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刑事訴訟法

刑事訴訟法について論述ファイルより転載手書き風シリーズ星まとめ部分がかなり少なかったので、ロー生活で作っていたノートも加えて形式を統一したものをアップします。ご参考まで♪




基本原理
①迅速な真実の究明、適切な処罰 ⇔ ②被疑者・被告人の利益を守るための適正手続保障

当事者主義的訴訟構造
被告人の主体性。検察官も一方当事者。裁判所は中立・公平な立場に立つ。
256Ⅵ、298①、312、248

捜査
捜査とは、犯罪の嫌疑があるときに、公訴の提起・追行のため、犯人の身柄を発見・確保し、証拠を収集・保全する行為をいう。→ K=刑訴189Ⅱ「犯罪があると思料するとき」
※端緒となるもの
投書、報道、被害届、自首(245)、職質(警職2Ⅰ)、現逮(212Ⅱ)、告訴(230~)、告発(239)など

職質→所持品検査
職質(警職2Ⅰ)

「口頭質問と密接関連」「職質の効果アップの必要性・有用性」から
付随行為として許される「場合がある」。
原則:任意だから承諾必要
例外:承諾なくても「具体的事情のもとで相当と認められる限度」
視点は、①必要性、②緊急性、③侵害法益⇔公共の利益

強制処分
197Ⅰ但:人権侵害の危険性の高い処分が可能な場合を法定されたものに限ることによって、基本的人権の保障を全う(1)する。立法府によるコントロール。

「特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段」(判例)
視点は、①個人の意思を制圧し、②身体・住居・財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為「など」
※刑訴法に根拠規定を置き+令状主義によって保護する必要のあるほど重要な権利・利益か。

任意処分として許されるかどうか
無限定ではない。
「具体的な状況のもとで相当と認められる限度」
視点は、①必要性、②緊急性など

※写真撮影・ビデオ撮影
性質を個別に検討。
撮影されない自由(憲13の趣旨)⇔犯罪捜査という公共の福祉のために警察に与えられた国家作用
218Ⅱのほか、
①令状や同意がなくても、②犯罪発生の相当高度の蓋然性+③証拠保全の必要性・緊急性+④手段の相当性

任意同行→197・198・223取調べの事例
1 警職法2Ⅱ
2 刑訴197Ⅰ本文
(1)実質的逮捕に当たるか(強制処分法定主義)
 視点は、
  ①取調べの必要性
  ②態様
  ③被疑者の対応
  ④逮捕状の準備
  ⑤期間制限の遵守
  ⑥緊急逮捕の要件具備の有無
(2)任意取り調べの限界
  「社会通念上相当と認められる方法ないし態様及び限度」(判例)
 視点は、 
  ①事案の性質
  ②容疑の程度
  ③被疑者の態度
※さらに、その後、別件逮捕が疑われるときは、
(3)余罪取調べの限界を考える。
 視点は、
  ①本罪と余罪の関係
  ②罪質・軽重
  ③余罪の嫌疑の程度
  ④取調べの態様

おとり捜査
1 意義
捜査機関又はその依頼を受けた捜査協力者がその身分や意図を相手方に秘して犯罪行為を実行するように働き掛け、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕等により検挙するもの。
2 考え方
強制捜査にはあたらない。
任意捜査として許される可能性あり。
視点は、
①直接の被害者の有無
②通常の捜査方法による犯罪摘発の難易
③機会があれば犯罪を行う意思があるとの疑いの有無 など

強制捜査総論(二大原則)
1 強制処分法定主義
強制処分法定主義とは、強制処分・捜査は、刑訴法に特別の定めがある場合でなければすることができないことをいう(197Ⅰ但)。
趣旨:権侵害の危険性の高い処分が可能な場合を法定されたものに限ることによって、刑訴の目的たる基本的人権の保障を全う(1)する。立法府によるコントロール。
2 令状主義
令状主義とは、強制処分をするには、権限のある司法官憲の発布する令状によらなければならないことをいう(憲33・35)。
趣旨:裁判官に強制処分の理由と必要性を審査させることによって、刑訴の目的たる基本的人権の保障を全う(1)する。

