的、合理的に」判断する(判例)。

犯人蔵匿・隠避(103)
【保護法益】
国の刑事司法作用 → 捜査、審判、刑の執行等(広義)
【行為】
①蔵匿:官憲の発見・逮捕を免れるべき隠匿場所を供給してかくまることをいう。
②隠避:蔵匿以外の方法により、官憲の発見・逮捕を免れる行為をいう。
【客体】
犯罪の嫌疑によって捜査中の者、身代わり出頭のケースも含む。
理由
①蔵匿・隠避が完全に成功すれば真犯人性の認定は困難
②本罪の審理過程で真犯人性の認定は困難
③真犯人でないと確信すると故意阻却は不当
【共犯の成否】
犯人・逃走者による自己蔵匿・隠避は不可罰。類型的に見て期待可能性が乏しい。
犯人等が他人を教唆して自己を蔵匿・隠避させた場合には教唆犯が成立する。
他人を罪におとしいれるのだから期待可能性がないとはいえない。

証拠隠滅罪(104)
【客体】
①「他人の刑事事件」に関する証拠。
自己の刑事事件に関する証拠は客体にならない。類型的に期待可能性が乏しいから。他人の事件と自己の事件に共通の証拠を隠滅した場合は、もっぱら他人の利益のために行っているかどうかで決める。
②「証拠」
物証と人証。参考人の蔵匿・隠避も含まれる。共犯者も含む。
【行為】
証人が虚偽の証言をした場合は、偽証罪のみが成立する。
Q.取調べにおいて参考人が虚偽の供述をし、その内容が調書に記載された場合
証拠は、証人や証拠書類といった「証拠方法」に限られ、供述や記載内容などの証拠資料は含まない。したがって、本罪は不成立。形式的に証拠隠滅に見えても偽証罪で処罰されない場合にまで証拠隠滅罪を認めるべきではない。→ 犯人隠避罪は別に成立する。
【共犯の成否】
他人を教唆して自己の事件の証拠を隠滅させた場合は、犯人蔵匿・隠避と同様。
他人が被疑者・被告人を教唆して隠滅させたときは、正犯行為に構成要件該当性がないから犯罪不成立。

親族による犯罪に関する特例(105)
①他人が親族を教唆 → 教唆者には刑の免除はない。
②親族が他人を教唆 → 犯人が第三者を蔵匿するように教唆した場合と同様に可罰。
③犯人が親族を教唆 → 教唆は可罰。しかし、親族が任意的免除を受けるのと同様に任意的免除の適用を受ける。

放火の罪
【保護法益】
公共の安全。副次的に個人の財産。現住者・現在者個人の生命・身体・財産そのものを保護する趣旨ではない。108条は、住居であればいつ何時居住者や来訪者が中に立ち入り放火により生命・身体に危険を被るかもしれないことが考慮されている。
【公共の危険】
不特定または多数人の生命・身体・財産に対する侵害の危険。
最判H15.4.14調査官:110条1項も同様。ただし、侵害の及んだ対象が財産のみである場合、公共の危険の発生には、①財産の重要性、②一定の規模のものであることが必要。
【危険犯の分類】
①抽象的危険犯(108、109Ⅰ)
行為・結果に対する認識があれば、そこから当然に抽象的危険の発生の認識を含むことになるから、公共の危険の発生についての認識の有無にかかわらず、故意あり。
②具体的危険犯(109Ⅱ、110)
公共の危険の認識までは不要(判例)。
理由は、
ア 結果的加重犯 
イ 108、109Ⅰの未必の故意との区別困難
ウ 基本的行為は、単なる自己物の損壊ではなく、放火である点を軽視できない。
【焼損】
火が放火の媒介物から客体たる目的物に移り、これが独立して燃焼を継続しうる状態に達したときに焼損(既遂)。この時点で類型的に公共の危険が発生するといえるし、客体そのものの状態によって証明しやすく既遂時期を明確化できる。(独立燃焼説)。もっとも、単なる着火ではなく、燃焼継続性を含意する。
【現住性】
犯人以外の人が現に起臥寝食の場所として使用していることを意味する。間断なく現在している必要はない。
【現在性】
犯人以外の者が客体に現に存在すること。
【建造物の一体性】
建造物とは、家屋その他これに類似する工作物であって、土地に定着し、人の起居出入りに適する構造を有する物(否定例:エレベーター)をいう。
もっとも、全体として建造物の現住性・現在性が認められるならば、現住性・現在性がないように見える構成部分に対する放火であっても、現住建造物に対する放火になる。住居に対する放火により人の生命・身体に危険が生ずるため、108条は重く処罰されている。
①物理的一体性+(②機能的一体性+③延焼の予見可能性)
かっこ内はあくまで①の補完的要素。
【自己所有物】
副次的に考慮される個人の財産的利益の侵害部分の不法評価が欠けるから、1項よりも法定刑が軽くなっている。
【建造物以外等放火】
公共の危険は、108、109Ⅰに規定する建造物等に対する延焼の危険のみではなく、不特定または多数者の生命、身体、または建造物等以外の財産に対する危険も含まれる。
【延焼】
犯人の予期外の客体に火が燃え移り、これを焼損(独立燃焼)すること。