例外:
①現行犯逮捕、準現行犯逮捕、緊急逮捕
②逮捕に伴う捜索・差押え 

採尿
1 任意提出 → 領置
2 不提出 → 強制採尿 ※カテーテルを用いて強制的に採取する
(1)諸事情総合考慮の上、「最終手段として、適切な法律上の手続によればOK」(判例)
(2)やり方
捜索差押令状(218Ⅰ)+医師により医学的に相当な方法によって行われるとの条件(218Ⅴ準用)
・尿はいずれ体外に排出される無価値物
・各種強制処分にも同様の精神的・肉体的苦痛
(3)令状目的達成のため、採尿場所への強制連行もOK(判例) 裁判官の審査あり。
cf.
強制採血 → 鑑定処分許可状(225Ⅰ)+身体検査令状(218、直接強制のため)
嚥下物の採取 → 捜索差押令状+下剤等は「その他必要な処分」(222Ⅰ、111Ⅰ) 
レントゲンのケース → 検証許可状
※採取物の違いから説明する。

逮捕
1 通常逮捕(199
 (1)必要性(199Ⅱ但、規143の3)
 (2)被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(199Ⅰ)
 (3)逮捕状(憲33) → 呈示(201Ⅰ)
2 緊急逮捕(210)
令状主義の例外とされる趣旨:憲33の趣旨 → 210の厳格な要件のもとであれば令状主義の精神に反しないため。
 (1)重大犯罪
 (2)嫌疑の充分性
 (3)急速を要し、令状を求めることができない
 (4)逮捕理由告知
 (5)事後令状請求
3 現行犯逮捕(213)
令状主義の例外とされる趣旨:犯人による特定の犯罪の実行が明白で、誤認逮捕のおそれがなく、不当な人権侵害とはならないため。
 (1)ア 現に罪を行い or 罪を行い終わった者
    イ 判断基準
    ①犯罪と逮捕行為との時間的接着性、その内容として場所的接着性
    ②犯罪と犯人の明白性
    (③必要性)
※通報を受けたKの判断
逮捕の現場における客観的・外部的状況等から、逮捕者自身においても直接・明白に覚知しうる場合であることが必要。V供述のみしかないときは現行犯逮捕はできない。緊急逮捕で対応すべき。
4 準現行犯逮捕(212) 
令状主義の例外とされる趣旨:犯人であることが明らかであることを一定の兆表にかからせ、現行犯逮捕に準ずるものとして扱うことができるため。
 (1)212Ⅱ各号
 (2)ア 罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる
   イ 判断基準
    「時間的接着性、その内容として場所的近接性」
※1~4号では、犯行との関連性が1>2>3>4と異なるから、接着性の程度にも差が出る。
※逮捕者が事前に得ていた情報等も考慮する。

緊急逮捕の要件を実質的に満たしていたかを検討すべき場合
①任意手段が実質的逮捕に当たる場合 
②(準)現行犯逮捕の要件を欠く場合

勾留
逮捕前置主義あり。二重の司法審査。
1 P勾留請求(204、205)
2 J審査(207)、勾留質問(207、61)
(1)勾留の理由
 ア 嫌疑の相当性 + イ ①住居不定、②逃亡のおそれ、③罪証隠滅のおそれ、いずれか
(2)勾留の必要性

接見交通権
1 憲法34条前段=弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障
   ↓
  刑訴39条Ⅰ=憲法34の趣旨にのっとり、憲法の保障に由来する。

2 接見交通権⇔刑罰権発動のための捜査権の行使。国家の権能であることを当然の前提。
      合理的調整(刑訴39Ⅲ)

3 原則:いつでも接見の機会を与える
  例外:「捜査のために必要のあるとき」=捜査に顕著な支障が生ずるとき
    (1)現に取調べ中
    (2)実況見分、検証立会中
    (3)間近に確実な予定あり