住居侵入等(130)
【保護法益】
住居者や管理者の管理・支配権(住居権)
居住者や管理者等、当該住居等の管理・支配につき正当な利益を有する者に平等に認められる。
【罪質】
継続犯。住居侵入状態は滞留する限り継続。別に不退去罪は成立しない。
【侵入】
住居権者ないしはその委託を受けた管理者の現実の意思ないしは推定的意思に反する立ち入りをいう。考慮要素は・・・
①建造物の性質、②使用目的、③管理状況、④管理権者の態度、⑤立入目的

文書偽造の罪
【保護法益】
人の意思・観念を永続的な形で固定した重要な証拠の一つであり、社会生活上頻繁に活用されている。証拠としての文書は、社会において法的・事実的関係を構築する基盤として重要な機能を果たしており、その意味で、公共の信用の対象となっている。これを保護する。
【文書】
「文字または文字に代わるべき符号を用い、永続すべき状態において、物体上に記載された意思または観念の表示」(判例)。
【作成者と名義人】
作成者とは、一般に、文書に表示された意思・観念が精神的に由来する者をいう。
文書を事実として作成した者ではない(代理の場合を除外するテク)。
名義人とは、文書から看取される作成者をいう。実在することを要しない。
※文書に記載された氏名のみならず、①他の記載、②相手方の関心(誰だと思って信用するのか)、③文書の使用態様、④文書の性質・機能から判断する。
【原本性】
フォトコピーの問題。原本と同一の社会的機能+信用性+原本と同一の意識内容を保有。
作成権限や有印性も問題となる。
【有形偽造とは】
名義人と作成者の人格の同一性を偽ること。
【行使】
偽造文書を真正な文書として、または、虚偽文書を内容真実の文書として使用すること。
【行使の目的】
不真正文書を真正な文書と誤信させ、または虚偽文書を内容真実の文書と誤信させる目的のこと。
【虚偽公文書偽造罪の間接正犯(私人等)】
非公務員または作成権限のない公務員による間接正犯は無理。身分を欠く以上、その行為について刑法156条の構成要件該当性を肯定することができない。
【私文書偽造罪】
実社会生活に交渉を有する事項を証明するに足る文書(判例)。
【問題となるもの】
①通称名の使用と偽造、②偽名・仮名の使用と偽造、③肩書きの冒用、④代理名義の冒用、⑤名義人の承諾と偽造

偽証罪(169)
【保護法益】
国の審判作用の適正。司法作用に限られず、行政機関による審判作用も。
【行為】
虚偽の陳述。虚偽とは、証人の記憶に反すること(判例)。
【罪質】
抽象的危険犯。既遂時期は事前宣誓=陳述全体の終了、事後宣誓=宣誓終了時。
【共犯】
被告人が証人を教唆した場合、偽証教唆犯が成立する。
※刑訴法上、被告人には証人適格がなく、偽証で処罰されないことから問題となる。
虚偽告訴罪(172)
【行為】
虚偽の申告。虚偽とは、客観的事実に反すること。申告した事実が客観的事実に一致していれば、捜査権や懲戒のための調査権の行使等の侵害はない。

公然わいせつ罪(174)
【保護法益】
日本の性秩序ないし健全な性風俗の維持
【罪質】
抽象的危険犯
【行為】
①「公然」:不特定または多数人の認識しうる状態。
②「わいせつな行為」:行為者またはその他の者の性欲をいたずらに刺激興奮または満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいう。