【逮捕直後の初回の接見】
→憲法上の保障の出発点
→指定が許される例外は「留置施設の管理運営上支障があるなどの特段の事情」があるとき
【勾留との関係】
(①被告事件の勾留 ②被疑事件の勾留) 
①、②競合:被告事件についての防御権の不当な制限に当たらない限り指定OK。
①、②競合で、①のみB付:指定OK。
①のみとき:指定×(判例)
【面会接見(判例)】
「被疑者と弁護人等との接見には,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の観点からの制約があるから,検察庁の庁舎内において,弁護人等と被疑者との立会人なしの接見を認めても,被疑者の逃亡や罪証の隠滅を防止することができ,戒護上の支障が生じないような設備のある部屋等が存在しない場合には,上記の申出を拒否したとしても,これを違法ということはできない。そして,上記の設備のある部屋等とは,接見室等の接見のための専用の設備がある部屋に限られるものではないが,その本来の用途,設備内容等からみて,接見の申出を受けた検察官が,その部屋等を接見のためにも用い得ることを容易に想到することができ,また,その部屋等を接見のために用いても,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の観点からの問題が生じないことを容易に判断し得るような部屋等でなければならないものというべきである。」
「しかしながら,上記のとおり,刑訴法39条所定の接見を認める余地がなく,その拒否が違法でないとしても,同条の趣旨が,接見交通権の行使と被疑者の取調べ等の捜査の必要との合理的な調整を図ろうとするものであること(前記大法廷判決参照)にかんがみると,検察官が上記の設備のある部屋等が存在しないことを理由として接見の申出を拒否したにもかかわらず,弁護人等がなお検察庁の庁舎内における即時の接見を求め,即時に接見をする必要性が認められる場合には,検察官は,例えば立会人の居る部屋での短時間の「接見」などのように,いわゆる秘密交通権が十分に保障されないような態様の短時間の「接見」(以下,便宜「面会接見」という。)であってもよいかどうかという点につき,弁護人等の意向を確かめ,弁護人等がそのような面会接見であっても差し支えないとの意向を示したときは,面会接見ができるように特別の配慮をすべき義務があると解するのが相当である。そうすると,検察官が現に被疑者を取調べ中である場合や,間近い時に取調べをする確実な予定があって弁護人等の申出に沿った接見を認めたのでは取調べが予定どおり開始できなくなるおそれがある場合など,捜査に顕著な支障が生ずる場合は格別,そのような場合ではないのに,検察官が,上記のような即時に接見をする必要性の認められる接見の申出に対し,上記のような特別の配慮をすることを怠り,何らの措置を執らなかったときは,検察官の当該不作為は違法になると解すべきである。」

供述証拠の収集
1 被疑者の供述 
  → 取調べ(198Ⅰ) ①在宅 →  任意出頭・同行・任意取調べ
               ②身柄拘束 → 任意出頭を求め取調べ
2 被疑者以外の供述
  → (1)取調べ(223Ⅰ)
    (2)証人尋問(226~228)

捜索・差押え
支配する原則は、強制処分法定主義+令状主義
条文は、憲法35条1項、刑訴197条Ⅰ但、218Ⅰ、219Ⅰ
※司法的コントロール+被執行者に捜索・差押えの範囲を明示することにより、不当な侵害を防止

捜索の対象:「人の身体・物又は住居その他の場所」(222、102)
差押えの対象:「証拠物または没収すべき物と思料されるもの」(222、99Ⅰ)
執行:「処分を受ける者にこれを呈示」(222、110)
    「必要な処分」(222、111)

【記載の抽象性の限界】
①具体的な例示に付加+②これに準じるものであることが明らか
【電磁的記録媒体包括差押え】
①関連性あり(有体物との関係)。②必要性、相当性の問題。
判例がみた事情は
a 被疑事実に関する事情が記録されている蓋然性
b その場で内容を確認していたのでは、記録した情報が損壊される危険性がある
【別罪証拠】
令状主義 → 令状記載物件に限る。①任意提出領置(221)、②現逮差押え(220)、③新令状
【場所→人の所持物】
原則:×(令状主義)
例外:①場所に対するものと同視できる(特段の)事情、②現場保存の措置(隠匿所持を認めるに足りる客観的状況の存在など)
【場所→人の身体】
原則:×(令状主義)
例外:現場保存の措置(隠匿所持を認めるに足りる客観的状況の存在など)

無令状捜索・差押え
220Ⅰ②が無令状捜索差押を許容する趣旨
令状主義の例外:憲法35、33、刑訴220
(1)逮捕の場所には被疑事実と関連する証拠物が存在する蓋然性が極めて高く、合理的な証拠収集手段である。
(2)(逮捕の嫌疑により)令状発付要件もほとんど充足+新たな侵害は少ない
((3)被疑者の身体の安全を図り、証拠の散逸や破壊を防ぐ急速の必要あり)