わいせつ物頒布等(175)
【保護法益】
日本の性秩序ないし健全な性風俗の維持。
【行為】
「公然陳列」:不特定または多数人の観覧しうる状態におくこと。
【故意】
問題となる部分の存在とそれを頒布することの認識があればよい。わいせつ性の認識はいらない。意味の認識があればよい(通説)。
【共犯関係】
頒布、販売の相手方や観覧者は共犯にはならない。

強制わいせつ(176)
【保護法益】
個人の性的自由
【客体】
男子も
【故意】
傾向犯。主観的違法要素。行為者に性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図が必要(判例)。

強姦罪(177)
【保護法益】
女子の性的自由
【主体】
身分のない女子も共同正犯となりうる。
【客体】
女子
【暴行・脅迫】
被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度。

公務員職権濫用罪(193)
【罪質】
結果犯
【職権】
公務員の一般的職務権限のうち「職権行使の相手方に対し、法律上・事実上の負担ないし不利益を生ぜしめるに足りる特別の職務権限」をいう。
【濫用】
「実質的、具体的に違法、不当な行為」(判例)。権限内の行為であるかのような外観を呈しつつ、実際には職務行為に当たらない行為。

賄賂罪
【保護法益】
①公務員の職務の公正と②これに対する社会一般の信頼。
【賄賂】
公務員の職務ないし職務と密接な関係を有する行為に対する報酬全般。公務と対価関係にあることが必要。「いやしくも人の需要、欲望を満たすに足りる一切の利益」(判例)。
【職務】
公務員がその地位に従い公務として取り扱うべき一切の職務。一般的職務権限に属していれば足り現に具体的に担当している必要はない。職務行為自体の正当・不当を問わない。
【職務密接関連行為】
保護法益から導く。「公務員が法令上管掌する職務のみならず、その職務に密接な関係を有するいわば準職務行為又は事実上所管する職務行為に関して賄賂を収受すれば刑法197条の罪は成立する」(判例)。
【主体】
公務員のみ
【請託】
職務に関する一定の行為の依頼。明示・黙示を問わず、依頼された職務の正当・違法を問わないが、一般的な利益取り扱いの依頼では足りない。

傷害罪(204)
【傷害】
人の生理的機能に障害を与えること。
【故意】
暴行の故意で障害を負わせた場合も含む。

傷害致死罪(205)
暴行罪の二重の結果的加重犯の場合も含む。

同時傷害の特例(207)
【意義】
被害者は現に傷害を負っているのに、傷害の責任を問われる者が1人もいないのはおかしい。「疑わしきは被告人の利益に」の原則の重大な例外。
【要件】
共犯類似現象。すなわち、暴行が同一機会に行われたことが必要。時間的・場所的同時性、接着性が必要。

暴行罪(208)
【保護法益】
身体の安全(感)
【暴行】
人の身体に対する不法な有形力(物理力)の行使。

危険運転致死傷(208の2)
【故意】
基本犯となる危険運転行為についての故意が必要。

業務上過失致死傷罪(211条1項前段、2項)
【加重根拠】
一定の業務に従事する者には通常人よりも高度な注意義務が課せられているから。
【業務】
①本来、人が社会生活上の地位に基づき
②反復継続して行う行為であって、
③その行為が他人の生命、身体等に危害を加えるおそれがある
※一回限りの行為は除くが、初めてする行為であっても反復継続する意思があればよい(判例)。判例はゆるゆるで認める。

遺棄の罪
【保護法益】
被遺棄者の生命・身体
【罪質】
抽象的危険犯
【行為】
①遺棄
保護を要する者を保護のない状態におくことでその生命・身体を危険にさらすこと
 (1)移置
 被遺棄者を他の場所に積極的に移動させる(安全・危険な場所→危険な場所)場所的移転。
 (2)置き去り
 場所的移転を伴わず、被遺棄者を危険な場所において立ち去る。
②不保護
場所的離隔を伴うことなく、要保護者が生存していくのに必要な保護をしない。
【主体】
保護責任者とは、要保護者の生命・身体の安全を保護すべき法律上の義務を負う者をいう。保護責任と作為義務を同様のものとしてとらえる。
【保護責任者遺棄罪の共犯関係】
移置による遺棄=217との関係で不真正身分。置き去りによる遺棄+不保護=真正身分。

逮捕・監禁罪(220)
【保護法益】
場所的移動の自由。可能的自由をいう。
【罪質】
継続犯
【行為】
①逮捕
 身体を直接拘束して移動の自由を奪うこと。
②監禁
 一定の場所から脱出できなくすること。閉鎖空間であることを要しない。

脅迫罪(222)
【保護法益】
法的安全感
【客体】
自然人に限る。法人には不成立。
【害悪】
行為時の具体的事情の下で一般人を恐れさせうるものであることを要し、それで足りる(判例)。
①害悪は告知者による支配が可能なものとして示される必要がある。
②害悪は違法であることを要する。
③方法は問わない。

強要罪(223)
【保護法益】
意思決定(形成)の自由+意思活動(実現)の自由。
【客体】
自然人+法人
【暴行の程度】
行為を強要するに足りる程度
【結果】
義務なき行為を強要すること。義務は法的なものに限らず、実質的判断は違法性阻却事由として考慮する。Ex.ぶん殴ってお年寄りに席を譲らせたケース。

未成年者略取および誘拐罪(224)
【保護法益】
①被拐取者の自由+②監護権者の監護権
【行為】
①略取
暴行・脅迫を手段として、人を保護されている生活環境から離脱させ、自己または第三者の事実的支配下に置くこと。
②誘拐
欺罔・誘惑を手段として、人を保護されている生活環境から離脱させ、自己または第三者の事実的支配下に置くこと。
※欺罔は、虚偽の事実を持って相手方を錯誤に陥らせること
※誘惑は、欺罔まではいかないが、甘言をもって相手方を動かし、その判断の適正を誤らせること
【親権者、監護権者によるとき】
違法性阻却事由となるかが問題。
①監護、養育上の必要性、②行為態様、③未成年者の年齢、④略取後の監護・養育の見通し

営利目的等略取および誘拐罪(225)
【営利】
財産上の利益を得、または第三者に得させること。債務の弁済も含む。利益は、拐取行為それ自体から得るのでなくとも(報酬)、拐取後に得るもの(被拐取者の労働力の搾取)でもよい。 
【結婚】
事実婚も含む。

身の代金目的略取等(225の2)
【目的】
「近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者」
単なる同情から被拐取者の安否を気づかうに過ぎないとみられる第三者は含まれないが、被拐取者の安否を親身になって憂慮するのが社会通念上当然と見られる特別な関係にある者はこれに含まれる(判例)。

解放による刑の減軽(228の2)
【趣旨】
刑事政策目的
【安全な場所】
救出されるまでに具体的かつ実質的な危険にさらされるおそれのないことを意味し、漠然とした抽象的危険や単なる不安感・危惧感を伴うということだけで安全でないとはいえない(判例)。

名誉棄損罪(230)
【保護法益】
外部的名誉、社会的評価。自己に対する評価を独自に刑法的保護の対象とするのは疑問。
【客体】
自然人+法人
【公然】
不特定または多数人が認識可能な状況をいう。特定少数人に事実を告げた場合であっても、間接的に不特定または多数人に伝播し、認識される可能性があればよい。
【名誉棄損】
抽象的危険犯。社会的評価を害するに足る行為。

公共の利害に関する場合の特例(230の2)
【意義】
表現の自由が不当に制約されるのを防ぐ。
【事実の公共性】
公共の利害に関すること。私人の私生活上の行状であっても、そのたずさわる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度によってはあたりうる。
【目的の公共性】
専ら公益を図ることにあったかどうか。適時の際の表現方法や事実調査の程度等は、ここで判断する。
【真実性の証明に失敗したとき】
事実が真実であることと、真実であると証明されることは別の問題。誤信について、確実な資料、根拠に照らし相当の理由がある場合、故意が否定される(判例)。違法性阻却事由と解し、その錯誤を事実の錯誤とみて、故意を阻却させる。
違法性阻却事由となるのは、
× 事実が真実であったこと
〇 事実が証明可能な程度に真実であったこと
①真実性を認定するに足りるだけの客観的な資料・根拠に基づいて誤信
 真実性を基礎づける資料の事実判断を誤ったもの → 事実の錯誤
②合理的根拠なしに軽率に妄信 
 真実性の評価自体を誤ったもの → 違法性の錯誤