これらの事情が認められる、時間的・場所的・合理的範囲において許容される。
①被疑事実と関連+②令状を請求すれば発付されるであろう範囲。

【逮捕する場合において(時間的限界)】
単なる時点より幅のある「逮捕する際」。
逮捕との時間的接着は必要だが、逮捕着手時の前後関係は問わない。
【逮捕の現場(場所的限界)】
場所に対する捜索・差押令状が発付されたとすれば処分が可能な範囲。
逮捕が実行された場所と同一の管理権が及ぶ範囲。
※逮捕に着手した場所、追跡中の場所、逮捕された場所のすべてを含み、それらの場所と直接接続する範囲の空間がこれにあたる。
【連行】
価値判断として、「同視できる」かどうか。
①逮捕した被疑者の身体 or 所持品に対するもの
②「逮捕現場付近の状況に照らし、その場で直ちに捜索・差押えを実施することが適当でない」ときは速やかに最寄りの実施場所へ連行できる。
※逮捕後に被疑者を移動させても、身体や所持品の状況に直ちに変化が生じることはない+被疑者に実質的な不利益があるわけでもない。必要性+合理性があればよい。
※被疑者を逮捕した現場から離れた「場所」を捜索するときは、逮捕の現場の解釈が問題となる。

身体を検査するには
①身体捜索(218Ⅰ、102)・・着衣の内側、身体の外表
②検証(218ⅠⅣⅤ、129~)・・全裸、体表、体腔、直接強制可能(222、139)
③鑑定処分(225、168Ⅰ)・・鑑定受託者、血液、嚥下物等、体内への侵襲手段可能

公訴
支配する原則
①国家訴追主義(247)
②起訴独占主義
③起訴便宜主義(248)
④不告不理の原則(378③)
⑤起訴状一本主義(256Ⅵ) ⇔ 訴因の特定要求(256Ⅲ)
趣旨:裁判官の予断排除→裁判の公正
※起訴状一本主義優先(一度生じた予断は排除できない)。
視点は、訴因特定上必要不可欠かどうか。

訴訟条件
形式的訴訟条件(再起訴〇):管轄違い(329)、公訴棄却の判決・決定(338、339)
実体的訴訟条件(再起訴×):免訴(337)

公訴事実と訴因
条文:256Ⅱ②、256Ⅲ、312など
公訴事実
訴因として構成する前の自然的・社会的事実(※概念について争いあり)
訴因
検察官が審判を求めるための主張であり、捜査機関が収集した証拠に基づく社会的事実を犯罪構成要件にあてはめて法律的に構成された具体的事実(の主張)。
→ 当事者主義的訴訟構造から、これが審判の対象となる。
→ ざっくりいえば、民訴でいう請求原因と同じこと。
趣旨:①裁判所に対して審判の対象を限定
    ②被告人に対し防御の範囲を示す
【特定】
犯罪の日時、場所、方法は、本来罪となるべき事実そのものではなく、訴因特定の一手段にとして、できる限り具体的に表示することが要請されている。
→ 「特殊事情」がある場合には、ある程度の抽象的記載も許される。
【変更の要否】
訴因と認定事実にずれがあるときに問題。
訴因
(1)審判対象確定(形式)・・・訴因記載不可欠。※被告人の抽象的防御にもつながる
(2)被告人の防御の保障(実質)・・・※個別に不意打ちの有無を判断する

ex.共謀共同正犯の実行行為者の択一的記載(判例)
(1)〇
(2)重要。一度「明示」したら
 原則:訴因変更手続必要
 例外:訴因変更手続不要
     ①審理の過程に照らし、不意打ちでない
     ②認定事実が訴因と比べて不利益でない
【変更の可否】
刑訴312条の解釈問題。「公訴事実の同一性」。※捜査の対象+同時処理可能な範囲
考え方は、
訴因の意義→「犯罪を構成する事実関係の基本部分が社会通念上同一と認められる」かどうか。
視点は、
①日時、場所、方法、相手方
②行為、
③結果
の共通性
※注意するケースとして、覚せい剤使用事犯。
(1)複数回使用による併合罪の可能性
(2)日時・場所・方法の特定は被告人の自白以外の証拠が乏しい
考え方は、
訴因の意義→社会的事実同一性説→
①事実上の同一性(これだけだと(1)の可能性を排除できない)
②法律的非両立性(補助基準として使う)
【変更命令】
刑訴312条2項「審理の経過に鑑み相当と認めるとき」
考え方は、
訴因の意義→設定維持はP権限。変更命令の義務は原則なし。
例外として、①変更すれば有罪明白+②変更される訴因の罪が重大なときなど。
※加えて、③Pの訴追意思、防御上の利益、事案の性質・内容、処分の均衡等も考慮する。