侮辱罪(231)
【保護法益】
外部的名誉
【行為】
名誉棄損罪との違いは事実の適示の有無。

信用棄損及び業務妨害罪(233)+威力業務妨害罪(234)
【信用】
経済的な側面における人の社会的な評価を意味する。単なる支払意思、能力に対する社会的信頼だけではなく、販売される商品の品質に対する社会的信頼も含む。
【業務】
人が社会生活を維持する上で。反復継続して従事する仕事をいう。営業として収入を得る必要はない。
【業務と公務の関係】
強制力を行使する権力的公務と非権力的・私企業的公務に分け、後者のみ業務に含ませる。暴行・脅迫を手段とするときは、非権力公務についても公務執行妨害成立。
※偽計の場合に区別するかは場合による。
【結果】
信用棄損罪は具体的危険犯。経済的側面における人の社会的評価を低下させるおそれのある状態を生じさせること(実害の発生は不要)。
業務妨害罪も危険犯。業務妨害行為があれば足りる。
【威力】:人の意思を制圧するに足りる勢力を用いること。暴行・脅迫を含むが、それに限らない。

窃盗罪(235)
【保護法益】
占有説。所有と占有の分離が進んだ現代社会においては、物に対する占有それ自体も保護に値するのであり、また、法的な手続を離れて自力救済を行うのは原則として禁じられるべき。
【客体】
財物は動産に限られる。有体物に限られる。
【占有の有無】
窃盗罪と横領罪の区別。財物に対する事実上の支配を意味する。
①「占有の事実」(社会的な見地から適当な方法で排他的管理)
②「占有の意思」(包括的に支配・管理しようとする意思)
【窃取】
他人の占有する財物をその者の意思に反して自己または第三者の占有下に移すこと。
占有侵害+占有移転。
【不法領得の意思】
使用窃盗を不可罰とし、毀棄隠匿罪と区別する。
「①権利者を排除し②他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思」(判例)。
反対:行為者がその財物を使用するなら、それをどのように利用しようとも領得はありうるのであり、目的によって行為の危険性に大きな質的差異は生じない(佐伯)。

不動産侵奪罪(235の2)
【侵奪】
他人の占有する不動産をその者の意思に反して自己のまたは第三者の占有の下に移すことである。事実上の支配の移転。占有侵害+占有移転の要素からなる。従前の占有状態を質的に変化させ、新たに自己が支配するといえるような占有状態を生じさせた場合は侵奪となる。

強盗罪(236)
【財物】
所有権移転に意思表示を伴う不動産は、財物ではなく、2項の客体になる。
【財産上不法の利益】
利益が不法ではなく、利益獲得が不法という意味。
【暴行または脅迫】
相手方の反抗を抑圧し、財物ないし財産的利益を奪取すること。
【強取】
財物に関する相手方の占有を排除して、これを自己の占有下に移すこと。
【目的】
不法領得の意思が必要。

強盗予備罪(237)
【目的】
事後強盗、昏睡強盗の目的についての予備も含まれる。

事後強盗罪(238)
【趣旨】
窃盗犯人が盗品の取り返しを防ぐために行う暴行・脅迫は、暴行脅迫を用いて財物を奪取した強盗罪に匹敵する財産犯であると考えられたため強盗として論ずるとした。
【行為主体】
身分犯説、結合犯説
【暴行・脅迫】
被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のもの。窃盗の機会の継続中でなければならない。窃盗の現場ないしこれと時間的・場所的に近接した時刻および場所で、その窃盗について財物の取り返しや逮捕等を試みた人物ないし目撃者と思われる人物に対して行われたことが必要。
→ 書かれざる構成要件。
最判H16.12.10調査官:「時間的・場所的・人的な相関関係において、被害者側からの追求可能性が継続しているか否か」(安全な場所に離脱したか)
※窃盗の犯意の継続や家人の認識は、いずれも機会継続性の積極的要素とはならない。
【目的】
行為者の問題。相手方が取り返しや逮捕の目的を持っていたことは要しない。
【実行の着手・既遂】
暴行脅迫を開始したときに着手あり。相手方の反抗を抑圧するに足りる程度に達したとき既遂となる。窃盗行為が未遂の場合には、強盗との均衡上、事後強盗未遂となる。
【強盗として論ずる】
強盗と同様に扱うこと。
【共犯】
真正身分犯、承継的共同正犯