公判期日
(1)冒頭手続
人定質問(規196)→起訴状朗読(291Ⅰ)→権利告知(291Ⅱ)→罪状認否(291Ⅱ)

(2)証拠調べ手続:冒陳(291)→証拠調べ請求(292、296、規則193Ⅰ)→証拠決定(規則190Ⅰ)→証拠調べ(298Ⅱ)

(3)論告求刑・弁論、陳述(293Ⅰ、Ⅱ)

(4)結審

証拠調べ
1 証拠書類・・・朗読(305)
2 証拠物・・・展示(306)
3 証人尋問・・・(交互)尋問(304)
4 鑑定人尋問・・・尋問(171、166)
5 被告人質問・・・質問(311)
※証拠物たる書面(306、307)・・・展示+朗読

証拠裁判主義
刑訴法317条「事実の認定は、証拠による。」
趣旨:神審を克服し、客観的証拠による事実認定という近代裁判の大原則を示す。

国家刑罰権の存否・範囲を画する事実については、「証拠能力のある証拠によって適式な証拠調べを経た証拠」による認定でなければならない(厳格な証明)。
ex.犯罪事実の存否、刑罰権の範囲、違法性・有責性を基礎づける事実、違法・責任阻却事由の不存在、処罰阻却事由、刑の加重・減免事由、犯情。

証明
挙証責任
訴訟のやり方の巧拙で有罪となるということを防ぐため、挙証責任は検察官にある。
刑事訴訟における「疑わしきは被告人の利益に」の鉄則。
程度
「合理的な疑いを容れない」程度の証明。
「刑事裁判における有罪の認定に当たっては,合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証が必要である。ここに合理的な疑いを差し挟む余地がないというのは,反対事実が存在する疑いを全く残さない場合をいうものではなく,抽象的な可能性としては反対事実が存在するとの疑いをいれる余地があっても、健全な社会常識に照らして,その疑いに合理性がないと一般的に判断される場合には,有罪認定を可能とする趣旨である。そして,このことは,直接証拠によって事実認定をすべき場合と,情況証拠によって事実認定をすべき場合とで,何ら異なるところはないというべきである。」(判例)
自由心証主義
証拠の証明力の判断を裁判官の自由裁量にゆだねる(318)。ただし、経験則・論理則による。
⇔ 証拠裁判主義、自白法則、伝聞法則、補強法則、除斥・忌避・回避、判決理由明示、上訴・再審によるバランス

用語
証拠とは、事実認定のための資料。
証拠資料とは、証拠方法を取調べて得た内容。
証拠方法とは、証拠調べの対象(人or物)。
証拠能力とは、厳格な証明の資料として用いることができる証拠の資格
証明力とは、裁判官に事実について心証を抱かせる効力

違法収集証拠排除法則
明文の規定なし。刑訴法の解釈に委ねられている。
証拠物は押収手続に違法があっても、物それ自体の性質・形状等に関する価値には変わりがないことからすれば、事案の真相究明(1)の観点から、押収手続違法=証拠能力否定と考えるのは妥当でない。
ただし、
(1)基本的人権の保障全うしつつ、適正手続(憲31)によるのが前提
(2)令状主義(憲35・刑訴218Ⅰ)

①証拠物の押収等の手続に令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、
②これを証拠として許容することが、将来の違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合
には、証拠能力が否定されると解する。

違法収集証拠の絡む問題の着眼点
①先行捜査の違法の証拠獲得行為への影響
基準は、
「密接な関連性」を有するかどうか
※因果関係の問題であり、同一目的・直接利用の基準もこの判断に解消される。
②毒樹の果実
(1)第1次証拠収集方法の違法の程度
(2)第1次証拠と第2次証拠の関連性の程度
((3)第2次証拠の重要性)

違法性の減少事情
①希釈化
②独立入手源
③不可避的発見

科学的証拠
証拠能力のうち自然的関連性の問題。
①検査の科学的原理・根拠が合理的に説明でき、
②検査の技法がその原理・根拠に基づき妥当
(③再検査可能性)

同種前科による事実認定
証拠能力のうち法律的関連性の問題。
原則:不当な影響力を与えるもので、法律的関連性を欠く。
例外:事実認定を誤らせるおそれが低いもの。
   ①前科・常習性が構成要件の一部
   ②犯罪の主観的要素の立証(客観的状況から推認+ダメ押しの趣旨)
   ③特殊な手口による同種前科によって犯人と被告人の同一性を立証

自白関係
自白とは、自己の犯罪事実の全部またはその主要部分を認める被告人の陳述をいう。
趣旨:自白偏重による人権侵害、誤判防止

(1)自白法則
ア 証拠能力の制限(憲法38Ⅱ、刑訴319Ⅰ)
イ 「任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。」
ウ ①虚偽のおそれ、②供述の自由の侵害、③自白採取過程の適正手続違反(「任意かつ適正に」と読む)
(2)補強法則
ア 証明力の制限(憲法38Ⅲ、刑訴319Ⅱ) ※条文注意
イ 「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」
ウ 架空の罪による科刑を防ぐため、犯罪事実について必要。自白からの独立性が必要。
  客観的構成要件事実のうち、自白の真実性を保障する程度(判例)
  自白とあいまって事実を証明できる程度であれば足りる(判例)

共同被告人の証拠関係
1 原則
共同被告人であっても、訴訟手続は別個独立。
2 共同被告人甲、乙とする。乙の公判においての3パターン。
(1)甲が証人として供述
   → 証人適格の問題。黙秘権との関係で地位が矛盾するから適格なし。弁論分離。
(2)甲が公判廷で共同被告人として供述する
   → 311Ⅲがある以上証拠能力あり(判例)。黙秘権行使は証明力の問題。
(3)甲の公判廷外の供述(調書)が用いられる
   → 伝聞(320)
   → 伝聞例外=乙からみれば、甲は「被告人以外の者」だから、321Ⅰ各号の要件。
3 補強法則の適用関係
(1)共犯者の供述は互いに補強法則となりうる。
(2)共犯者の自白は本人にとっては第三者の供述にすぎない。ひっぱりこみの危険等への対処は、自由心証主義の範囲内で共犯者の供述の評価を慎重に行うことで足りる(判例)。したがって、共同被告人との関係で補強法則の適用はない。
4 書証・証人関係
(1)共同被告人甲・乙に共通する書証につき、甲同意(〇)、乙不同意(×)
 ア 甲との関係:326同意 → 証拠能力〇
 イ 乙との関係:書証の供述者を証人尋問
   ↓
  甲との関係で先に書証を取り調べると、予断の防止の観点から問題。
  甲は書証、乙は人証というのも事実認定の合一という観点から問題。
対策
①甲との関係で書証の取調べ決定、実施は乙との関係での証人尋問終了後
②書証の供述者を甲・乙共通証人として取調べ、甲との関係での書証は撤回
③甲・乙の弁論を分離(313)、甲との関係で書証の取調べ
(2)共同被告人甲・乙。共通証人Aの尋問期日に甲は来たが、乙は来なかった。
対策
①甲・乙双方の期日延期
②甲との関係でのみAを尋問、乙は別期日
③甲との関係でAを尋問。後の乙の出頭公判期日で、公判調書中のAの供述記載部分につき乙の同意を求める。※同意なければ、結局また尋問するしかない。
④乙との関係で、公判期日外の証人尋問(281)を併行実施して、321Ⅱで証拠採用。
 このとき、158、157Ⅱの手続がないが、B同意+立会+異議なしならOKと考える。