強盗致死傷罪(240)
【趣旨】
強盗の機会に被害者に死傷の結果が生じることが多いことから、被害者保護のために、強盗罪の加重類型として設けられたものである。死傷という加重結果について故意がある場合も含む。未遂既遂の判断では、死傷結果の有無が基準となる。
【実行の着手・既遂】
①死傷結果の発生によって成立。死傷結果について故意のない場合は、強盗自体が未遂に終わったときに未遂規定の適用がある。
②死傷結果について故意のある場合には、傷害ないし殺害行為が開始された時点が実行の着手。財物奪取が未遂でも、死傷結果が発生すれば既遂となる。

強盗強姦及び同致死罪(241)
【よって死亡させたとき】
死亡結果について故意のある場合は含まれない(判例)。
強盗殺人罪+強盗強姦罪の観念的競合。
【その他】
致傷の規定はない。致傷は量刑事情として考慮すれば足りる。

他人の占有等に係る自己の財物(242)
占有説からは、注意規定である。

親族相盗例(244)(※強盗には適用なし)
【趣旨】
親族間の財産紛争については原則的に国家による介入を制限し、当事者同士の解決にゆだねる。
【刑の免除の根拠】
「法は家庭に立ち入らない」とする政策的理由にもとづくものであって、本条1項は、一身的刑罰阻却事由を定めたもの。だから共犯には影響を及ぼさないし、錯誤も問題とならない。

詐欺罪(246)
【保護法益】
個人の財産
【財物】
他人の占有する財物。動産のほか不動産も含まれる。
【財産上不法な利益】
消極的な利益も含まれる。一時債権者の催促を免れたからといって直ちに財産上の利益を得たものと評価するわけではなく、債権者の側に特段の情況があるといった観点から限定的に考える。
詐欺罪は危険犯ではないから、債権の実現が相当程度困難になった等、現実的に財産上の利益の損害があったと評価できなければダメ。
※2項犯罪の利益移転の確実性=何者であるか不明であるときは、ひとたび逃げおおせれば、回収は事実上不可能といえる。
【客体】
相手方は自然人。窃盗罪との区別に気をつける(機械相手は窃盗罪)。
【欺罔行為】
相手方を錯誤に陥れて財産処分を誘発し、財産や財産上の利益を取得する手段となるようなことをいう。不作為も含むが、真実を告げる作為義務が必要。
【交付】
相手方の錯誤にもとづく処分行為により、財物の占有が移転すること。財産上不法の利益が移転すること。「任意」に、「直接」に、「移転」すること。三角詐欺については、三角恐喝のところ参照。
【交付意思】
意識的処分行為が必要であるが、緩やかに解するのが判例。
※無意識的処分行為説=結果として利益の喪失・移転に至ることになる外形的事実(逃げようと思えば逃げられる状態に置く)の認識があればよい。
【実行の着手】
欺罔行為を開始した時点
【誤振り込みと詐欺】
銀行のシステム(組戻し等)を正確に理解する。
【既遂】
①一連の因果経過をたどることが必要。②法文に明記されていない既遂要件として、財産上の損害が必要。財物・利益の交付(喪失)自体を財産的損害とする。個別財産に対する罪だから。原則として、「仮に本当のことを知っていたら財物を交付しなかったであろう」という関係が必要。
【2項詐欺(無賃乗車)】
①運転行為というサービス提供時に財産上不法な利益を得たといえる(既遂)。料金メーターを作動させた時点。
②「ちょっと電話をかけてくる。」というのも新たな欺罔行為。無意識的処分行為の話。
③気づいた運転手に暴行すると、2項強盗の成否が問題となる。
※クレジットカード詐欺では、他人名義のとき(普通に1項詐欺)と自己名義(三角詐欺)とで論点把握が異なるので注意。売上票へのサインは、私文書偽造罪成立。

電子計算機使用詐欺(246の2)
【趣旨】
人を対象としないため詐欺罪に当たらず、利益窃盗で不可罰となる類型。処罰の隙間を埋めるために制定された。
【行為】
虚偽の情報とは、電子計算機によるシステムにおいて予定されている事務処理の目的に照らして、その内容が真実に反する情報をいう。電磁的記録は、事実上、当該財産権の得喪・変更が直接生ずることになるもの限る。
【財産上の利益】
人による処分行為を要しない。

背任罪(247)
【趣旨】
背任とは、他人との間の信任関係に違背する財産的加害である(背信説)。法律上の処分権限ある者による権限濫用ではない。事実行為を含めて、本人の財産を擁護する義務あり。
【主体】
代理権を有する者には限定されない。事務処理者。学説上は、ある程度包括的ないしは裁量的なものであることが必要とされている。
【他人の】
自己の事務にすぎないものについては本罪は成立しない。
①二重抵当の場合に登記完了まで抵当権者に協力する任務は、主として他人である抵当権者のために負う。
②株式を目的とする質権設定者が株式の担保価値を保全すべき任務は、他人である質権者のために負う。
【任務違背】
法律行為には限られない。事務処理者としてなすべきものと法的に期待されるところに反する行為。本人にとって実質的に不利益な行為。
ex.適示の仕方
「B社の融資担当者は、同社の貸出規定等の定めを遵守し、貸付金の回収に万全を講ずるなど、同社のために職務を誠実に実行すべき任務に背き・・・」
【結果】
本人に財産上の損害が生ずれば既遂。ただし、財産上の損害の有無は本人の財産状態を全体として評価することによって判断する。
【図利加害目的】
背任罪の違法性の限界づけのために要求される要件。
本罪の目的は、本人の利益を図る目的がないことを裏から示す要件であるとみて、図利加害の点の認識の存在かつ本人図利の動機の不存在を含むと考える(消極的動機説)。意欲ないし積極的認容までは要しない。
【不正融資の相手方の共同正犯】
A:支配的な影響力を行使することもなく、また、社会通念上許されないような方法を用いるなどして積極的に働きかけることもなかったとしても、①任務違背+財産上の損害について高度の認識を有しており、②融資担当者の図利目的を認識して、融資に応じざるを得ない状況にあることを利用しつつ、迂回融資の手順をとることに協力する等した場合は、成立。
B:会社のへの依存関係を利用して取引を成立させた+偽造鑑定書のケースで、成立。
ここでの問題の所在は、2点。
①非身分者(相手方)は、身分者、本人とは利害関係が相対立する。自己の利益を図るための行為は本人の不利益を図ることになり、図利加害目的ありとなりやすい。
②背任の実行行為を専ら身分者が行い、通常、非身分者が関与しないところで行われるので、「任務違背」「損害」について、身分者と同様の認識困難。

そこで、融資担当者と相手方との間に経済的利害が相対立する緊張関係が保たれている限り、特別背任の共謀は認めない。何らかの理由によりこの緊張関係が失われるに至った場合に、特別背任の共謀を認める。

判例は、
①任務違背、財産上の損害について高度の認識
→ 補完要素にすぎない。支配的な影響力or社会通念上許されないような方法で積極的に働きかけた事案では①は不要。
②融資担当者の自己保身等の図利目的認識+融資に応じざるを得ないことを利用
→ 経済的関係を内容とするものであり、実体面の核心となる事情。他の要素と比べて重要度高い。
③迂回融資の手順に協力
→ 補完要素。不正融資の徴表の一種。

恐喝(249)
【財物】
他人の占有する財物。動産のほか不動産も含まれる。
【財産上不法の利益】
有体物以外の財産的権利・利益。
【恐喝】
暴行または脅迫により相手方をその反抗を抑圧しない程度に畏怖させ、財物の交付等の財産的処分を要求すること。反抗抑圧しないという点で強盗罪と区別される。
【交付させた】
相手方の瑕疵ある意思に基づく処分行為により財産上不法の利益が移転すること。任意の交付があったといえなければならない。「三角恐喝」も成立可能であるが、その場合は、被恐喝者に被害者の財産権を処分する権能・地位が存在することが必要である。交付の相手方は第三者でもよい。
【財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた】
権利行使と恐喝。違法性阻却の問題。
【未遂・既遂】
一般人が畏怖する程度のものであれば足りる。被害者が現実に畏怖したかは問わない。