伝聞証拠
1 意義
伝聞証拠とは、要証事実を直接知覚した者の供述を内容とする供述証拠で、当該供述の内容となっている事実の真実性の証明に用いられるものをいう。
伝聞証拠とは、公判期日における供述に代わる書面および公判期日外における他の者の供述を内容とする供述をいう(320Ⅰ)
2 効果
証拠能力が原則として否定される。※326同意や伝聞例外要件充足があれば別。
3 根拠
供述証拠は、それが裁判所に到達するまでに、知覚・記憶・表現・叙述の各過程を経るが、それぞれに誤りが介入する危険性あり。反対尋問、裁判官の面前での供述、宣誓等の担保がない。
したがって、正確性の保障がなく、これを証拠として用いると事実認定を誤るおそれがある。
※逆にいえば、要証事実との関係において、供述内容の真実性が問題とならない場合には、伝聞法則の適用はない。

供述書
供述者自ら作成した供述記載書面
供述録取書
供述社の供述を他人が録取した書面
※厳密にいえば二重の伝聞であるが、録取の正確性を保障するために供述者の署名・押印を必要とすることによって、録取者を介するという点の伝聞性を除いている。公判調書(51)では、署名押印不要。正当な理由があり、他の正確性担保の事情があるときも不要。

伝聞証拠には気をつける
要証事実との関係で供述内容の真実性が問題となっているかどうかを落ち着いて検討する。当該犯罪がどのような内容で、そのうちどの事実を立証するための証拠であるのかをよく検討する。
視点は、発言の存在自体の立証で事足りるかどうか。
※証拠能力との関係では、常に実質的な要証事実を吟味することが必要とされているわけではない。当事者が設定した立証趣旨をそのまま前提にすると、およそ証拠としては無意味になるような例外的な場合に実質的な要証事実を考慮する必要がある。
Ex.実況見分調書中に供述が録取されていて、事件に関する供述をしたにすぎず、見分の動機・手段となるべき要素がない場合は、供述内容の真実性を度外視すると何らの証拠価値も有しない。
→ 別個伝聞例外の要件を満たす必要がある。

321Ⅰ書面
1号(裁面)
裁判官の面前という高度の信用性
①供述の再現不能(例示)
or
②相反性
2号(検面)
①供述の再現不能(例示)
  or
①実質的相反性
→ 表面上矛盾していなくとも前後の供述などから結局異なった結論が導かれる場合も含む。
②相対的特信性
→ 供述がなされたときの外部的事情を基準として判断。証拠能力と証明力の判断分離。ただし、供述内容も外部的事情の推知のための副次的な内容参照ならOK。
3号(員面)
①供述の再現不能(限定)
→ 相反供述が行われるような状況は排除されており、供述者が公判廷に出頭できる場合には、3号によって証拠能力が付与される余地はない。
②絶対的特信性
→ 比較の対象がないから。
③犯罪事実の証明に欠くことができない
→ 他の適法な証拠をもって同一の立証目的を達成しえない。

321Ⅲ、Ⅳ書面
321Ⅲ
口頭よりも書面による報告に親しみやすい。一方で、捜査機関の検証には公平性の担保がなく、当事者の立会権の保障もないから、供述者の公判期日における①作成名義の真正+②記載内容の真正の供述を要求する。
cf.実況見分調書にも準用
321Ⅳ
口頭よりも書面による報告に親しみやすい。観察・判断は客観的で確実性が高く、相当程度に中立的。供述者の公判期日における①作成名義の真正+②記載内容の真正の供述により証拠能力を認める。

322書面
対象
①被告人が作成した供述書
②被告人の供述を録取した書面で、署名若しくは押印のあるもの
要件
(1)不利益事実の承認のとき → 自白でなくても319条に準じて「任意性」
(2)それ以外 → 特信情況

323書面
性質上高度の信用性があり、公務への支障(1号)、多人数関与(2号)など伝聞証拠を用いる必要性があるため、無条件で証拠能力が認められる。したがって、3号は、1号、2号に準ずる高度の信用性が必要と解する。

328弾劾
限定説:自己矛盾供述に限る。供述内容の真実性を問題とすることなく使えるため。

「しかしながら,刑訴法328条は,公判準備又は公判期日における被告人,証人その他の者の供述が,①別の機会にしたその者の供述と矛盾する場合に,矛盾する供述をしたこと自体の立証を許すことにより,公判準備又は公判期日におけるその者の供述の信用性の減殺を図ることを許容する趣旨のものであり,②別の機会に矛盾する供述をしたという事実の立証については,刑訴法が定める厳格な証明を要する趣旨であると解するのが相当である。
 そうすると,刑訴法328条により許容される証拠は,信用性を争う供述をした者のそれと矛盾する内容の供述が,同人の供述書,供述を録取した書面(刑訴法が定める要件を満たすものに限る。),同人の供述を聞いたとする者の公判期日の供述又はこれらと同視し得る証拠の中に現れている部分に限られるというべきである。」(判例)

※自己矛盾供述に限って伝聞法則による制限を外し、供述録取書の場合、328によって伝聞法則の制限が外れるのはあくまで第1供述過程についてのみ。第2供述過程の伝聞性は残る。
そこで、供述者の署名・押印(ないしこれに代わりうるもの)が備わっていない限り、結局全体について伝聞法則の制限が外れず、証拠として許容されない。
※「同視し得る証拠」とは、署名押印を欠いていても、①供述録取過程について326同意、②供述記載の正確性担保の外部的情況が存する場合(他事件の公判調書中の証人の供述、供述録取手続に立ち会った録取者以外の者の証言や録取状況の録音テープがある等)

応用
1 被告人の公判準備又は公判期日における供述で、被告人以外の者の供述を内容とするもの
(1)被告人に不利益:322Ⅰ準用
(2)被告人に不利益でない:324Ⅱにならい、321Ⅰ③を準用
2 再伝聞
ex甲のPSに、「.被告人乙が「自分が放火してきた」と言っていた」という記載がある場合。
(1)321が供述証拠に証拠能力を認めたのは、公判準備または公判期日における供述にかえて書面を証拠とすることを許したものに他ならないから、321Ⅰ②③等によって証拠能力を認められる伝聞供述は、公判準備または公判期日における供述と同等の証拠能力を有すると考える。
(2)伝聞でない部分:321Ⅰ②
(3)伝聞の部分:324類推適用 → 322 or 321Ⅰ③
※手順は、まず、321~324で証拠能力  → 324Ⅰ → 322
                           → 324Ⅱ → 321Ⅰ③

「いかなる場合に証拠として使えるか」ときたら
①326同意
②伝聞例外
③328弾劾
を常にセットで考えること。

択一的認定
視点は、
①罪刑法定主義に反するか
②疑わしきは被告人の利益にの鉄則に反するか

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No title

修習でお忙しい中申し訳ありません

質問なのですが、こちらの記事に書いてある「P」やら「K」とは一体何を指すのでしょうか?
何かの省略形とは思うのですが…

他にもMASOさんが意識して使用していた略字等あれば教えて頂けると幸いです。

No title

雨さん

ご質問ありがとうございます。

「P」は,検察官(public prosecutor)の略です。
PSのSはstatement。
ということで,PSは検面調書のことです。

「J」は,裁判官(judge)の略です。

「K」は,警察官のローマ字表記の頭文字。
Pとの区別でKということになります。
PSと同じように,KSならば,員面調書ということです。

弁護士は,弁護士のローマ字表記の「B」です。

同じく略語として,被疑者・被告人は「A」,被害者は「V」,証人は「W」などがあります(いずれもそれぞれの英単語の頭文字)。
これを使って,被告人質問をAQなどと表記します。

これらの略語は,研修所で一般的に用いられているものです。
ロースクールの実務科目の授業で,目にされたこともあるかもしれません。私も授業で知って,刑訴のノートをとるときなどに使っていました。

他に使える略語としては,
訴訟物:Stg
請求原因:Kg
抗弁:E 
再抗弁:R 
再々抗弁:D
再再々抗弁:T
などがあります(問題研究要件事実p20参照)。

他にも自分で作ってみたりすると面白いかもしれません。

No title

お忙しい中ありがとうございます!
そのような意味だったのですね。
現在未修1年なので実務科目は来年度だと思います。

もう1点質問してもよいでしょうか?
番外記事に載っていた文房具についてです。
蛍光ペンを「一群~四群」と使い分けていたとありますが、
一群、二群、三群、四群の内容を具体的に教えて頂けませんか?

No title

雨さん

回答が遅くなってすみません。

蛍光ペンについては,私が使っていた色の使用頻度ごとに,グループを分けて,便宜的に一群~四群と記載しただけです。それ以上の意味はありません。分かりにくくてすみませんi-201

No title

そうでしたか。
解答してくださりありがとうございます!
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