(単純)横領罪(252)
【趣旨】
不法領得の意思を実現するすべての行為(領得行為説)。
※たとえ自宅での作業のための資料の持ち出しが許容されていたとしても、不正利用目的での持ち出しは、不法領得の意思の発現行為となる。
※委託物横領罪とは、委託者との信頼関係を損なう点にその本質が存在するとして、行為者その占有する物についてその権限を越えた行為をすることが横領となるとの見解もある(越権行為説)。
【他人の物】
他人の「所有する」物である。
【自己の占有】
占有とは、事実上または法律上、物に対する支配力を有する状態をいう。処分可能性があれば、法律上の支配力も含む。
【行為】
「委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする」(判例)。
※銀行のATM内の預金を勝手に使う行為では、必ず(業務上)横領罪の成否を検討する。
【その他】
未遂処罰はしない。
【横領後の横領】
肯定説
【不法原因給付と横領】
肯定説
【二重譲渡と横領】
背信的悪意者説。第二買主は、①65条(共同正犯)、②単純悪意かどうか、という視点で処理。
【背任罪との関係】
①自己の利益を図る:横領罪
②第三者の利益を図る:自己の名義あるいは計算→ 横領罪
               本人の名義あるいは計算→ 背任罪
結局は、行為者がその権限を逸脱(横領)したか、あるいは濫用(背任)したか。
「客体が財物で財物を処分する一般的権限を有しながら対内的信任関係を破壊して財物を不法に処分した場合」に問題となる。権限の逸脱であり、本人の名義・計算なら背任罪になるはずだが、「委託の趣旨からおよそ許されない場合」には、横領罪が成立する(判例)

業務上横領罪(252)
【趣旨】
二重の身分
【共犯関係】
占有者に非占有者が加功→65Ⅰで横領共犯が成立
業務上占有者に占有者が加功→65Ⅱで横領罪の刑が科される。
業務上占有者に非占有者が加功→65Ⅰで業務上横領の共犯、65Ⅱ出横領の刑を科する(判例)

遺失物等横領(254)
【趣旨】
誰の占有にも属していない、または委託に基づかず行為者が占有する他人の物。誘惑が強いため刑が軽くなっている。

盗品等に関する罪
【保護法益】
財産罪の被害者が被害物に対して有する回復請求権(追求権)。本質は、①被害者の追求権の実現を困難にすることにある(+②本犯助長的・事後従犯的性格も考慮)
正当な理由のない、財産的・経済的負担を課されることなく返還を請求しうる権利。
【財産に対する罪】
注意する。
【当たる行為】
犯罪として成立している必要はない。
【物】
権利・利益は含まれない。不動産は含まれる。
【領得された物】
本犯によって直接領得された物。盗品等の代替物(盗品を売却して得た金銭など)は客体ではない。
【追求権説】
客体は追求権の対象物である必要がある。善意取得、加工、不法原因給付などの場合には追求権がなくなるため不成立となる。
【有償の処分のあっせん】
あっせん自体の有償・無償を問わない。あっせん行為をすれば、有償処分あっせん罪は成立する。
あっせんとは、「周旋」と「媒介」。盗品の売却委託を受けた者が盗品性を認識して第三者に売却した時は、①本罪と②第三者に対する詐欺罪が問題となる。
【故意】
盗品性の認識が必要。未必的で足りる。

毀棄及び隠匿罪
【毀棄・損壊】
財物の効用を害する一切の行為を含む。効用の侵害とは、事実上もしくは感情上その物をして再び本来の目的のために使用することができない状態にすることをいう。
基準は、①行為態様・程度、②建造物の用途・機能、③原状回復の難易などを総合考慮。
【器物損壊罪(261)の対象】
他人の物。動産+不動産。

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genre : 学問・文化・芸術

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No title

ものすごい価値がある資料ですね!
私はまとめるの下手なのでこのような資料はとてもうれしいです!
私もぜひ参考にさせてください!
とても貴重な資料をこのようにネットにのせていただいてありがとうございます!!
私も将来masoさんのように資料を載せられるようがんばります!

No title

ゆっきーさん

コメントありがとうございました!
直前期のまとめということもあって、不十分なところも多々ありますが、
何かの参考になれば幸いです。
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